長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

「基本の積み重ねに十分過ぎることはない」

先日読んだ
『わたしの暮らしのヒント集』(暮らしの手帖社)の
久保田由希さん(洋菓子教室主宰)の「ものの見方」が
とても印象に残っている。

フランス伝統菓子の素材とレシピを守り、
それを作り続けている久保田さん。

洋菓子にありがちな華美な装飾やアレンジは
一切ほどこさず、ただただ伝統の製法にこだわり、
忠実につくるよう、心がけているそう。

以下、メモ的に引用。

「地味だとか、オリジナルティがない、とも言われる
んです。でも伝統には伝統の秘めた美しさがあり、
その完成度の高さにはかなわない。だからこそ
強くひかれるんだと思います。わたしには基礎を
崩してまでオリジナルティは必要ありません。それより
何百年も前の伝統菓子が今日まで変わらず親しまれて
きた理由を知りたいし、その味を伝えていきたいと思う。
まだまだ基礎を極めることが重要なんです」

「基礎の積み重ねに十分すぎることはありません。
繰り返した分だけ、自信につながることも実感しました」

「技術も心持ちも、基礎という地面に這わせる」

「基礎を培ってこそ、応用ができ、オリジナルが
生まれると信じています。基本に忠実であることは、
創造するうえでの、自分の芯にもつながります」



学習運動も、「基礎理論の普及」ということを
運動の目的の柱のひとつにすえている。

久保田さんがいうように、
「基礎の積み重ね」「繰り返した分だけ、自信につながる」
というのは、とてもよくわかる。
継続的に基本的な学習をしてきている組織には、
かならず変化が起きている。活動への自信が生まれるからだ。

どうしても運動なので、現局面の課題に対応した
学習活動が多くなるのはやむをえない。
だけど、ほんとうに組織の力を育て強くするには、
「基礎の繰り返し」だとあらためて思うし、
体験上も実感している。

石川康宏教授は『社会のしくみのかじり方』(新日本出版社)の
なかで、
「『基礎』は『土台』ということです。いろんな問題を
とらえる時に、ドッシリと出発点として役立つものという
意味です」
と、基礎理論学習の大切さを強調している。

労働組合運動であるならば、やはり、
「労働組合とはなにか」「労働組合の歴史」
「活動の原則」「日本国憲法と労働組合」
などが、まずもっての「基礎」にあたると思う。

しかし、こうした学習は、ときどきは企画されても、
「繰り返し」やっているかといえば、不十分だと思う。
「基礎を固められていない」といつも感じる。

そして、社会変革をすすめる活動家へと
さらに前進していくためには、
科学的社会主義の基礎理論学習は不可欠だと思う。

しかし、自然には進まないのがこの課題。

基礎学習の大事さを認識し、
職場や地域でねばり強く「学びの集団」を
つくる努力ができる活動家をどうつくるのか。

岡山県学習協でも、
これがもっか最大の課題と言える。