長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

非正規公務員、憲法の魂

岩波ブックレットを2冊読み終える。


『非正規公務員という問題-問われる公共サービスのあり方』
(上林陽治、岩波ブックレット、2013年5月)

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いまや公務員の3人に1人は非正規労働者。

根本的な雇用環境全体の問題と、

短期的な改善課題があるが、

本書は後者の課題を提起したものといえるか。

若干違和感があるところも。

 

以下メモ。

 

「経済的に自立することが困難な非常勤講師に依存し、

かつ、正規職員と同等以上の仕事をしながらその給料は

半分以下の臨時教員という存在を利用する。日本の

公教育は貧困を構造化して維持されている」

 

「非正規公務員に支払われる報酬・賃金や費用弁償は、

地方財政における歳出科目では、人件費ではなく物件費

という費目に計上される」

 

2012年度当初、ハローワーク(労働局含む)に勤務する

職員は、常勤職員1万1589人に対し、非常勤相談員は

2万0176人で、いまや職業紹介関係業務に従事する

職員の3人に2人は非常勤相談員なのである」

 

「職場の3分の1を占める職員層は『非』正規ではなく、

もはや『標準』である。ましてや彼女ら彼らの多くは基幹

職員化しつつある。にもかかわらず、その処遇はワーキ

ングプア層で、毎年度ごとに雇い止めの危機にさらされ」ている。



『いま、憲法の魂を選びとる』

(大江健三郎・奥平康弘・澤地久枝・三木睦子・小森陽一、

岩波ブックレット、2013年4月)

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三木睦子さんを偲び、つくられたブックレットといえるか。

安倍首相のもうひとりの祖父、安倍寛さんは

あの戦中において平和の大切さを説いていたという話は新鮮。

 

奥平康弘さんの「憲法は歴史を背負っている」という

言葉に深く納得。

前文しかり、基本的人権の条文ひとつひとつしかり。

 

「戦後の日本の民主主義の中で、現在の憲法によって、

私達が主権者としてどのように国家と対峙してきたのか

ということの全過程こそが、私達が現行憲法を血肉化

してきた歴史です。それをどう総括するか」(小森陽一)

 

ふむ。