長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

「労働者って、誰のこと?」

昨夜は、「労働組合たんけん隊講座」第1講義でした。
19名が参加(女性10人、男性9人)。

内容充実のスタートでした。
1回目ということで、交流を重視し、
講義45分、グループ感想交流30分、
自己紹介交流30分という時間配分。

さまざまな職場からきているので、
講義を受けての感想交流も
自己紹介交流も活発にもりあがりました☆

参加の内訳は、
岡山医療生協労組7人、
岡山市職労3人、
自治労連1人、
高教組1人、
福祉保育労1人、
県労会議1人、
生協関連・一般労組1人、
通信労組1人、
未組織3人、
でした。

第1講義「労働者って、誰のこと?―労働組合のそもそも」
(講師:長久)のポイントは以下。

*労働組合のことは学校ではあまり教えてくれない。
*わかれば、問題意識や意欲がうまれる。視点が変わる。
*労働組合のかかげる旗は―「人間らしい生活のために」
*「生活」とは、さまざまな要素の集合体。
*生活の中心に位置するのは文化。
*生活のなかで幸せを感じたり、生活がその人らしさをつくる。
*生活を支えるものは、「お金」「時間」「健康」「人間関係」「社会的労働」。
*生活には、「生存を保つ」という側面と、「よりよく生きる」という側面がある。
*生活にゆとりがあれば、「よりよく生きる」条件が広がる。
*「ゆとり」とは・・・。
*ちなみに「ゆとり」は、「寛容」や「民主主義」、「主権者としての成長」にも。
*災害や戦争―日常生活が根底から崩れることは、「その人らしさ」「尊厳」の
喪失に。
*お金の面でのゆとりは・・・。日本は必要な生活費にやたらとお金がかかる国。
*住宅、教育、医療、保育、介護、移動、通信・・・。生活必需品にもかかる消
費税・・・。
*生活費だけでカツカツ・・・の人が増加。「よりよく生きる」ためにまわすお
金が…。
*お金をどうやって手に入れるか(お金はわいてこない)→労働による所得。
*自営業で働く(600万人)、農林漁業で働く(200万人)←雇用関係なし組
*誰かに雇われて働く(5200万人)←雇われ組(これが労働者)
*使用者と労働契約。
*時間を決めて働く(これがないと奴隷に。雇用関係は人的従属性が強い)。
*自分の働く力(労働力)を販売。
*対価として賃金=よりよく生きるための生活費。
*労働条件というのは、生活(ときには人生)と働き方(働きやすさ)を左右する。
*いくら賃金をもらうか、働く時間はどれぐらいか。
*自分の希望する日に休めるか・・・。
*休憩時間、仕事量、残業代、職場環境・・・。
*配置転換、安全衛生、有給休暇、研修機会・・・。
*職場内における正規・非正規の割合・・・
*職場にハラスメントはないか、差別はないか。
*ものが言える雰囲気があるか・・・。
*妊娠・出産・育児にさいして、安心して休暇を取ることができるか。
*きちんとした人員がいて、民主的な風土があってこそ、いい仕事もできる。
*労働基準法第2条
*「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」
*じっさいには、さまざまな労働条件を決める力は、使用者が持っている。
*契約の自由は、当事者が対等な立場にある場合にのみ成り立つ。
*労働者はひとりで労働条件の交渉ができるか?
*ここで、雇われ組の先輩たちのお話(詳細は第4講義で)。
*18世紀のイギリス。産業革命。「雇われて働く人」(労働者)たちが激増した。
*しかし、長時間労働、低賃金、首切り自由、セーフティネットなし、住環境悪
く・・・
*経営者の言われるがままの労働条件。最初の抵抗は「盗み」や「機械打ちこわ
し」。
*しかし、労働者はバラバラではダメだと徒党を組み始めた。パブが拠点に。
*みんなで仕事拒否。みんなで交渉。みんなで助けあい(共済活動)。
*数が多い。「みんなで」を武器にすれば対等に近づける、雇用主にものが言える!
*労働組合結成。弾圧のりこえ権利としての団結組織。世界中に労働運動広がる。
*職場内闘争の限界を突破するための政治的たたかいも(法律や制度を変える)。
*200年以上にわたる先輩労働者たちの厳しくも熱いたたかい。
*さまざまな権利や働くルール(労働法)が獲得されてきている。
*それぞれの労働組合にも歴史あり。
*みなさんたちはすでに先輩方のたたかいの恩恵を受けている存在。
*次の仲間にそれを受け渡していくことが大事。
*日本国憲法28条の、労働基本権(労働三権)
*「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを
保障する」
*団体交渉権・ストライキ権(争議権の中心)は、労働組合にだけ認められてい
る特別な権利。
*立場の弱い労働者に「これでがんばれ」と手段をあたえる趣旨。
*日本の「雇われ組」の現状―ひと言でいえば、「ゆとり」なし
*すべての労働者の「人間らしい働き方」「よりよい生活」のために。
*労働組合は、社会的役割を担っている(期待されている)存在。
*労働組合の力(連帯と団結の力)をつかって、世のため人のためにも、活動する。
*最も立場の弱い労働者をも代表してたたかう。
*基本的人権の担い手として活動する。
*そうした社会的役割を期待するからこそ、労働基本権を無条件で保障している。
*立場が弱い人、差別されている人、痛みを強いられている人を「ほっとかな
い」組織。
*尊厳を守る(憲法の目的と合致)。
*たとえば非正規労働者の劣悪な労働条件や不安定雇用改善のために取り組みを
強める。
*組織化をする。大きな背景にある政治とたたかう。
*そうしてこそ、自分たちの働き方も守られていく。
*またそれがないと、労働組合は信頼を失っていく。
*社会正義の実現、憲法がめざす社会の実現のために活動する「なんでも屋」。
*さいごに。組合活動の困難さ(「みんなで」の弱まり)→認識がバラバラだから。
*認識を高める、一致させる学習活動がとても大事。
*話しあえる、学びあえる場を労働組合の中に目的意識的につくりましょう。
*次回(6月5日金曜日)の第2講義は「働き方と労働組合」。
*賃金とは何か、労働時間とは何か、をより詳しく。「人間らしい働き方」を考
えます。

