きょう(20日)の夜は、
県労おかやま常任幹事会の前段学習会4回目。
テーマは「労働組合の歴史を学ぼう」。
20分の講義と感想交流でしたが、
やっぱり歴史を学ぶと、それぞれの労働組合の話や
個人の体験がどんどん出てきて、感想交流おもしろいです。
ぼくは、労働組合のそもそも話をするときに、
必ず5分でも「歴史」の話をします。
そして、それがわりと反響あるんですよね。
歴史をもっともっと若い人に積極的に伝えてほしいと
思っています。
以下、講義レジュメです。
はじめに
労働組合・労働者のたたかいの歴史を、若い人たちに積極的に伝えてほしい。
認識の出発点はつねに部分・表面。
今の姿は見えても、その成り立ちは見えない。
私たち1人ひとりの「生活」「働き方」のなかには、歴史が刻印されている。
それは、現在を相対化するための1つの方法。「あたりまえ」の転換。
大きな流れのなかで、「今の自分」「今の社会」「今の活動」をとらえる。
闘いはジグザグ。でも進歩の方向への確信。それは、日常の活動の底力に。
一。労働者の抵抗は、その存在とともに始まった
◇世界でいちばん早く資本主義が発達したイギリス
*「雇われて賃金を得る人」が急増。しかし今のような労働法など
なにもない。長時間労働、児童労働、低賃金、首切り自由、
セーフティネットなし、住環境悪く・・・。
*最初の抵抗は「盗み」や「機械打ちこわし」←失敗。
*パブを拠点に徒党の組み方を発展。まずはみんなで助けあい(共済活動)。
*次に、みんなで仕事拒否(ストライキ)。みんなで交渉する。
労働者は数が多い。使用者も労働者に依存している。「みんな
で」を武器にすれば対等に交渉可能。
◇恒常的に「数の力」をまとめ、強くする組織の必要性
*労働組合結成。1799年団結禁止法。でも生活がある(尊厳)。弾圧
のりこえ権利としての労働組合1824年。国の法律として争議権(ス
トライキ)をふくむ労働基本権が確立1906年。団結禁止法制定から
100年以上。世界中に広がる。
◇先輩労働者たちの厳しくも熱いたたかい。ジグザグ。ねばり強く。
さまざまな人権や働くルールを獲得。8時間労働も有給休暇も。
女性の権利も。労働者の連帯は国や世代をこえる。
二。日本での労働組合の歴史とその流れ
◇日本の近代化と労働者―1868年の明治維新から近代化スタート。
*明治政府が上から資本主義化。中心を担ったのは炭鉱や繊維産業。
*1870年には、炭鉱労働者の暴動が始まっていた
*1885年に山梨県甲府の製糸工場で、女工たちによるわが国最初の
ストライキ。1886年には雨宮製糸工場の女工たち100人が近くの
寺にたてこもり、明確な要求かかげてストライキ。
◇しかしこの女工たちのたたかいは、あくまで一時的なものに
とどまっていた
*彼女たちの多くが農家の出身で、数年工場で働いたのには農村に
帰ったため。
◇日本における労働組合の誕生
―片山潜(岡山県久米南町出身)らが結成呼びかけ
*1897年、労働者に労働組合をつくるための呼びかけ・準備組織として
「労働組合期成会」がつくられた。機関紙「労働世界」を発行。
*この期成会の活動を母体として、最初の労働組合、鉄工組合(1897
年。金属機械工の組合)、日本鉄道矯正会(1898年。日本鉄道株式
会社の機関士、火夫の組合)、活版工組合(1899年)など結成。
イギリスにおくれること100年以上。
◇政府は1900年に、治安警察法(=組合死刑法)をつくり、弾圧。
労組結成からわずか3年。
*集会・結社の自由を奪う。団結権・争議権などは17条によって
刑事罰の対象に。
◇1920年には第1回メーデーも開催。しかし政府や資本の攻撃も激しかった。
日本が侵略戦争へと突き進む時期、労働運動は徹底的に弾圧された。
◇戦後の労働運動の出発―1945年8月15日に日本は敗戦。GHQの占領下に。
*ポツダム宣言(日本の民主化政策)にもとづいて、労働組合結成が
奨励される。
*労働組合法(1945)、日本国憲法(1946)、労働基準法(1947年)
*憲法では28条で労働基本権を無条件で保障。労働組合に託された
ものとは・・・。
◇爆発的に広がった労働組合
*1945年末60万人→1946年368万人→1948年末650万人(組織率は
このとき55.8%で戦後最高)。(今は約17%の組織率)
◇労働運動への弾圧はすぐに始まった(アメリカの占領政策の転換)
*GHQが1947年2月1日に準備されていたゼネラルストライキの禁止令。
*1948年には公務員労働者のストライキ権剥奪。1950年に活動家の
レッドパージ。
◇しかし、労働者のたたかいはそれを乗り越えて高揚していく
*1955年春闘スタート。1960年の安保改定闘争・三井三池炭鉱に
おける解雇撤回闘争。1961年の春闘ではじめて2ケタの賃上げ率
を獲得。1974年春闘では史上最高の32.9%の賃上げの実現(高度
経済成長を内部から押し上げる力に)。
*革新自治体誕生の力。女性の権利拡大。平和運動の中心に労働運動。
ただ時短闘争に弱点。
*財界は労働者のたたかいを押さえつけるために、労働組合の力を
分断せる政策をとっていく。1989年に労使協調路線をとるナショナ
ルセンター連合を結成。
*1989年連合と同じ日に結成されたのが、労働者の立場にたつナショ
ナルセンターの「全労連(全国労働組合総連合)」。産業別の運動
も発展。労働者の唯一の社会的力は「数の力」。
◇狭いスパンで見れば、現局面は、たたかいの力が分散・押さえ込まれ
ている。
*ただ、必ずたたかいはこの局面を乗りこえて発展する。世界の労働
運動もジグザグを経ながら発展。労働者はたたかわなければ人間ら
しい生活ができないという客観的状況。ただし自動的にはいかない。
■それぞれの労働組合にも歴史あり。先輩たちの「不断の努力」を伝える努力。
【まとめ】
◇労働組合(運動)は、たまたまではなく、必然的に生まれ、発展してきた。
◇狭いスパン・自分の経験だけで「現在」を見ると「どうせ」となる。
*労働条件は改善されない、担い手が少ない、仲間を増やすのもたいへん、
労働組合に偏見もっている人も・・・。労働組合って、未来があるの?
◇歴史を学べば、「いま」「未来」が見通せる力に。