長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

あれこれ相談のち、労働者教育協会の理事会。

きのう(20日)は、
8時半頃に神田駅近くに出没し、
モーニングをとりながらとある雑誌編集者の方と
あれこれ相談など。

先日の相方ALS発症の【ご報告】を受け、
いろいろと心配していただき、本まで頂き恐縮する。
でもありがたい。
しっかりとした書き物でおかえしをしたい。

10時からは労働者教育協会の理事会に。

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こちらでもさまざまな方からご心配と励ましをいただく。
発言のなかでも「わたくしごとですが」とふれさせていただく。

でも、遠慮せずに長久に仕事を頼んでくださいませ。
それは相方ものぞんでいることでもありますので。
できるできないは、そのときどきの状況で判断します。
今はまだ余力十分あります。

理事会発言では、
勤労者通信大学の入門コースのテキストづくりの
状況について若干の報告をさせていただく。
よいテキストにしあげるために、まい進あるのみです。

夕方の新幹線で、岡山に。

徳島民医連の6か月職員研修。その後友人と交流。

土曜日(19日)は、徳島民医連の6か月(1年目)職員研修へ。

会場に着く前に、よく知っているNさん親子が
出迎えていただき、少しだけお話できました。感謝。

研修午前中は憲法と人権、午後はものの見方・考え方、
の2本講義をしました。

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1年目の研修医さんもおられましたね。

こうした民医連的な学びの機会があることは大事です。
現場で少しでも生かされればなーと思います。

研修終了後、夕方に徳島の友人と会食し、
あれこれ情報交換と交流など。

その後徳島空港最終便で羽田まで。
22時半頃にお宿にチェックインしました。ふいー。

広島民医連の中堅職員研修での講師仕事

19日の金曜日は、午後から広島民医連の中級職員研修へ。
久しぶりの広島でしたが、滞在時間5時間半で、
まったく寄り道なし。おみやげは買いましたけど。

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「人間的発達ができる職場づくり」というテーマで90分の講義。

冒頭、スーパーに置かれている魚の切り身はその魚の
ほんらいの姿ではなく、一匹の自由な魚として大海原を
泳いでいたこと、大海原とは生活や仕事である、
という話をしました。相方の入院経験で感じたことです。

さすがに職場で中堅のみなさんだけあって、
その後の議論も活発でした。

矛盾があるからこそ成長できる、
育ちあうための民主主義的関係性、ゆとりの意味について、
などなど。

研修会終了後、教育担当の方々5人ほどと、
お茶などしながら1時間ほどの懇談。
職員教育をめぐる問題意識などあれこれ交流しました。
お世話になりました☆

第4回平和ゼミナールも中盤に。沖縄学習へ。

17日の午後は、岡山民医連第4回平和ゼミナールの5回目
今回と12月で1月の沖縄FWの事前学習です。

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まず宿題(高江の問題など)の感想交流からはじまり、
沖縄戦の学習(長久講師。40分)、
さらに「標的の村」(45分バージョン)を観賞し感想交流。

中身濃い時間になりました。
やはり標的の村は映像なだけにインパクトをあたえますね。
「早く沖縄に行きたい」の声も。

3日続けての出張です。

きょう(18日)は午後から
広島民医連の中級職員研修の講師仕事。日帰り。

明日は徳島民医連の6か月職員研修で徳島に。
終了後人に会い、徳島空港から最終便で羽田に。東京泊。

日曜日は朝、神田駅近くに出没し人に会い、
10時から夕方まで労働者教育協会の理事会。
終了後ただちに新幹線で岡山に帰ってきます。

というわけでバタバタ動く週末。
報告は来週月曜日に。

怒り、「日本会議」史観の、在宅医療日記

最近読み終えた本。


『怒り(上)』(吉田修一、中公文庫、2016年1月)

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映画はみてないけど、原作をじっくり読もうかと。
たんたんと、3つの場所と人間関係を描きながらすすむ。
下巻はあっと驚く展開になる予感。