以上。

【参加者の感想文をいくつか紹介します☆】

■「時間を決めて、働く力を販売する人」。時間を決めないと、奴隷に
なってしまうというのがとても大事だと思いました。サービス残業など
労働時間がどんどんのばされている現状・・・。使用者と対等に近い
立場で交渉するため・・・よりよく生きるため、人間らしい労働をするため、
労働組合は大切!!

■労働組合の存在価値を改めて知ることができた。働くことは
そのまま人の生活や生きることに密接につながっていることも
よくわかった。

■カツカツな生活を実行中。ただでさえ、カツカツだと思っているけど、
最賃体験中、719円でどうやってカツカツせずに暮らせるだろう。
毎日、食べものを買うこと、のみものを買うことの後ろめたさを感じて
いる。働いても働いても、残るのは疲労感。

■ハラスメントや、差別について、とても熱心に聞いてしまいました。
組合員に入っていない人ほど、悩みを持っている人も多いので、
入ってないから助けないではなく、まず話を聞いて、助けの手を
さしのべ、徐々に入ってもらえるようにしたい。

■ほんとうに大事なことだと思ったし、やっぱり一緒に働くものたちと
こういうことを一緒に学んで、同じ気持ちで仕事をしていけたらいいなと
思った。「ゆとり」がとにかくほしい。がんばっている人がむくわれる
世の中になるように。毎日、家庭でもイライラするし、家族にも申し訳
ないし、こんなんだったら仕事やめようか、とも本気で思います。けど、
お金もいるしなぁ~。

■労働者はどんな人たちで、労働組合はどんな役割を担っているのか、
あらためて学習できました。人間らしい生活のために! という旗を
かかげるというのはシビレますね。あと「ゆとり」って本来良いことば
なんだよなぁ・・・と考えさせられた。

■生活が生きること、というのが印象的でした。ゆとりが欲しいです。
仕事中時々イライラします。これはゆとりがないからか!

■労働基本権がある日本国憲法って改めてすごい!と思った。
「よりよく生きるため」ってポイントだと思った。どんな人も「ほっとかない」
労働組合についてもっと知りたいと思った。