長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

小畑先生 自民党の国防国家構想 講義メモ

さきほどまで、「わかる 明快 元気の出る憲法講座」でした。

(主催:憲法改悪反対共同センター&岡山県学習協)

 

講師は小畑隆資さん(政治学者・岡山大学名誉教授)。

いやー、めちゃめちゃおもしろかった。

読みがものすごく深い。歴史的。さすが小畑先生です。

 

同じ話を、4月30日(火)18:30~20:30で

聞けますので(会場勤労者福祉センター、参加費500円)、

ぜひ参加してくださいね!

 

 

わたしは受付をしていて、会場の外から

講義を聞いていたんですが、

ツイッターで連続的につぶやいていました。

スマホだったんで、量が伸びませんでしたが。

 

ということで、そのツイートをメモで。

 

 

 

憲法改悪反対岡山県共同センターの憲法学習会にきています。

これから小畑隆資さん(岡山大学名誉教授)のお話を聞きます。

 

小畑隆資さんの講義タイトルは「自民党の国防国家構想」。

昨年4月に発表された自民党の日本国憲法改正草案の検討です。

 

はじめにー あなたは、「日本国家」の一員ですか?

はい・いいえ

 

まず、自民党草案は、

現行憲法の前文がバッサリすべて変わっている。

こんなにも憲法観が違うのかというぐらい。

 

自民党草案が構想する国家とは。人権の制約。

たんに条文を変えただけではない。

憲法観そのものが根本から変えられている。

日本国憲法が語る憲法観と、

自民党草案が語る憲法観の比較。

 

日本国憲法がさす「国家」と「国民」の概念理解の大事さ。

おなじではない。

日本国憲法の「国民」は、「人民」に近い。

日本では、政府と政府の外側の境界が不明確であり、

自分を国家の一員だと思っている人が多い。

「国家」は支配機構である政府を意味する。

 

自民党草案の最大の問題であり、

その憲法観が凝縮されているのが、99条の改悪。

102条  全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」。

憲法尊重擁護義務に国民を加えたこと。

そして天皇・摂政が尊重擁護義務から除外されたこと。

 

国民は憲法制定主体から退けられて

憲法順守義務を課せられ、

他方で天皇は憲法順守義務から解除されて

「日本国の元首」(1条)となり、

「日本国」は「天皇を戴く国家」(前文)となる。

これが自民党憲法草案=国家構想の規定。

日本国憲法改正ではなく破壊。

 

自民党草案の「国家」概念の出発点は「個人」ではない。

自民党草案ではわざわざ13条の

「すべて国民は、個人として尊重される」の

「個人」を「人」に書き換えている。

「個人」以前に「国家」はあるものと構想。

自民党草案の前文にそれは色濃く表れている。

 

自民党草案前文のいう日本「固有の」「歴史」と

「文化」の「伝統」であるという規定。

日本の「歴史」や「文化」、

その「伝統」がいかなるものかは、

意見の分かれるところのもの。

一部の人々の頭のなかにある「歴史」「文化」「伝統」

の考えを押しつけている。

 

日本国憲法は、良心・思想の自由(19条)、

信教の自由(20条)、学問の自由(23条)を

「個人の尊厳」(24条)そのものであるとして、

「個人」として「尊重」(13条)することを

国家に義務づけている。

「国家」の介入を許さない神聖な領域として保障。

 

日本国憲法は基本的人権を

「侵されることのない永久の権利」と宣言。

前文ではその構想原理を「人類普遍の原理」とする。

自民党草案は、「普遍性」ではなく、日本の「固有性」、

日本の特殊性を前面に謳いあげ、

せまく勝手な「固有性」を権力的に上から押しつけ。

 

自民党草案の「公」概念は、

基本的人権を秩序=公の基本的視点とする

現行憲法の国家=公の観念とはまったく異なる。

前文にそれが明確。

自民党草案にひんぱんに登場する

「公益及び公の秩序」という言葉に注意。

 

自民党がこうまでして改憲に執念を燃やしているのは、

それだけ日本国憲法が彼ら(権力)を縛る

すばらしい力をもっているという証。

 

「朝まで生テレビで『国民に国を守る義務がある』?」の

議論をずっと聞いていたが、

「国を守る」とはどういうことなのか

という議論はいっさいなかった。