『怒り(下)』(吉田修一、中公文庫、2016年1月)

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さまざまなものを背負わされ、
社会の片隅で生きている人間の弱さと脆さ。
人を信じようとする気持ちとその揺れ。
少しのきっかけで崩れおちる人間関係。
どっと疲れる読了感だったが、読んでよかった。


『「日本会議」史観の乗り越え方』(松竹伸幸、かもがわ出版、2016年9月)

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日本の近現代史の「光と影を統一的に捉える見地」
というのがまず新鮮。
ぼくも日本の近現代史を語るときは、
ほとんど影の側面だったから。とても勉強になる。
著書の書き方、言葉の使い方には
「言葉を届けたい人の幅の広さ」をいつも感じる。


『患者と家族に寄りそう在宅医療日記』(大井通正、文理閣、2016年4月)

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在宅医療に情熱をかたむける民医連医師の医療エッセイ。
なぜ在宅にこだわるのか、その視点がたしかで、
人権感覚に貫かれている。寄りそう医療。
神経難病の患者さんのエピソードも多く、うなずきながら読んだ。

【ご報告】


 残念なお知らせですが、相方が難病の筋萎縮性側索硬化症
(ALS)を発症しました。運動ニューロンという部位が侵
され、筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。
じつは今年の春頃から、力が入りにくいなど、身体に違和感
を覚え、病院で検査などしてきましたが、10月はじめ、A
LSと診断がくだりました。
 ご存知の方もおられると思いますが、この病気は現在、医
学的解明ができておらず、治療法も確立していません。いま
は、昨年保険適用となったラジカットという進行をゆるやか
にする薬を点滴しながらの生活です。

 私も相方もALSについては以前から知識があり、その可
能性について心の準備があったため、告知のショックよりも、
これからの生活や人生の質をどう高めるか、前向きに考えて、
歩みを始めているところです。
 またALSの患者会となる日本ALS協会にも入会し、さ
っそく岡山県支部のみなさんとの交流をスタートさせている
ところです。この病気と向きあい闘ってきた先輩のみなさん
の歩みを文献や資料などでも学ばせてもらっていて、新しい
発見の日々です。

 私も、当然ですが生活上の変化があります。家事はこれま
でも全般的にやってきましたが、相方が得意だった料理も困
難になってきていて、相方による指導で楽しく修行中です。
さらに着替えの手助けやリハビリなど、介護に要する時間も
増えています。そしてなにより、相方との時間を大切にして
いきたいという思いもありますので、仕事や活動の時間をあ
る程度セーブしていくことになるかと思います。幸い相方の
ご家族の支えもあり、また周りの方の助けもおかりしながら、
引き続き求められる社会的な役割をしっかり果たしていきた
いと考えています。バランスをはかりつつ、両立していけれ
ばと思っています。

 生活も人生設計も急速に変わり、たいへんな側面もありま
すが、私と相方はこういう言い方は変ですが、落ち着いてい
ます。これからの時間を、心豊かに、何を大切にしていくの
かを2人でよく話しあっています。友人との旅や今までの感
謝を伝える(会いたい人に会う)など、相方のやりたいこと
リストをかなえる計画を着々と準備中です。落ち込んでいる
暇がありません(笑)。
 これまで、不条理な社会に抗いながら、それぞれが求めら
れることに全力で向きあうというスタイルで歩んできました。
バラバラ夫婦とも言われてきた私たちですが、おたがいを尊
重しつつ、かなり自由にやってきた人生でもありました。こ
れからは、今まで以上に、2人の人生の質を高める期間にし
ていきたいと思っています。
 14年前の本日11月16日は、仲間たちが、私たちの
「結婚を祝う会」をしてくれた日です。私と相方が夫婦とな
って14年がたちました。これからも、みなさんとともに、
1日1日を大切に過ごしていきます。あたたかく見守ってい
ただければ幸いです。

(なおこの文章は相方に投稿の承諾を得ています)

