長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

「社会全体にみなぎる悠長さ」←かつての日本・・・

流れ着いて手にとった
『逝きし世の面影』(渡辺京二、平凡社ライブラリー)。

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とりあえず6章の「労働と身体」の
ところをツマミ読みしたのだけれど、イヤハヤおもしろい。
幕末前の日本人は、じつに悠長に、
時間や効率に縛られず働いていたということがよくわかる。

当時日本に訪れていた西洋人の著書などをベースにした研究。
時間や期日を守らない日本人と仕事をするのは
「苦痛」「忍耐」だと西洋人にいわれていたり、
歌を唄いながら働くという「苦役を楽しむ国民性」とか、
仕事を休むためにいろいろな「口実」が準備されているだとか
(釣りバカの浜ちゃん的労働者がかつては大勢いたのね・・・)。

著者は「社会全体にみなぎる悠長さ」と書いていたけれど、
時間とか効率とかに価値があるというのは、
ほんとここ100年ぐらいの話なんよね。資本主義の。
そしてそれが本来もっていた「ゆとり文化」を奪ってきた。

たしかに農業分野では日本人の「勤勉さ」「忍耐力」
というのはあったようですけど、
それも絶対の伝統なんてものではない。
現代の「あたりまえ」を相対化する歴史の学びです。