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長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

働くって何?―これから社会に出るあなたへ(3)

「民青新聞」3月21日付に寄稿した文章の
3回目です。若干加筆しています。

*   *   *   *   *   *

 職場のなかでの利潤第一主義は、労働条件をめ
ぐっても強くあらわれます。資本家(使用者)に
は、利潤をより大きくするために、「労働者を安
く使いたい」「もっと働いてもらいたい」「必要
なくなれば辞めてもらいたい」という強制作用が
働きます。労働者を雇う人間(資本家)がどんな
に「いい人」でも、利益を上げ続け、市場のなか
での競争に勝ち抜かなければ、事業そのものが存
続できません。いっぽうで労働者は、「労働力の
安売りはしません」「きちんと休みをください」
「自分の時間も必要です」「安心して働き続けた
い」という生活に根ざした当然の人間的要求があ
ります。「労働条件」をめぐって資本家と必然的
に対立します。
 どちらの立場からも、労働条件の交渉が重要に
なります。しかし、「雇われなければ生活が困る」
という労働者の立場は弱いです。雇う側は「あな
たでなく他の人を雇います」「あなたが辞めても、
他に代わりはいます」という選択権をもっていま
す。選べる。これは強いです。労働条件を決める
力、人事権、仕事内容を指揮命令すること、これ
も雇う側がもっています。対する労働者は、収入
が途絶えると生活が総崩れします。雇われないと
いうことは、貧困におちいるということです。雇
ってくれなければ生活が困るという労働者の立場
は、足元をみられるわけです。「これでがまんし
なさい」「雇ってあげているだけでありがたいと
思いなさい」と。
 労働条件の良し悪しは生活に直結します。ゆと
りのある生活がしたい、仕事以外の時間も楽しみ
たいというのは当然です。自由時間、まとまった
休みを確保することも人権です。生活はその人ら
しさをつくるかけがえのないものであり、尊厳だ
からです。でも生活に直結する労働条件について、
労働者はひとりでは交渉できないのです。立場が
弱いからです。では、どうしたらよいのでしょう。
 雇われて働く先輩たちは、ひとりでは交渉でき
ないという立場を克服するために、「みんなで交
渉する」「相手が譲歩しなければみんなでいっせ
いに仕事を放棄する」という「たたかい方」を歴
史的に生み出し発展させてきました。団体交渉と
ストライキです。ストライキは職場が完全にとま
ってしまうため資本家がいちばん嫌がります。そ
うしてこそ、労働条件をめぐる交渉力が対等に近
づくのです。団体交渉とストライキを支えるため
には、「みんなの力」を日常的にたばね、強くす
るための組織=ユニオン(労働組合)が必要です。
こうして、団結権、団体交渉権、そして団体行動
権(争議権=ストライキ)という「3つの必要不
可欠なもの」を労働者の先輩たちは認識し勝ち取
り、人権として認めさせてきました。日本国憲法
は28条でそれを私たちに保障しています。これ
をフル活用してはじめて、私たちは人間らしく働
くことができます。
 労働組合が職場にない、という人でも、今はひ
とりでも入れる労働組合が各地にあります。ぜひ
気軽に、労働組合にアクセスしてみてください。
労働組合は人権をまもる砦であり、主権者として
成長する器でもあります。一人ひとりの労働者が
職場で尊重されるという経済生活における民主主
義は、労働組合なしには機能しません。
 みなさん。雇われて働く先輩たちがそうしてき
たように、「労働者として生きる覚悟」を固めて
ください(笑)。労働条件はみんなで交渉、みん
なで団結して人間らしい生活を実現、利潤第一主
義を規制・コントロールする社会的バリケード
(法律など)を勝ち取る、そういう生き方です。
マルクスは『共産党宣言』という有名な文章のな
かで、「万国の労働者よ、団結せよ!」と呼びか
けました。でもこれはたいへんです。万国もそう
ですが、身近なとなりの人とも手をつながなけれ
ばなりません。簡単ではありません。でもマルク
スは、労働者は資本主義社会とはどんな社会なの
かを理解することで「労働者らしい生き方」を必
ずつかみとるはずだ、というものの見方をしまし
た。そのために『資本論』を書いたのです。マル
クスの期待に応えて、労働者らしい労働者に、み
なさんが成長していってほしいと思います。
 新社会人のみなさんは、仕事でたくさん失敗す
ると思います。壁にぶつかると思います。悩むと
思います。そんなとき、支え励ましてくれる仲間、
一緒に議論してくれる仲間がいれば心強いです。
加えて、社会科学の学びがきっと、みなさんの力
になってくれるはずです。そして、誰かを支えら
れる、苦しんでいる人に寄り添える人間に自分を
成長させていってください。「労働者らしい」生
き方を選び取りましょう。学びを力に、仲間と一
歩ずつ、進んでいってほしいと思います。