長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『社会権―人権を実現するもの』を読んで

『社会権ー人権を実現するもの』
(竹内章郎・吉崎祥司、大月書店、2017年3月)
を読み終える。

f:id:benkaku:20170802150022j:plain

超要約・超翻訳すれば、
社会権の確立なしに私たちの自由はない、
ということになるだろう。

しかし、
「社会権が、制度としても社会意識・社会文化と
しても、そして思想や理論においても確立して
おらず、むしろ衰退している」(12P)
という日本社会の寒々しい現実がある。

その危機感からの学問的書籍であり、
非常に原理的で深い理論的解明がある。

自由権と社会権の根源からのとらえなおし。
社会権を無条件で要求できる根拠。

私にとって有益な学びだったが、
いかんせん、うんざりするほど難しすぎる。
抽象的叙述の多用。これでは「読めない」。

学者先生だからこうした理論書になるのだ、
といってしまえばそのとおりだけれど、
多くの人に読んでもらい、社会権の意義を共有し、
たたかいに生かしてもらうことが目的だとすれば、
もっともっと書き方の工夫はしてほしかった。

だがくじけず前を向こう。

「学者のするむずかしい専門的な話を、市井(しせい)の
ふつうの市民の日常的なロジックや語彙で言い換え、わか
りやすい喩(たと)え話を探し出す、そういう仕事をする」
(内田樹『街場の文体論』)
のが、ぼくの役割だと思うから。

「浮世絵揃い踏み」展に

相方との2週間ぶりの外出は県立美術館へ。

f:id:benkaku:20170802094746j:plain

浮世絵って、なんでこんなに「新しさ」を感じるのか。
江戸人の生活と感性とは?

なんつったって、200年以上にわたって
鎖国体制をしき、独自の文化的蓄積をしてきたのが
江戸時代です。もちろん自然も今よりはるかに豊か。

現代的観点からすればもちろん
負の側面は目立ちますが、
この時代の社会的雰囲気や気質は興味深いです。

生協労組おかやまの学習会3連ちゃん

先週金曜日(28日)の夜は
生協労組おかやまの新分会長研修にて講師仕事。

f:id:benkaku:20170731121246j:plain

分会とは職場単位でつくっているもので、
組合活動のベースになるところです。

先日の定期大会を受けて新しく選ばれた分会代表者の研修会。
だいたいの職場では「順番で」「くじ引きで」決まるみたいです。
そういう決め方でも、ちゃんと会議に来てくれるのがすごいなと。
労働組合の活動が染み込んでいるからでしょうか。

分会数も多く、研修会もいちどうには無理なので、
全部で4回あります。 
私からは労働組合のそもそもをざっくり。

後半は専従のうっちーさんが分会長の役割について。
参加者の問題意識や意見を聞きながら進めていて、
やりとりがおもしろく参考になりました。



そして翌日(29日)は9時半から
生協労組おかやまの中央執行委員会にて講師仕事。

f:id:benkaku:20170731121424j:plain

1回目の執行委員会ということで
労働組合のそもそもを中心に50分ほど。
休憩はさみ4つのグループに分かれて交流。

自分の大切なものを使いながら、
自分の大切なものを拡大していく活動。
そこがむずかしさであり、おもしろさであり。

 

そんでもって今日(31日)午前中は2回目の新分会長研修。
参加はおふたりだったので職場の状況やら
ゆとりについて聞きながら労働組合のそもそもの基本を押さえる。
ある方の職場の人間関係の問題を聞きながら、
うーん複雑でむずかしそうだと頭を悩ませました・・・。

f:id:benkaku:20170731121533j:plain

 

