長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『おとなの始末』『宮本顕治著作集(5)』

『おとなの始末』(落合恵子、集英社新書、2015年11月)を読み終える。

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おとなって、なんでしょうね。
「大人になる」と使われるように「なる」んだよね、
おとなに。

でも、宮本百合子が指摘するように、
「現実を知るということ、または大人になったと
いうことを、このものわかりよさに屈伏した内容で
いうひとの多いことを、私たちはまじめにとりあげ
なければならないと思う」(「ものわかりよさ」)

という意味で「大人になる」、とは使いたくない。

落合さんは、
「おとなとは、『引き寄せ・引き受ける』ことのできる
ひとのことかもしれない。さらに、生きていくことに対する、
自分なりの答えの出しかた、を知っていることとも言える」
と述べている(15ページ)。

さらに、
「まだ選挙権を持たない若者の将来を左右するような政治に、
異議を唱えないで、どうしておとなと言えるだろう」
という考えにも賛同する(160ページ)。

まあ、
気心知れた(著書に親しんでいるという意味で)落合さんの
人生観や死をむかえる心持ち、大切に考えていること、
「おとな観」にふれて、そうだねえ、そうだねえの読書でした。
こういう「おとな」になりたいねえと。

また、
最初のほうで、詩人の石垣りんさんの詩を紹介しながら、
「労働というものは、どんな職種であろうとも、多かれ
少なかれ『1日のうち最も良い部分』『生きのいい時間』を
売り渡し、報酬を得ることでもある」
と落合さん書かれていて。

たしかに1日の一番活動的な時間にたいていの人は働いて
いるよなあ。その一番いい時間を売り渡しているとは、
なるほどと。詩人の感性に舌をまくことって多い。
詩人からもっとたくさん学ばなにゃあかんとも思いました。


『宮本顕治著作集 第5巻 1955年~61年』
    (宮本顕治、新日本出版社、2013年)を読み終える。

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共産党の1961年綱領を確立するまでの過程など。
8回党大会の報告を読んだのは初めてで、
なかなか興味深い。

しかし、憲法とかソ連に対する
現在との認識のギャップはすごい。
当時なりの制約があったとはいえ、
やはりバイアスも影響か。

認識というのは難しいね。肝にめいじたい。