読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

どうりで労働組合(1)―みんなで交渉するしかない

 労働組合が誕生してから200年以上。なかなかの歴史です。世
界中に広がり、受け継がれ、雇われて働くひとの権利として認めら
れてきました。これは偶然ではありません。労働組合は私たちにと
って、
また社会にとって、欠かせない組織だからです。

 労働組合は、私たちの「人間らしい生活のため」に存在します。
人間らしい生活とは、「ゆとりのある生活」とも言い換えることが
できます。ゆとりがあればこそ、私たちは主体的に生活を楽しむ
ことができますし、生活のなかでその人らしさをつくることができ
ます。生活は私たちにとってかけがえのないものであり、尊厳その
ものなのです。だから生活を壊すものにたいしては、たたかわざる
をえないのです。

 雇われて働くひとの「人間らしい生活」を脅かす2つの宿敵があ
ます。ひとつは貧困。もうひとつは働きすぎです。貧困は、生活
を掘り崩し、働きすぎは生活時間を乗っ取ってしまいます。雇われ
て働くひとたちは歴史的に、この宿敵とのたたかいを常に強いられ
てきました。
 この宿敵を押さえ込むには、生活を支える「お金」「時間」の
ゆとりを獲得する以外にありません。雇われて働くひとにとって、
それは労働条件をめぐる問題になります(社会保障も不可欠ですが
ここではあつかいません)。労働条件とは賃金や労働時間以外にも
たくさんの要素がありますが、やはり2本柱は賃金と労働時間です。
 労働条件は、使用者と労働者が対等の立場で決め、契約するもの
となっています。しかしこれはあくまで形式で、労働条件を決める
力、つまり「いくらで、何時間」働いてもらうかは、圧倒的に使用
者が決める力をもっています。なぜなら、「この条件でいやなら他
に行ってくれ」と言えるからです。どの人間を雇うかの選択権があ
る使用者は、圧倒的に労働条件の交渉を強い立場で行うことができ
るのです。

 雇われて働く労働者は、労働条件をひとりでは交渉できません
労働条件は、生活のゆとり、つまり尊厳に直結する大問題なのに、
いつも足元みられるのです。「雇われなかったら生活、困るよね」
と。労働者は雇われて働く以外に所得を得る方法がありません。
生活を人質にとられ、圧倒的に不利な立場で交渉せざるをえないの
です。ひとりで交渉してもまず相手にされません。
 だから労働者たちは、「みんなで交渉」という方法を生み出して
きました。これが団体交渉です。そして団体交渉の結果、使用者が
譲歩しない場合は「みんなで仕事放棄」、つまりストライキという
「たたかい方」をしてきました。ストライキは使用者がもっとも嫌
うものです。なぜなら労働者がみんなでいっせいに仕事を放棄すると、
職場はまったく動かなくなり、業務が完全にストップするからです。
「ストライキだけは阻止したい」のが使用者です。だからこそスト
ライキを構えて団体交渉することによって、はじめて使用者と労働
者の交渉力は対等に近づくのです。
 団体交渉とストライキを支えるためには、「みんなの力」を日常
的にたばね、強くするための組織=ユニオン(労働組合)が必要
す。こうして、団結権、団体交渉権、そして団体行動権(争議権=
ストライキ)という「労働条件交渉を対等にすすめるための3つの
必要不可欠なもの」を雇われ組の先輩たちは認識し勝ち取り、人権
として認めさせてきたのです。日本国憲法は28条でそれを私たち
に保障しています。労働運動200年の歴史は、雇われて働く労働
者に、3つの不可欠なもの(労働基本権)をフル活用して、「人間
らしい生活を確保せよ」と教えているのです。(つづく)