長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

日本国憲法と労働組合

きのう(26日)のお昼休みの時間帯に、
岡山医療生協労組の協立病院看護委員会に。
春ぐらいから、毎月1回のこの会議で学習を
していて、講師として参加しています。

看護の現場ってたいへんなので、
組合活動も意識的に持ち込まないと、
日々の業務のなかで埋没してしまいます。

このお昼休み学習会では、毎回、労働組合の
基本的な部分を学習しています。

きのうは、「日本国憲法と労働組合」というテーマで
学習しました。以下、こんな内容です。

はじめに:労働組合の基礎は、憲法にあり。

一。「人間らしさ」とはなんだろう
 
1。それを考えるのが人間でもある
  ◇動物には、あまり「~らしい」を使わない。

   「らしい」とは、「・・・といわれるだけの諸条件を十分に備えている様子」
                    (三省堂『新明解国語辞典』第7版)

 2。人間でありながら、人間でない「あり方」「状態」もある
  ◇つまり、「諸条件」を奪われているのではないか、という認識

   *たとえば、自由にものが言えないこと
   *たとえば、自由に移動できること
   *たとえば、人にランクづけがされること
   *たとえば、人間がモノのように売り買いされること
   *たとえば、生活にゆとりがないこと
   *たとえば、教育を受けられないこと
   *たとえば、働ける力と意志があるのに、働けないこと

  ■不自由の自覚→自由の獲得へ(人間の歴史は自由拡大の歴史)

 3。「人間らしく生きる」内容を、1つひとつ「人権」として確定させてきた。
  ◇「人間らしさ」の目録の結晶が、日本国憲法

    「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年に
    わたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去
    幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことの
    できない永久の権利として信託されたものである」(97条)

   *13条「個人の尊重」「生命・自由・幸福追求」
    -1人ひとり、かけがえがない
   *14条「法の下に平等」―みんな平等だ
   *15条「公務員の選定権」―選挙で代表を選ぶ
   *16条「請願権」―お上にもの申せる
   *18条「奴隷的拘束を受けない」―だれの奴隷にもならない
   *19条「思想及び良心の自由」―なにを考えなにを正しいと思うかは自由
   *20条「信教の自由」―なにを信じるのか(信じないのか)も自由
   *21条「集会、結社、言論、出版、その他一切の表現の自由」
    ―伝えあう自由
   *22条「居住」「職業選択の自由」―どこに住むのか、なにを職業とするか
   *23条「学問の自由」―なにを学ぶか
   *24条「両性の本質的平等」
    ―両性は平等であり誰と結婚するかは本人たち次第
   *25条「健康で文化的な生活」
    ―誰もがゆとりのある生活をおくる権利がある
   *26条「教育をひとしく受ける権利」―ひとしく教育を受けられる
   *27条「勤労の権利」―人間らしく働ける権利
   *28条「団結権・団体交渉権・団体行動権」―人間らしさを実現する組織
   *9条「武力の行使の放棄」「戦力の不保持」―生活の土台は平和であると

二。憲法が私たちに呼びかけていること
 
1。主権者としての努力
  ◇不断の努力(12条)―こつこつがんばれ

   「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の
   努力によつて、これを保持しなければならない」

   ・憲法を自分のものとしてとらえ直す努力―歴史を知る・基本的人権を知る
   ・不当なこと、理不尽なこと、おかしなことにたいして
   ・見てみぬふりをしない。ほっとけない、という感覚(本物の人権感覚)。

  ◇表現の自由(21条)―集まり、組織し、話しあう、書きあう。伝えあう。

   「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」

 2。労働組合は、不断の努力をすすめる組織の中心、たたかいの主役
  ◇労働組合の労働基本権(28条)は、憲法第3章「国民の権利及び義務」の
   なかに
   *つまり「人間らしさ」獲得のために必要不可欠のもの、ということ。

  ◇労働基本権(28条)―組合つくれ・要求せよ・たたかいだ!
   *憲法のかかげている理念や基本的人権の実現のために
    必要不可欠な労働組合。その活動を特別に保障する必要。
    人間らしさを求める「たたかい」の主役。
   *人権・権利よりも、職場の「空気」が優先されがちな日本。労働組合が
    本来の役割をきちんと果たし、職場で地域で、1人ひとりの人権を守る
    砦になっていく。

  ◇1人ひとりの労働組合員・労働者が、憲法を自分のものとして身体化する
   *憲法を字面(じづら)だけでなく、行動や判断の指針にする
   *人権とはなにか、憲法が私たちに何を求めているのかを理解している
    労働者が職場の多数になれば、職場は大きく変化する。

さいごに:個人の尊重(13条)―誰の命も生活も、かけがえがない。
   *ひとりも見捨てない職場。ひとりも見捨てない地域。
    ひとりも見捨てない社会。
   *そうした職場・地域・社会をつくるたたかいに、労働組合は不可欠。

以上。


学習会では、日頃の組合活動のこと、
看護師さんのたたかいの歴史などについても話題に。

とにかく、地道に基礎を固めていく学びが大事です。
引き続き、がんばります。