長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

柏木ハルコ 『健康で文化的な最低限度の生活(3)』

出たのは知ってたので、岡山平和書房さんに
また注文しなきゃなーと思っていたら、
勝手にきのう届きました(笑)。よくわかっていらっしゃる。
かゆいところに手が届く民主書店がある幸せです。

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小学館より発売されたばかり。

いや、2巻は正直かなり重くて、
読むのがしんどかったんですが、
3巻はそこまで感じなく読めました。

この巻の焦点は、やはり後半の「扶養照会」でしょうね。
生活保護を申請しにきた人に対して、
「誰か援助できる親族はいませんか」という、あれです。
福祉事務所は可能な限り親族に連絡をとり、支援を求める。

漫画では、この制度(決まり)の矛盾を
とてもていねいに描いています(読んでください)。

「扶養照会」自体がやはりおかしい。

「親族で困った人間がいれば助けるのは当然」という
社会的規範が根強くある日本社会です。

でも、ヨーロッパ先進国では18歳未満の子どもに対する
親の扶養義務があるだけで、
日本のように3親等までの扶養義務が求められるのは、
やはり疑問といわざるをえません。

よく指摘されるように、
長いこと会っていない親や兄弟、子どもに
生活援助してほしいと福祉事務所から連絡が
いくとなれば、誰しも申請に二の足を踏むのは当然です。
関係が悪い場合はなおさら難しい。

漫画もそうした点はよく描いていますので、
議論の素材になればと思います。

この巻も、主人公えみるの等身大性が
いい味だしてます。