読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

知っておきたい働くルール(レジュメ)

倉敷医療生協労組での
お昼休みろうどうくみあい入門講座5回目。
「知っておきたい働くルール」のレジュメです。
30分の話です。


一。なぜ働くルール(法律)が必要なのか?

 「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
 ②賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、
  法律でこれを定める。
 ③児童は、これを酷使してはならない」(憲法27条)

 →勤労条件の法定主義、という。使用者に法律を守らせる。
 →労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、パート労働法、
  労働契約法・・・
 →労働条件を決めるときに、使用者は圧倒的に有利な立場。労働者は
  ひとりでは労働条件の交渉ができない。労働条件が劣悪だと、生活
  が成り立たない。だから「人たるに値する生活」を保障するために
  最低限のルールを法律で決める。
 →ただしその最低限の法律すら守られない職場も多数。労働組合が
  欠かせない。

 ◇労働基本権をフル活用して「チェック機能」「対等に交渉」
  「労働条件の引き上げ」を

  *日本国憲法28条の、労働基本権(労働三権)
   →「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動を
    する権利は、これを保障する」
  *団体交渉権・ストライキ権(争議権の中心)は、労働組合にだけ
   認められている特別な権利。立場の弱い労働者に「これでがん
   ばれ」と手段をあたえる趣旨。

二。労働基準法を中心とした労働法についてのポイント

 1。労働基準法の原則を、あらためて確認
 ◇憲法27条2項の勤労条件の法定主義を受けて、1947年に制定
  *使用者が守る義務のある法律(違反した場合には刑罰を科す取締法規)。
   労働基準法は最低基準。どんな零細な会社の使用者でも守れる
   ようなものという意味。
 ◇学ぶことは自分のためでもあり、家族・友人・知人を守る知識にもなる。
  *ブラック企業(意図的に法律違反の働かせ方を強いる企業)の
   餌食にならない
 ◇労基法は冒頭で、労働条件についての大事な原則を宣言している。
  
  *第1条1項
   「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を
   充たすべきものでなければならない」←これは使用者に向けての命令。
  *第1条2項
   「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働
   関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはな
   らないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」
  *第2条
   「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべき
   ものである」
  *第3条
   「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、
   賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしては
   ならない」
  *第4条
   「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、
   男性と差別的取扱いをしてはならない」

 2。働くルールを知る(ごく一部)
          ―権利行使は権利を錆びつかせないために必要
 ◇賃金の原則
  *支払い方法のルール。労働者に直接払うこと。通貨、つまりお金で払う
   こと。全額を払うこと。毎月1回以上、一定日払い。(労基法24条)
  *賃金額は、おおきくいえば、使用者と労働者の力関係で決まる(職場・
   産業・国全体の労使の力関係)。また、最低賃金法は、都道府県ごと
   に時間あたりの最低賃金額が決めている。岡山は735円(他の先進国に
   比べて低すぎる最低賃金額)。
  *一時金(ボーナス)については、法律的なルールはない(退職金も)。
   就業規則に記載されることが多い。たたかいによって引き上げる努力を。

 ◇一方的な労働条件の変更はしてはならない。
  *労働者の同意なく、合理的理由もない一方的な就業規則の変更、
   賃下げなどは、「不利益変更」ということになり、してはならない
  (労働契約法9条)。
 ◇労働時間の原則
  *1日8時間、週40時間以上、労働者を働かせてはならない
   (労基法32条)
  *1日8時間以上働かせる場合は、特別の協定が必要となる
   (労基法36条)。また、延長された時間に対応した2割5分増しの
    割増賃金の支払いも必要(37条)。
  *労働時間が6時間をこえる場合においては少なくとも45分、8時間を
   こえる場合は1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなら
   ない(労基法34条)。

 ◇休日の原則―長く働き続けるための保障。健康担保。リフレッシュ。
  休みは人権。
  *毎週1日はかならず休日をあたえなければならない(労基法35条)。
  *6か月以上勤務した労働者には有給休暇を与えなければならない
   (労基法39条)
  *自分の休みたいときに。とくに連休。ただし連続取得の制度が
   日本にはない。
  *有給休暇で休んだ日に何をするかは自由(理由の申告する必要なし)。
   使用者は、労働者が申し出た日に有給休暇を与えなければならない。
   使用者には時季変更権があるが、特殊な事情の場合のみ(労基法
   39条)。有給消化100%は最低限の権利であって、使用者はそれを
   保障するための人員配置をしなければならない。
  *生理休暇は、どんな働き方でもとれる(労基法68条)。医師の
   証明は不要で、申し出のあった日数とれる(時間単位でも可能)。
   有給・無給は会社によってちがう。

 ◇労働安全衛生について
      ―労働者が心身ともに健康で働ける職場をつくる使用者義務
  *具体的には、安全な仕事環境の確保の観点から、労働安全衛生法が
   安全教育の必要性や健康診断を受ける権利(使用者には義務)に
   ついて規定。また、仕事上のケガや病気にたいしては、労働者災害
   補償保険法(労災保険法)が対応している。
  *労災かどうかを判断するのは会社ではなく労働基準監督署(労働法が
   職場で守られているか監督する行政機関)。
  *過労死・過労自殺、メンタル不全をなくす。職場でのハラスメントを
   許さない。
 ◇妊娠・出産(母性保護)、育児・介護とジェンダー・男女平等に
  ついての権利も。

 3。まだまだ大事な学びのテーマがありますが・・・
  ◇ILO(国際労働機関)などがつくりだしている国際労働基準も
   知っておきたい。
  ◇職場の「働くルール」(労働組合が勝ち取ってきた)もよく学び
   活用しよう。
  ◇働くルールには歴史が凝縮。先輩労働者のたたかいを受け継ぎ、
   前進させよう。