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長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『学習の友』3月号に書いたQ&A2問です。

Q。社会を変えるのは無理?大きな流れに一個人が声上げても無意味?

 
そう思ってくれる人が多ければ多いほど、権力をもつ人はシメシメ
と思うし安泰です。逆に、一人ひとりがコツコツと「不断の努力」を
することほど、怖いことはありません。なぜなら、社会を変えてきた
のは「人類の多年にわたる自由獲得の努力」(憲法97条)でしたか
ら。
 SEALDsのメンバーのひとり、小林叶さんは、昨年6月27日
の街頭宣伝で、こう訴えました。
 「自分があまりにもちっぽけな存在だから、自分一人が何かを考え
たり発言したところで社会なんか変えられないって、そういうふうに
思っているかもしれない。しかし、この人類の何万年もの歴史の中で、
時代を、歴史を、世界を変えてきたのは、私たち国民一人ひとりの小
さな意思なのです。『自分でなくてもいいだろう』と、それでも言う
かもしれません。『わざわざ私が言わなくても、他の人に任せておけ
ばいい』と。しかし、自分で思考することは、自分にしかできません。
自分で語るというのは、自分にしかできません。自分の言葉は、自分
にしか語れません。なぜなら、それが僕が僕であり、あなたがあなた
であり、君が君である理由だからです。僕たちは、私が『私』たりう
るために、自分の言葉を紡ぎましょう。国に語らせるのではなく、自
分たちで、自分の言葉で語りましょう」(『民主主義ってこれだ!』
大月書店より)
 この社会をどうしたいのか? なぜ戦争はいやなのか? 政治に何を
問いかけるのか? それを一人ひとりが考え、言葉にし、行動する。
仲間と手をつなぎ、議論する。人びとの声をたばね政治へのアクセス
を太くする「結社」をつくり広げる。まさにそれが主権者です。自分
自身がこの社会の当事者であり、生活は政治とつながっていること、
だから声をあげることが自然であるという人が多数になれば、社会は
かならず地殻変動を引き起こし、変わります。社会が変わるときは、
「私」「私たち」も同時に変わるときなのです。


Q。署名は力になりますか?署名(示威行動)は政治に影響を与えられる? 

 
私が「署名の力」を実感した出来事を紹介します。2010年5月
にニューヨークで行われたNPT(核不拡散条約)再検討会議でのこ
とです(現地には行っていませんが)。
 この会議に向けて、核兵器を廃絶するための具体的行動を今すぐ起
こしてほしいと日本原水協が集めた署名の数は690万筆。私の署名
ももちろん入っていますし、少ないですが周りから集めた署名もあり
ました。5月2日、再検討会議のカバクチュラン議長とドゥアルテ国
連上級代表は、690万の署名を受け取るためにニューヨーク市内で
行われていたパレードの到着を待ち受けていました。パレード到着は
予定より一時間以上遅れましたが、二人は他の用務を返上し、「わた
しは署名を受け取るためにここに来ている。デモの到着を待ちます」
とコメント。さらに、「直接700万の署名をこの目で見たい」と署
名が積んである公園まで歩いていったそうです。そして、NPT会議
の冒頭、カバクチュラン議長は、「昨日、私は市民社会が集めた署名
を受け取りました。私たちはこの大きな熱意に応えなければなりませ
ん」と述べたのです。一人ひとりの署名、そこには一人ひとりの「思
い」が込められています。それが世界のリーダーたちの心を動かして
いる。とても感動しました。
 署名というのは、現実政治を直接的に、自動的に変える力は持ちま
せん。しかし人びとの思いを形として見せる役割があります。とくに
政治家は、署名を無視できません。なぜならそれは「世論」だからで
す。戦争法を廃止してほしいという署名が2000万筆集まれば、そ
れは巨大な世論として、彼らの行動に影響をあたえます。バラバラな
国民は数が多くても怖くありませんが、「声がたばになる」と、選挙
で選ばれる政治家は気にせざるをえません。
 署名は世論です。世論をつくるのが署名活動です。数が多ければ多
いほど、それを無視することは、政治家にはできないのです。