長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『市民に選挙をとりもどせ!』(大月書店)

『市民に選挙をとりもどせ!』
       (小沢隆一・田中隆・山口真美編著、大月書店、2013年)
を読み終える。

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日本の政治と選挙、選挙制度、
「べからず選挙法」である公職選挙法、
でもこれはできるぞ選挙運動・政治活動、という内容。
ほんとに日本は制度として主権者が育ちにくい。
政治をとりもどしたい。

ちなみに、7日に市民連合と野党4党が調印した
「政策要望書」のなかに、あまり話題にはなっていないが、
公職選挙法の改正(被選挙権年齢の引き下げ、市民に
開かれた選挙のための抜本的見直し)」があることに
注意喚起をしたい。大事な課題である。


以下、メモ的に。

「現状を改めるには、たんに国民の『政治的意識の低さ』を
嘆いて、その向上をただ強調するだけですむことではない。
そのたぐいのマスコミの論調を目や耳にすることは多いが、
それは原因と結果のとり違えである。現状の改革のためには、
『政治的有効性感覚』を減退させる現行制度の『からくり』、
『メカニズム』を暴き、それとは別の制度を構想することが
ぜひとも必要である」(はじめに)

「ともかくも、選挙運動にかかわる日本の法の規律は、選挙
に際して、多くの市民が、自由闊達に意見を表明すること、
身近な人たちにはたらきかけじっくり話しこむこと、ある
いはビラやポスターなどで1人でも多くの人に意見を届ける
ことに対して、敵意と弾圧の意思をむき出しにしている点に
おいて、100年近くにわたる『伝統』が脈々と持続している」(4P)

「選挙運動には公選法に精通した『選挙プロ』の指導・援助
を受けるしかなく、自発性・創造性を発揮して『手づくりの
選挙』を行うことは不可能に近い。一般の市民は、自分に
何ができるかわからないまま、各陣営の選挙運動の『受け手』
となるしかない。公選法そのものが、主権者である国民・市
民を『観客』にする『しかけ』をもっているのである」(95P)

「政治的な言論活動が最も活発になるべき選挙のときに、
選挙運動や政治活動の自由は事実上奪い取られている」(96P)

「『新しい公選法』づくりという課題を成し遂げるため
には、国民のなかで、政治活動や選挙運動に対するあふ
れるような渇望がなければならない。権利や自由は、市民
がそれを求めるところからはじまって、その圧力のもとで
制度的に拡充したかたちで保障されるのである。市民が
行使しようとしない権利・自由を、自分たちのほうから
付与しようという権力担当者はまずいないと、肝に銘ず
べきである」(178P)