長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

活動と活動家のそもそも

民青同盟岡山県委員会の新しい専従さんとの
個人学習会の2回目がきょう(20日)ありました。
内容はタイトルのとおり。

かなり一般的な内容にしました。
わたしも青年運動から離れて10数年たちますので、
青年運動の個別性や経験則を話すると
間違えますので、そこは注意して。

どんな運動団体でも共通する課題として学び、
問題意識を交流しました。以下レジュメ。


一。活動とはなにか、活動家とはなにか
 
1。運動団体の「していること」を思いつくまま並べてみる
  ◇会議、計画、方針づくり、集会、学習会、研修会、交流企画、
   宣伝、デモ、交渉、要請、電話、情報収集・発信、ビラまき、
   呼びかけ、討議、相談する・される、人集め、聴き取り、
   チラシづくり、ニュースづくり、配布、独習、掃除、整理、
   実務、財政活動・・・
  ◇こまごまとしたことの集合体。
  ◇「していること」の「配分」は運動団体によってちがう
  ◇運動団体がかかげている「目的の実現」のために組み合わせ
   ながら活動している

 2。担い手は「ひと」
  ◇さまざまな「していること」を担っているのは「ひと」
   *専従者はそれを「仕事」としておこなっている
   *非専従者は「自分の時間」をつかっておこなっている
  ◇担う人が増える、担う人の力が高まりあうによって
   「できることが増える」
   *できることが増えれば、目的実現へ近づいていく。
   *担い手をどうつくるか。生み出すか。育てるか。どんな
    運動団体でも、これは避けて通ることのできない、もっ
    とも根本的な課題。
   *育ちのきっかけ、動機は多様。さまざまな「たまたま」を
    たくさん準備する。
   *担い手を育てる柱となるのが学習教育。ほとんどの運動
    団体は教育そのものを目的としていないが、教育のない
    組織に未来はない。なぜなら担う人がいなくなるから。
   *とくに「自主的な活動組織」の場合、「自分の生活時間」
    との衝突がある。認識があいまいな活動に自分の時間は
    つかわない。だから認識を高め、活動の意味とおもしろ
    さを実感できるようにすることが大事。「ここでしかで
    きないこと」を磨く。

 3。活動家とは
  ◇「変化を起こす」ことを目的意識的に追求する人
  ◇自分が担い手になると同時に、担い手を広げようとする人
   *仲間の力をかりる大切さを自覚している
  ◇「していること」もろもろを、主体的に、問題意識を
   もって実践していく人
   *「自分の時間」を主体的に活動にふりわける
   *「睡眠時間」「労働時間」「家事労働時間」の増減で
    活動への比重も変化する
   *「自分の時間」と「活動の時間」はつねに天秤にかけら
    れる宿命。意義や役割をきちんと認識できるかどうか。
    世の中には楽しいことがたくさんある。おもしろいこと
    もたくさんある。活動も楽しく、おもしろくなければ
    時間を使おうとはなかなかならない。
   *活動でしか味わえない喜び。悔しさ。出会い。自分の
    成長を実感する大切さ。
   *「自分の時間」をすべて活動にあてることは、よく
    ない(活動だけ生活に注意)。
  ◇人によって得手不得手がある。だから集団で活動する意味がある。
  ◇人に言われないと動かない人は、「活動家のタマゴ」
   *でも動けばプラス。出会いや成長のきっかけ。
   *ほとんどの人は「タマゴ」から出発。活動家らしい活動家への過程。
  ◇組織はかならず、ひし形。先進部分と中間部分と停滞部分。

二。活動が苦しくなるとき
 
1。活動に困難はつきもの。困難のない活動などそもそもない。
  ◇簡単にいうと相手が強いから
   *経済関係や政治関係の「目的実現」(つまり社会変革)は、
    巨大な政府・財界が相手。
   *政府・財界は「社会的力」「政治的力」をもっている。
    金がある。マスコミも影響下に。私たちの社会的力は
    「数が多い」というだけ。
  ◇活動が紆余曲折・ジグザグするのは必然。
   *でもそのなかで自分たちの力も磨かれ蓄えられる。ぶつ
    かりあいのなかで成長。「うまくいかなかった」ことの
    なかに成長の芽を。「うまくいった」ことのなかに次へ
    の課題を。

 2。ひとりで頑張ろうとしてしまうとき、活動は苦しくなる
  ◇私たちの力は、「集団で活動している」ということ。
   *集団で認識する、議論する、実践する。単純な足し算では
    ない力を生み出す。
  ◇でも、自分のイメージどおりに「人が動く」ことは、ほとんどない。
   *担い手が増えない、人が集まらない、他者の不十分さ・・・。
    「なんで・・・」。
   *自分の認識と、相手の認識は違う。立場が違えば認識も異なる。
    あたりまえの前提。
  ◇自分ひとりで決めて、やってしまうほうが、ラク。
   *でも視野はどんどん狭くなり、仲間不信のリスクも。やがて疲れる。
  ◇ひとりの力には、(その瞬間での)限界がある。集団の力には、
   限界がない。
   *集団の力への信頼を。集団の力こそが、現実を変える最大の保障。