1日家にいる生活

予定がない休みの日は1日家にいる。
最近の生活です。

相方が病気になる前はそれぞれ忙しかったので
休みの日があうことがそもそも少なかった。
休みがあえば、映画観たりお出かけしたり旅行したり。

だから、2人そろって1日家にいるなんて、年に数えるほど。
いまはそれが普通に。不思議なものです。

暑さもあり、きのうもゆるゆると過ごしました。
それが夏の正しい過ごしかたでもありますので。
がんばらない。動かない。

本読んだり次の旅行計画の相談したり。
お昼はコープ大福に行ったついでに
丸亀製麺で天ぷらだけ買ってお蕎麦をしました。

f:id:benkaku:20170731093019j:plain


にゃんずもゆるゆるしてます。

f:id:benkaku:20170731093037j:plain

f:id:benkaku:20170731093051j:plain

5年目の平和ゼミナールがスタート

きのう(27日)午後は、
岡山県民医連の第5回平和ゼミナールの1回目

今年も10回のカリキュラムで、
来年の4月まで月イチで集まって、
戦争や憲法や自衛隊や沖縄のことについて学びあいます。
フィールドワークも2回。

毎度のことながら、
ぼくは学びのサポート&講師で参加します。
1回目から関わっているので、今年で5年目になります。
若い人と学べるのは素直にうれしい。

きのうは偏愛マップ自己紹介交流をしたあと、
事前課題文献『だけじゃない憲法』(種田和敏)の感想交流、
歴史や平和問題のそれぞれの経験を交流するなど。

f:id:benkaku:20170728100446j:plain

偏愛交流で一気に雰囲気変わりましたね。
これからが楽しみです。

夏バテぎみのつぶやき

7月後半になったらちょっと余裕でるかなと
思ってましたけど、そうでもなかったです・・・。
けっこう仕事に追われております。

おまけに酷暑が続いていて、
夏バテぎみ。
なんとかやっておりますけど。

ようやく安倍政権の終わりが見えてきましたけど、
これは相手が墓穴ほっているという色合いが強いわけで、
こちらの力が相手に接近しているという
わけではないと思います。

学習運動もそうですけど、まわりの運動をみても、
活動の力がアップしているとは思えません。

若い人が政治にきちんとコミットしているかといえば、
まだまだですよね。全体的にみれば。

活動家を育てるペースを飛躍させないとだめだと思っています。

もみの木保育園で歴史を学ぶ意味について

きのう(25日)は19時から
もみの木保育園での職員学習会3回目。

f:id:benkaku:20170726093226j:plain

ものの見方シリーズで、
歴史を学ぶ意味について「時間認識」の観点からあれこれ。

ある保育士さんの感想

「今、あたりまえだと思っていることは、昔あたり
まえではなかったかもしれない。将来あたりまえで
はなくなるかもしれない。あたりまえにとらわれ
ぎると発展もないと感じました。あたりまえの歴史
を知ることでどんな成り立ちがあるのか、どんなふ
うに人はあゆんできたのか、これからどう生きてい
くのか考えていきたいと思いました」

国会中継とゴーヤと絵手紙

きのう(24日)は介護休みの1日。
国会中継のラジオを聞く時間があるってすごいですね。
どっちが嘘ついてるのか、じっと聞いてればよく伝わります。

夜はゴーヤチャンプルつくりました。

f:id:benkaku:20170725095222j:plain


伯母が相方に毎日絵手紙を描いて送ってくれます。
びっくりです。心の栄養に。部屋にかざってみました。

f:id:benkaku:20170725095214j:plain



医学生さんと貧困問題の学習会

22日(土)の夕方は
岡山民医連の奨学生(医学生)対象の学習会へ

f:id:benkaku:20170725094926j:plain

テーマは「憲法と貧困」
4人の学生さん+職員+現役医師が参加。

貧困問題に比重を置き、あれこれ質問しながら、
考えながらの展開。
貧困とは? なぜ貧困が生まれるのか?
構造や人間観、国の政策の問題など。

終了後は冷やし中華を食べながら交流。
医学生って、いろんなバックボーンや
こだわりもってておもしろいです。

「知っている人が行動しなければ」

今日(22日)は午後、
民青同盟岡山県委員会の憲法学習会3回目。
「改憲問題を深める」というテーマで、
憲法のそもそもをおさらいしたあと、なぜ憲法を変えたいのか?
自民党の改正草案の中身、自衛隊明記の改憲案の争点、という流れ。

