長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

おおいに、「妖怪のせい」にしよう

雑誌『女性のひろば』5月号を眺め終える。

あいかわらず
読んでいて勉強になる記事が多いのだが、
今号、なんといっても
ぼくの中でヒットだったのは、
「『妖怪ウォッチ』と子どもの心」(増田修治)
であった。

ちょうどピケティを語った拙文の
あとに配置されており、
4ページなので、さくっと読めるが、
内容は「そうだったのかー!!」と
目からウロコの衝撃度160%。

わたくし、
妖怪ウォッチの漫画もアニメも
まったく見たことがないのですが、
子どもたちのあいだでそれはそれは
人気があることだけは、知っていた。

その秘密が、この増田さんの記事を
読んでわかったのである。

すべてを「妖怪のせい」にすることによって、
子どもたちは、ゆとりのない人間関係や
自己精神の「安定」をはかっている、
との分析であった。

合点がいった。とてもいった。

この「人のせいにする」というのは、
私の座右の書の1冊、
『ストレス「善玉」論』のなかで、
中沢正夫医師によっても推奨されている。

「『責任転嫁』や『他罰的であること』は、人の
もっとも恥ずべきこととされている。しかし、
自分の日常的な身の処し方をよく考えてほしい。
“他人のせいにする”という手は、意識的、
無意識的によく使われて“自分”を守ってくれて
いるのである。これこそ人が精神的に安定して
生きるためのコツなのである。時にはうしろめ
たさを覚えながら使い、時にはそれさえ感じぬ
ほど自分をうまくだまして使っている」(186P)

これは、ひじょーに大事な問題である。
とくに運動を仕事にするような活動家にとって、
運動の困難を「自分の努力のせい」「自分の力の
いたらなさ」と考えてしまえば、これはもう
しんどいことこのうえない。精神衛生上よろしくない。

うまくいかないのは、
自分の力のなさが3分の1
客観的情勢・条件が困難なのだと考えるのが3分の1
残りの3分の1ぐらいは「他人のせい」
と考えるのが、よいと思う。

私もじっさいホンネのところは
そのぐらいのアンバイで
バランスをとっている。

もちろん、これを具体的に周りの人に
言ってはダメである。嫌われるからだ。

しかし、心のバランスをとるためには、
「○○のせい」は欠かせないと実際思う。

心をラクにする術を知っておくと、
長続きするし、
自分に向かう力も蓄えられるのである。

『学習の友』が増えないのは妖怪のせい。
労働学校になかなか人が集まらないのも
妖怪のせい。

このように総括文に書けたら、
それはそれはラクだろう。
(やらないけど)

子どもたちにとって、
それほどこの社会で生きていることは
タイヘンなのだ。
おおいに妖怪のせいにしてほしい。

そのことで
いくぶんかでも救われるのであれば。