「自分の人権を大切にしていきたい」

きょう(16日)のお昼は、倉敷医療生協労組の
2016年 昼休み!ろうどうくみあい入門講座の2回目。
水島の生協会館にて。
「労働者の権利と人権」というテーマでした。

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人権とは尊厳とは。
なぜ憲法は労働者に一方的に「肩入れ」しているのか。
人権感覚を磨くには。などなど。
時間が迫るなか、感想交流も少しだけ。

パートの方中心に参加4名。でも少ないとは思っていません。
「きっかけ」「きづき」に、この学びの場がなれば、
とっても大きいことですから。その方の生活や人生にとっても。


参加者の感想文です。

■人権感覚をしっかり身につけて仕事や生活に
生かしていきたいと思いました。

■憲法の大切さを改めて感じました。1週間以上の
旅行ができるような世の中になれるように働きかけ
ていきたい。

■憲法27条・28条の説明など分かりやすく話が
あり、普段なかなか考えることがないのでよい勉強会
になりました。憲法に守られていることを感じました。

■まずは自分を大切にすることで、利用者さんへの
ケアも変わってくるのだろうと思った。自分の人権を
大切にしていきたいと思いました。

トンカツとおでんと民主主義

昨夜(15日)は、
岡山医療生協労組の超入門!ろうどうくみあい講座の7回目。

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おなじみ労働食堂はトンカツとおでん!
労組委員長みずからトンカツを揚げていました(*_*)

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この労働食堂、調理師の凄腕をもつ書記長が
専従になってから始まったものですが、
人も寄ってきますし、組織文化になりつつありますね。
パブ的な。いいことですなあ。


学習会テーマは「民主主義と労働組合」。
前回に続いて、1年目の看護師さんが参加してくれました。

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あーだこーだの感想交流も楽しかったです☆

労働組合における民主主義と学習活動

きのう(14日)の夜は、
県労おかやまの常任幹事会にて前段学習会8回目。
3月から連続的に基礎学習をしてきましたが、昨夜で最終回。

「労働組合における民主主義と学習活動」というテーマで、
基本のところを押さえつつの問題提起させていただきました。
その後の議論はあたりまえだけど面白かったです。

以下、そのレジュメです。


一。労働組合の質を高める(1)-表現の自由と民主主義
 
1。表現の自由の意味
  ◇人間は応答関係のなかで、自分(たち)を育てる
   *自分の考え、思いを伝える(表現する)。また他人の考え、
    思いを知る(伝えられる)ことによって、人は人間的・
    人格的な成長をしていく。とくに決定的なのは言葉による
    伝えあい(話す―聴く、書く―読む)。
   *知的存在・社会的存在である人間にとって、表現の自由は
    人間の尊厳そのもの。

  ◇表現の自由の具体的形態として-集会・結社の自由

    「集会・結社の自由を保障する理由は、第一に、それが
    個人の人格の発展に不可欠だということにある。個々人
    は様々な集会・結社に参加・帰属することを通じて自己
    のアイデンティティーを確立し、人格の形成・発展を行
    う。・・・第二に、集会・結社の自由は、政治的力を表明す
    る手段として不可欠である。国民が政治過程に参加する
    場合、集会・結社によってその力を結集することが可能
    となるのである。この観点からは、現代のマス・メディ
    アから排除された一般大衆にとって、集会・結社を通じ
    ての表現活動は重要な意味をもつ」
    (高橋和之『立憲主義と日本国憲法 第3版』有斐閣、2013年)

   *1人ひとりの主権者を主権者らしく成長させ、また勇気
    づける役割を、集会や結社はもっている。だから基本的
    人権であり、奪えないもの。

  ◇1人ひとりが言葉をもって参画する-伝えあいが大事
   *職場のなかで、地域のなかで、異議申し立てや政治的議論が
    できないのが日本の現状 
   *自分の意見をみなの前で発言する訓練、議論する訓練の機会
    や場が少ない。
   *「自分の言葉」の発声練習の場に労働組合がなる。
   *1人ひとりが、「違和感に蓋をしない」こと。それができる
    関係性の構築。
   *大事なことは、「場」のなかで対話・議論が生まれるように
    すること。しかけと工夫。
   *講演を聞くだけ、一方的な報告のみ、会議で一部の人しか話
    さない ←効果は限定的。