f:id:benkaku:20170722152945j:plain

■自民党の改憲草案を読んで怖い気持ちになり
ました。今まで改憲しようとしていることは
知っていても中身をちゃんと知らなかったので
説明してもらえて良かった。あからさまに自分
たちのやりたいことが書いてあってそういった
考え方をしているんだと多くの人も勉強できた
らいいなと思った。

■自民党の改憲草案が、国ではなく国民の生活
を縛るものということがなんとなくわかりま
した。少しでも危機感を持つ人が増えるよう、
知っている人が行動しなければならないと改め
て思いました。

などの感想。

竹内章朗「優生思想の根深さにどう向き合うのか」 メモ

『前衛』8月号、竹内章朗論文
「優生思想の根深さにどう向き合うのか」を読んだ。
優生思想の歴史や能力主義との結びつきを考えるうえで
示唆に富む内容だった。おすすめです。


以下、自分用のメモです。

■生物学的決定論には、それにもとづく優勝劣敗
ということがかならず含まれています。そして
その優勝劣敗には、たんに生死だけでなく、そこ
に至る、劣った生の排除ということも含まれます。
その排除や差別は別に殺すことだけでなく、医療
であったり、ケアや社会福祉の現実の中にも入り
こんできますし、ケアなどの享受の際にも、その
必要のある人とない人との分断という形でも優生
思想が現れるのです。そうした議論への批判が、
これまでの優生学研究のなかで弱いことも手伝っ
て、優生思想はいまなお、社会全体に広がって
影響をあたえていると思います。(125P)

■もっと言えば、近代の能力主義の根幹と優生思
想が結びついていることも考える必要があります。
たんに生と死ということだけではなく、その間に、
劣った生は排除したり、「死に近い生」に追い込
むという状況をつくる中にも優生思想があります。
だから能力によって差別、抑圧する能力主義と
優生思想はほとんど同根です。直接、殺すまでは
いたらなくとも、高齢者の処遇や障がい者の処遇
のなかにも優生思想は浸透します。私は社会全体
に能力主義競争があるということ自体を、優生思
想的だと捉えるべきだと思っています。優勝劣敗
というのは能力主義差別とまったく同じだからで
す。能力次第での給料の高低から、重度障がい者
を人里離れた山奥に隔離してしまうことなど、具
体的な形態はさまざまでしょう。またもちろん、
直接の殺害と隔離収容などとの大きな違いに注意
する必要もありますが、優勝劣敗という点は、能
力主義と同じです。そういうふうに拡大してみる
必要があると思います。(125~126P)

■現代人には、健康であること、できれば障がい
がない方がいいという思いがあります。それは私
も同じです。そこには「本来の人間」という像が
あり、どこかでそれ以外の人は「本来の人間にな
るべきだ」と考える。そして、普通にものごとを
考えるときは、そうでない人間を排除し、省いて
しまうというところがないでしょうか。そう考え
ると、優生思想とは、たんに生死の決定、殺す、
暴行するということだけでなく、「本来の人間」
に入らない人を嫌がる、排除することをも含んで
いると言えます。(130P)

■社会と日常の隅々にまで優生思想は浸透し得る
し、それは誰にとっても免れることが相当に難し
い問題として考えないといけないと思います。

■もともと健康や健常をもとめるということと病
者や障がい者を受け入れるということには矛盾す
る面があり、その両方が必要なことは確かだと
思っています。しかし両面とも、ヒューマニス
ティックなことをめざす考え方であるにもかか
わらず、その各々だけで突きすすむと反ヒュー
マニズムになってしまう。そういう矛盾、二律
背反を克服するような文化や社会を創出しなけ
ればいけないのですが、しかしそれは、まだまだ
とても弱いのです。この点は、しっかり見据える
必要があると思います。

