長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

労働力という商品を時間決めで売っている存在


が、労働者です。

しかも、それしか売るものがない。
売るものが他にないから、
それを売り続けないといけない。

これが、「自分は労働者である」ことへの理解の、
大事なポイントのひとつだと考えます。
そして、この「労働者である」という自覚が、
労働運動への結集の、有力な認識的根拠になると思います。

だから、ここのところを、しっかりイメージしてもらうために、
私は学習会で説明するとき、以下のような図をレジュメに貼って、
「労働力商品の再生産」について、解説しています。

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朝、職場に出勤するということ。
それは、あなたの身体のなかに備わっている、
肉体的・精神的な働くエネルギーである
「労働力商品」を
生産手段のもとに持ってくる行為です。

朝の時点では、このエネルギーは基本、満タンです。
元気に働けます。
しかし、夕方まで仕事をすると、
このエネルギーは枯渇します。減るのです。
肉的的にも精神的にもヘロヘロになります。
そして、退社します。

ところが、つぎの朝にも、このエネルギーの枯渇した
「労働力商品」を「元気な状態で」「エネルギーを回復させて」、
職場にもってこなくてはなりません。
次の朝だけではなく、来週も、来月も、来年もです。
それが資本家(経営者)との契約の基本です。
月に何日間、1日何時間、このエネルギーをこの職場で販売します、という。

前日、ヘロヘロになった
労働力商品(それはあなたの身体と一体のもの)を、
ふたたび「働けまっせー」の状態にして、
朝、生産手段のもとに(つまり職場)に、もっていく。


そのために、必要な費用はいくらでしょうか?
それが、賃金です。

また、労働力の再生産が不可能になるような
長時間労働や働き方は、制限しなければなりません。
適切な休養・休暇が必要です。


労働力商品は、私たちの命そのものです。
だから、労働者は、その安売りや、
命をけずるような働き方は、してはならないのです。
労働者にとって、健康であることの意味は、
労働力を再生産し続けないといけない存在である以上、
決定的に重いのです。


「労働力の健全な再生産」を妨げる資本の横暴を
ふせぐバリケードとして、労働法や労働基準法は存在します。
そして、労働組合によって、
労働者どうしの競争を制限していくことが必要なのです。


労働者として生きる覚悟をかためましょう。