長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

憲法の心に耳をすます~連載2回目

山口の医療生協健文会の機関誌に憲法の連載を
書かせていただいています。その2回目です。
(飼い猫のりくも山口のみなさんにお披露目です)

98条2項はもっと複雑で難しい議論があるのですが、
主権者の立場からすると、人権発展の観点が重要だと
思っていますので、そこだけ書きました。

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 前回は憲法の「3つの自己紹介」のひとつ目である
97条を紹介しました。今回はふたつ目の98条につ
いてみていきます。

なぜ憲法は最高法規なのか?
 
98条は、こういう条文です。
 「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に
反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行
為の全部又は一部は、その効力を有しない。 ②日本国
が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠
実に遵守することを必要とする」
 ひらたくいいますと、憲法はこの国の最高のルール
なので、このルールに反する法律や行政の仕事は無効
になる、ということです。日本の数あるルール(法律
など)のなかで、憲法はいちばんトップに位置づいて
います。憲法はエライのです。
 ではなぜ、憲法は最高法規なのでしょうか。その理
由は、憲法は私たちに基本的人権を保障するものだか
らです。人権が保障されるとは、一人ひとりの尊厳が
守られる社会です。尊厳とは、「その人がその人であ
ることを否定されないこと」と私は説明しています。
私たちがこの社会のなかで「人間らしく、自分らしく」
生きていけること、それを保障すること、これ以上の
大事な約束ごとはありません。だから憲法が最高法規
なのです。
 日本国憲法は、一人ひとりの尊厳を守るいちばん大
事なルールであり、私たちが自分らしく生きていくた
めに、欠かせないものなのです。

人権発展を国内に取り入れる
 
98条の2項は何を語っているかというと、国際的
に確立した優れたルールはどんどん国内に取り入れる、
ということです。子どもの権利条約とか、障害者権利
条約など、国際社会が発展させてきた様々な人権尊重
の到達を、国内に取り入れるルートを憲法は保障して
います。
 改憲をしたい人たちは「70年前につくられた憲法
は新しい人権状況に対応できていない」という主張を
しますが、この98条2項は、発展する人権をすみや
かに国内に適応できる根拠です。憲法は守備範囲が広
い。やっぱりエライのです。