 3。コミュニケーションと学習活動を怠るとき
  ◇活動上の諸問題のほとんどは、ここから派生。
  ◇情報の格差・滞りが生む、認識の違い-問題意識・意欲の違いに
   *あいまいな認識にはあいまいな実践。認識がバラバラだと実践も。
    人間関係に影響。
  ◇「しなければならないこと」1つひとつに「なぜこれを」の議論。
   *経験主義。「以前こうだったから、とりあえず今回も」。
    ラクだけど面白くない。
   *立ちどまりきちんと議論する。「どのように」を磨く努力。
  ◇実践は学習を必要とする。学習は創造的な実践の源泉に。
  ◇コミュニケーションと学習の「時間」と「場」を目的意識的に。
   *組織的に、計画的につくりだす努力。さまざまな工夫も必要。

 4。組織や集団が「あたたかさ」を失うとき-「正しい」だけでは不十分。
  ◇意義や任務だけで「~ねばならない」となる危険
   *意欲があり、問題意識がある人ほど、「なんで」のリスク
  ◇つねに相手の立場にたつ努力(ただし簡単ではないことを自覚する)
   *「やってあたりまえ」「できてあたりまえ」ではない
   *1人ひとりの発達過程に目配せできるか
  ◇集まりたくなる集団になっているか。場になっているか。
   *あいさつ、整理整頓、カフェ的要素、聴く聴かれる関係性
   *自由に自分の言葉で意思表示できる組織か

三。活動における学習活動の位置づけ
 
1。学習活動のおもしろさ
  ◇ほんとうのことを知ること
   *それ自体が喜びや驚き。人間の根源的欲求に根ざす。
   *自分のものの見方・考え方が更新される。創造的な実践の源泉に。
   *その更新された「視座・視点」でさらに対象を認識していく。
   *それをまわりに伝えたくなる
          ―自分だけで完結しないのが本来の学び。
  ◇活動や要求への確信、生き方の変化、仲間の見方の発展
   *展望つかむことで悲壮感でない活動。明るさは活動にとって
    欠かせない。

 2。学習活動に立ちはだかるもの
  ◇時間が必要。教材が必要。場所が必要。体力も必要。
   ときには講師も必要。
  ◇体験のなかから、学習は嫌い、苦手という人も多い。
  ◇課題がたくさんあると、学習はあとまわしになりやすい。
  ◇方針として位置づけ具体化することが大事(制度教育、専門部の確立)。
  ◇とくに、新人さんにたいする学習保障。成長の保障。
   活動への生き生き参加。

 3。学習活動のスタイルについて
  ◇独習と集団学習の結合
   *独習の「身につく力」「主体的に認識を発展させる力」と、
    集団学習の長所(ひとりの狭い認識を正す、仲間との交流、
    討論をつうじての認識の発展など)を結びつける。
   *たくさんの「学びの場」(集団学習)を目的意識的につくり、
    独習の「きっかけづくり」を提供していくことが大事。
   *本を紹介しあう運動文化を。独習交流。ニュース、SNS。
  ◇ひと昔まえに比べて圧倒的に「集まりにくく」なっている状況の
   なかで
   *ひとつひとつの学びの場を必ず成功させる。来てよかった。
    あの人を誘いたい。
   *つまり魅力。時間もお金も体力もない。それでも参加したいと
    思える魅力。 
   *かならず学びの場に「参画」してもらう(発言、討論、主体的参加)
   *集まりやすい場を身近にたくさんつくる。
  ◇目立たない変化を積み重ねる努力―コツコツが学習活動のコツ
   *2~3人でも、「継続した学ぶ集団」づくりを(それを担う
    人も必要)

四。生き生き専従活動生活のこころえ 
 
1。目標をもつ
  ◇目標をもてば、計画が生まれる
  ◇計画→実践→総括(評価)→目標の更新→計画→実践→総括・・・

 2。学習を生活のなかに位置づける
  ◇独習計画。新聞や雑誌を読む習慣づけ。
  ◇自分の学習スタイルの確立

 3。信頼される人になろう
  ◇時間を守る、約束を守る、あいさつをする、人の話を聴く・・・
  ◇できれば「めあて」にしてもらえるような人間に自分を成長させる

 4。うまくいかない状況を「自分の力不足」と考えない
  ◇配分。もちろん科学的分析必要。ただし追い込まない。
  ◇小さな変化を大切に

 5。私的生活を大事に
  ◇リフレッシュ。休みを意識的にとる。趣味の時間の確保。さぼる。
  ◇リーダーが生き生き活動できてこそ、人があつまる組織に