 2。労働組合における民主主義的空間・運営
              (自分たちの力を最大限引き出す)
  ◇労働組合は、最大多数の労働者を結集できる
                ―逆にいえば、いろんな人がいる。
   *違いがたくさん。違いばかり。そして違いは目につきやすい。
   *雇用形態、賃金、労働条件、立場、仕事内容、資格の有無、
    能力、性別・・・
   *生活環境、人間関係、考え方、支持政党、行動パターン、
    趣味、特技・・・
   *「要求」にたいするとらえ方・考え方は、簡単には一致しない
  ◇一致点(要求)を言葉で確認する作業。参画と尊重を軸とした
   民主主義が不可欠。
  ◇「いろんな人がいる」のは、プラスのエネルギーに転化しうる。
   集団の力。
  ◇人間関係はさまざまな「力」が働いている(そしてそれはなくせない)
   *役職とそうでないひと。先輩と後輩。年齢。知識のあるなし。
    経験のあるなし。雇用関係。ジェンダー。多数と少数。
   *強者と弱者、声の大きいひと小さいひとがかならずいる、という
    こと。組織なので、どうしても理解・認識の違いは生まれる。
   *労働組合は職場よりは人間集団がフラットだけれど、完全に
    フラットにすることはできない。どうしても活動経験豊かな
    人の「発言力」が大きい。
   *「力」をもっている側の姿勢(民主主義)が問われる。聴く姿勢。
    集団の力を信頼する。そうした努力方向なしに、組織力の底上げ
    はできない。
   *関係性がよくなると、自己を否定される恐れがなくなるので、
    その場が安全になる。様々な異なる意見が提示される。議論が
    生まれる。
   *民主主義は疲れるけど、「私」「私たち」が変わるプロセス。
    職場と社会を変える力に。

二。労働組合の質を高める(2)―学習教育活動
 
1。学習する。学びの場をつくる。
  ◇人権としての学習権

    「学習権とは、読み書きの権利であり、問い続け、深く考え
    る権利であり、想像し、創造する権利であり、自分自身の世
    界を読み取り、歴史をつづる権利であり、あらゆる教育の手
    だてを得る権利であり、個人的・集団的力量を発達させる権
    利である」         (ユネスコ「学習権宣言」)

   *労働者(主権者)としての発達を保障するという観点。
    その担い手としての労働組合。

  ◇日本の労働組合運動において、学習教育活動は決定的な役割を
   もっている
   *学校での労働者教育・主権者教育の不十分さ、マスコミも扱わない。
   *人権が脅かされる強い領域である労働市場に認識が不十分なまま
    放り込まれている現状。
   *自分たちを力づけるものを、まず知る
    「27条・28条は、経済市場において労働者等を勇気づける
    (empowerする)ことを要求しているのである」
        (青井未帆・山本龍彦『憲法Ⅰ 人権』有斐閣、2016年)

 2。組織的・系統的に位置づける。そして体制も。
  ◇労働組合は課題が山盛り。学習会は人が集まらない・・・。
   *どんな組織でも、「教育」という営みはある。教える・伝える・
    高まりあう・学びあう。それなしに組織の力量は高まらない。
    人が育たないから。ただし、労働組合には職場の労働者の要求
    実現という第一の目的がある。教育それ自体が第一の目的には
    ならない。
   *課題が多いと、どうしても学習教育活動の議論が乏しく。目的
    意識性が弱くなり、方針がなくなる。方針がないと点検・総括
    もなくなり、議論もしなくなる、という状況に。
  ◇労働組合執行部の構えと方針の確立・具体的、および体制保障がカギ
  ◇継続的な学びの場をつくることが力に
  ◇月刊誌『学習の友』(500円)もご活用を。集団学習用に編集され
   ている。
  ◇そもそも論を大事にする-基礎的な学びは活動の自信に。
   *そもそも労働組合とは、働くとは、人間とは、賃金とは、社会
    とは、仲間とは、団結とは、人権とは・・・。立ち返る。くりか
    えしが自信に。自分の立ち位置の確認。

