長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

憲法の心に耳をすます~連載1回目

山口県の医療生協健文会の機関誌『健康のひろば』に
「憲法の心に耳をすます~いま問われる主権者力」という
テーマで10回の連載を書かせていただくことになりました。

以下その1回目です。最初なので1面にドドーンと
載ってます。次回からは800字という制限との
キビシイたたかいがまっていることでしょう。

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 みなさんこんにちは。岡山県労働者学習協会の長久といいます。
趣味は映画鑑賞と旅行と読書です。最近みた『マイケル・ムーア
の世界侵略のススメ』は秀作です。舞台はヨーロッパですが、日
本社会を問い直す絶好の作品です。

なぜ憲法を学ぶのか?
 
さてこのたび、『健康のひろば』で憲法の連載を書かせていた
だくことになりました。でも、憲法と聞いて心がウキウキする人
って、あまりいないのではないでしょうか。私も、民医連の職員
研修会などで憲法学習会の講師などさせてもらっていますが、参
加者からは最初、「また憲法か・・・」「そんなことより仕事に役
立つ研修がしたいな」という雰囲気がにじみ出ています。ですか
らいつも、「なぜ憲法を学ぶことが必要なのか?」という話から
します。この連載も、その話から始めようと思います。
 なぜ憲法を学ぶのでしょうか。それは、私たちが人間らしく、
自分らしく生きていくために、不可欠だからです。
 えーとまだ抽象的で、説明が必要ですね。

憲法の自己紹介
 
憲法には、第10章「最高法規」という章があり、3つの条文
があります。97・98・99条です。この3つの条文は、憲法
が「私はこういうものです」と自己紹介をしているところなので、
まずそこから読んでみることをおすすめします。
 まず、97条にはなにが書いてあるでしょうか。
 「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年に
わたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾
多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできな
い永久の権利として信託されたものである」

人権の保障が憲法の目的
 
この条文に、憲法の「目的」がズバリ書いてあります。憲法は、
私たちに基本的人権を保障するものです。これが、憲法を学んで
いく出発点の立ち位置です。その基本的人権とは、人類の先輩た
ちが、「私が私らしく生きていくために、この自由や権利は欠か
せない」と認識し、1つひとつ獲得してきたものです。そしてそ
れらの自由や権利は、現在および将来の国民に対しても侵すこと
のできないものとして「信託された」と述べています。私は、
「信託」というこの憲法の言葉が好きです。信じて託された。誰
から誰にでしょうか。人類の先輩たちから私たちにです。憲法は、
「これを使って人間らしく、自分らしく生きろ!」と、私たち1
人ひとりに、先輩たちから信託されたバトンなのです。

バトンは渡されている
 
基本的人権は、すべての人が生まれながらにしてもっているも
のです。そう、バトンはみなさん1人ひとりに、もう渡されてい
るのです。その具体的中身については、これからの連載でも紹介
していきますが、人権を生かすも殺すも、私たち次第です。私た
ちが憲法をどう認識しているかどうかとは別に、憲法は、私たち
1人ひとりに問いかけています。「私をしっかり使えてますか?」
と。
 次回は、自己紹介のもう2つ。98条と99条について解説し
たいと思います。