■能力主義的差別は最後の差別(136P)

■能力は個人の私的所有としてのみとらえやすい
ため、自己責任を問いやすい。そうしたことが、
優生思想的なものを肯定するものとしても機能
する。(130P)

■はたして能力は単純に個人のものと言えるでし
ょうか、個人の私的所有物としてとらえきって
いいのでしょうか。優生思想の克服を考えると
きに、そのことをしつこく言い続ける必要がある
と思っています。私は、「能力の共同性」という
ことを言ってきました(137P)

■優生思想は、端っこにちょっとあるといった程
度のものであるのではなく、歴史上のいろいろな
思想や社会が優生思想がらみだったのです。(138P)

「学ぶための『入門の壁』があるように感じます」

19日、長野から移動し、18時から富山県労連にて講師仕事。
全労連わくわく講座を4回のオープン講座として開催。
4回とも長野民医連での講師のあと富山に寄るという流れ。

f:id:benkaku:20170720104440j:plain

f:id:benkaku:20170720104455j:plain

f:id:benkaku:20170720104513j:plain

この日は1回目で、労働組合のそもそも。
講義の後グループワーク。20数名の参加。
みなさん活発に交流されていました。

にしても県労連の事務所が広い!!
びっくりしました。

そしてあと3回、富山に通います。


参加者の感想文を少し紹介します。

■とても分かりやすかったです。最低賃金が1500円に
なってやっと年収300万になるということ、現実は
1000円もかなわない。最低賃金がもっと上がれば
現在世の中で起きているいろいろな問題が良い方向に
行くのではないかと思います(貧困、少子化等)。
おかしいことをおかしいと気づける力、それを声に出し
ていくためにも、学習することはとても大切で、今日、
参加できたことは本当に良かったと思いました。

■「労働組合とは」何回も聞いてますが、何回聞いても
おもしろいと思います。いろいろな方の説明を聞いて
いますが、聞くたびに初心にもどり頑張ろうと思います。
ついつい執行委員会に出てこない人が多くなると私は
ボランティアで労働組合の仕事をしているのかと思って
しまいます。私は誰のために、何のために行動している
のかを「わくわく講座」で再確認しています。

■人間らしい生活のためにあるのが労働組合と答えられる
ことが素晴らしいと思いました。ゆとりを多く持つため
にも、会社側と闘える労働組合になりたいと思います。
団結力を深めるコツが学べて良かったです。組合員の声を
大切にして団体交渉することを大切にしたいと思いました。

■今まで私は、それこそ労働組合というものを「なんと
なく」としか思っていませんでした。今日、いろいろな
方々のお話を聞いて、組合の力といものが大切なんだな
と強く感じました。「おかしい」ことを「おかしい」と
感じて、声に出せるように、自分のなかでトレーニング
をしていきたいと思います。

■おかしいことを感じる感覚がマヒしていると思った。
より働きやすくなるように、生きやすくなるよう、気づ
く力、声をあげる力をつけなければいけないと思った。
「勇気と覚悟は社会的なもの」という言葉が印象的でした。

■「おかしい」ことを「おかしい」と感じる、気づくこと
が大切。そのためには学ぶ。学ばないと気づけない!!
でも学ぶための『入門の壁』があるように感じます。
各組合、単組によって、導入のしかたや学習会のしかたが
異なります。10年以上労働者として働いてきましたが、
今の職場に4年前に入職し少しずつ組合の学習をして、
今になってようやく労働組合の大切さや、活動の内容が
わかりはじめたように思います。「おかしい」ことに
なれて、雇用者にすきなようにやとわれないように、
若い人も組合活動に楽しく参加できるように、学習会+α
のたのしみの工夫を考えていきたいです。