労働組合のそもそもを広げる日々です

先週土曜日(12日)の夜は、岡山市の西大寺へ。
岡山中央福祉会労組の学習会&懇親会でした。

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組織的にはさまざまな困難もかかえている労働組合ですが、
この学習会をきっかけにしていこうと取り組まれたもの。
私のほうから労働組合の基本的なお話を50分ほどで。
その後、夕食を食べながらの自己紹介&感想交流でした。

労働組合の大切さ、基本的なことを学ぶことの大切さを
交流できる場になったと思います。
労働組合のそもそもを広げる日々を、これからも。


以下、レジュメです(だいたいいつもと同じですが)。


はじめに
 労働組合への最低限の認識をまずつくる。広げる。
 「なんとなく」から抜け出す。

一。労働組合のかかげる旗―「人間らしい生活のために」
 
1。生活がその人らしさをつくる。生活はかけがえのないものであり人権。
   中心線は文化。
  ◇生活は、1人ひとりにとっての「小宇宙」
   *衣食住、嗜好、環境、雑貨、買物、家事・育児、教育、老い、
    介護、医療、健康
   *芸術、教養、音楽、趣味、娯楽、スポーツ、団らん、社会関係、
    交友、恋愛、ペット
   *余暇、散歩、遊び、旅、ぼんやり、活動、ライフイベント、
    季節、風景、動植物・・・
  ■生活は壊れる危険がある。生活が壊れることは、人間にとって
   たいへんな苦痛となる。
  ■生活を支えるのは「お金」「時間」「健康」「人間関係」
   「社会的労働」「政治」「平和」

 2。生活にゆとりがあれば、「文化的に生きる」条件が広がる。
  ◇「ゆとり」とは・・・。
   *「当面の必要を満たしたあとに、自由に使うことが出来る
    空間・時間や体力、他のことを考えるだけの気力があること」
               (三省堂『新明解国語辞典』第7版)
   *自由な時間=何をするか選べる時間=その人らしさをつくる。
  ◇お金の面でのゆとりは・・・。
         日本は必要な生活費にやたらとお金がかかる国。
   *住宅、教育、医療、保育、介護、移動、通信・・・。
    生活必需品にもかかる消費税・・・。
   *生活費だけでカツカツ・・・の人が増加。
    使い方を「選べる」お金が少ない。

二。雇われて働く=労働条件はどうやって決まるのか
 
1。生活の質と労働条件は直結。働きやすさも。
              だから労働条件にこだわる。交渉する。
  ◇いくら賃金をもらうか、働く時間はどれぐらいか、自分の希望
   する日に休めるか・・・。
  ◇休憩時間、仕事量、残業代、職場環境、配置転換、安全衛生、
   有給休暇、研修機会・・・
  ◇職場内における正規・非正規の割合・・・。離職率も判断基準のひとつ。
  ◇職場にハラスメントはないか、差別はないか、ものが言える
   雰囲気があるか・・・。
  ◇妊娠・出産・育児にさいして、安心して休暇を取ることができるか。
  ◇きちんとした人員がいて、民主的な風土があってこそ、いい仕事も
   できる。

  ■労働基準法第2条「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場に
  おいて決定すべきものである」。ただじっさいは、労働条件を決める
  力(先に提示できる力)は、使用者が持っている。業務内容、雇用
  形態、人事権も使用者に決定力。つまり立場が強い。
  ■労働者はひとりで労働条件の交渉(条件提示すること)ができるか?

