長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

日帰り会議。フランスの年休権獲得の歴史メモ。

最近、新幹線移動が多いですが、
きのう(26日)も東京での日帰り会議でした。

移動のおともは『休み方の知恵ー休暇が変わる』(有斐閣選書)。
余暇論の本です。

そこから、フランスの年休権獲得の歴史メモです。

■思想的準備として、1880年ラファルグによって
フランスの雑誌に発表された「怠ける権利」の
論文が大衆に爆発的人気をよぶ。労働時間短縮の
運動に大きな影響をもたらしたといわれている。

■1900年7月、パリの地下鉄に勤務する労働者が
10日間の有給休暇を獲得。第一次世界大戦前夜に
は事務所商店事務職員が1週間の有給休暇獲得。
「太陽を求めて」。

■広がり始めた年休の慣行をさらに普及するため
に法律の制定を望む声が強くなり、1913年には
法案が議会に提出されたが否決。1925年、1931年
にも法案提出されるも否決。しかしこの間にも国
の公務員や民間でも次第に有給休暇が普及していく。

■「ヴァカンス法」ともいわれる1936年の法律は、
こうした経過のもと、満を持して制定されたもの。
ブラム人民戦線内閣、労働者のゼネラルストライ
キを背景にした労使代表の交渉で合意。2週間の有
給休暇。

■第二次世界大戦、ドイツ占領下の政策においても
年休権は見直しの対象にならず。

■2週間で出発した有給休暇は、戦後に拡大していく。
1953年にルノーで年休を3週間とする企業協定が結
ばれ、他の企業にも広がる。それを背景に1956年に
法律改正がされ、一律3週間の有給休暇に。

■その後も個々の企業の先導によって4週間の有給
休暇が広がり、1968年の法律改正で一律4週間に。
このように、労働運動の力を背景に、一部の企業
が先導して有給休暇を拡大し、それが他の企業に
波及し、法律の改正を促すという形で進行。

■フランスの法定年休日数は1982年の法改正で年間
5週間に。


ひるがえって、わが日本の余暇事情は…。
泣くしかない。
だって「休暇増やせ!」「有給休暇の拡大を!」
「誰でもヴァカンスできる社会に!」の要求運動が
ほとんどないですもん。
せいぜい有給休暇の完全消化を!ぐらいですよね。
余暇は人権、という認識を広げたいです。


はい。以上つぶやきでした。


きのうの会議は、2018年に勤労者通信大学に新設される
「入門コース」のテキストづくりを進める教科委員会の
はじめての会議でした。すごいメンバー集まってます。
2018年は勤労者通信大学開校50周年です。新しい挑戦
ですね。読んでおもしろいテキストづくり、がんばります。

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帰りの東京駅。