  ◇ここで、雇われ組の先輩たちのお話(歴史)。
   *18世紀のイギリス。産業革命。「雇われて働く人」(労働者)
    たちが増大。
   *しかし、長時間労働、低賃金、首切り自由、セーフティネットなし、
    住環境悪く・・・。
   *パブを拠点に徒党の組み方を発展。まずはみんなで助けあい
   (共済活動)。
   *次に、みんなで仕事拒否(ストライキ)。みんなで交渉する
    労働者は数が多いから、「みんなで」を武器にすれば対等に
    交渉可能。雇用主にものが言える!
   *恒常的・日常的に「みんなの力」をたばね、強めるために組織
    として労働組合(ユニオンUnion)結成。1799年団結禁止法。
    でも生活がある(尊厳)。弾圧のりこえ権利としての労働組合
    1824年。国の法律として争議権(ストライキ)をふくむ労働
    基本権が確立1906年。団結禁止法制定から100年以上。世界中
    にたたかいと権利が広がる。

   ★こうした200年以上にわたる先輩労働者たちの厳しくも熱い
    たたかいがあったからこそ、さまざまな権利や働くルール
    (労働法)が獲得されてきている。

   「新しい世代がしばしば当たり前とのこととして受け取っている
   ものは、実は、前の世代の厳しい闘いの成果であることが忘れら
   れるものである」(ネルー・インド元首相)

  ◇日本国憲法28条の、労働基本権(労働三権)
   ◎「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする
    権利は、これを保障する」
   *団体交渉権・ストライキ権(争議権)も、特別な権利として
    保障されている。
   *使用者と労働者は、労働契約でむすばれる私的関係。でも憲法
    は一方的に労働者に肩入れ。労働者の尊厳(人間的に扱われる
    権利)をまもるための手段を保障。
    ・「27条・28条は、経済市場において労働者等を勇気づける
    (empowerする)ことを要求しているのである」
      (青井未帆・山本龍彦『憲法Ⅰ 人権』有斐閣、2016年)
   *労働者が「ものが言える」こと-よりよい職場づくりの土台で
    あり保障。

 2。日本の「雇われ組」の現状と人権感覚について
  ◇ひと言でいえば、「ゆとり」なし。
  ◇「おかしい」ことを「おかしい」と感じ、声をあげる力を育てよう
   -人権感覚をみがく
   *「おかしさ」が恒常的になると、「常識化」する。「どこも
    こんなもんだ」「しょうがない」「働けているだけでしあわ
    せだ」。がまん、あきらめることで適応することも。「人間
    らしさ」「幸せ」の“基準”“限度”は、上下する。上げるのは大
    変。下げるのは簡単。
  ◇自分の生活や人生、働き方の「質」「あり方」を考え問うこと
   ―訓練や環境が必要
  ◇国家(政治)が「個人の尊厳」を置き去りにする日本社会のなかで
   *介護、福祉のシステム自体が「尊厳」よりも「制度」「利益」に
    ゆさぶられている状況。でも目の前の人の尊厳を置き去りに
    するわけにはいかない。
   *そのしわ寄せ(犠牲)はシステムを支える労働者集団に。でも
    私たちはシステムを支える道具ではない。尊厳の担い手である
    個人。人間らしく!の声をつなげ、連帯しよう。
   *みずからの人権感覚を研ぎ澄ませること(生活や人生を大事にし、
    質を問うこと)と、目の前の利用者さんの人権を尊重すること
    とは、同じ地平にある。補強・補完関係。

さいごに:学習活動を継続的に。認識を変えるのは大変な作業。ねばり
     強く。「理解」が行動につながる。学びの場を保障する。
     労働組合自身が覚悟をきめて学習活動に取り組む。

久しぶりに「知る会」なるものに・・・

金曜日(11日)の夕方は、
ソワニエ看護専門学校での「民青を知る会」に。
私は学習会講師の役目で、
人間をどうみるのか(尊厳の話)と
奨学金の問題・ブラックバイトの話をしました。

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感想交流では、学費や生活の切実な話がたくさん出され…。
ほんと、人間を大事にしない国で生きるのはたいへんです。
変えたい。

参加された看護学生さんは、みな感性よく、
自分の意見をしっかり言っていました。
これからもしっかり学んでいってほしいです。