長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『世界の憲法集 第3版』より 「尊厳規定」のメモ

日本国憲法では「個人の尊厳」という言葉は
24条の家族生活における関係性のなかで謳われていて、
あまり目立った位置にありませんが、
他国の憲法なかでは、「尊厳」という概念が人権の
中核的・核心的位置にあることがかいまみれます。

尊厳とは、
その人がその人であることを否定されないこと。
モノや道具として扱われないこと。
人間としての自由や権利を保持していること。
・・・などの多様な意味や説明ができると思います。
単純に言うのは難しいですが。

やはり、「個人(人間)の尊厳」があるからこそ、
「個人は尊重」される、と理解したほうがよさそうな
気がします。
「世界人権宣言」も尊厳という言葉が重要な位置で
何回も出てきます。

ただ日本国憲法をそのまま素直に読むと、人権とは
13条の「個人の尊重」を根本的価値とする、という
説明はまちがっていないし、適切だとも思います。
条文の位置や書き方にもよりますからね。

もちろん当然ですが、以下の各国の
尊厳規定が憲法に盛り込まれている=そうした理念が
その国で実現している、とはかぎりません。
日本国憲法がそうであるように、素晴らしい理念や
価値観を実現するのは、国民の不断の努力がどれだけ
活発に行われているかによります。がんばりましょう。


以下、メモです。

■インド憲法前文
「すべての公民に個人の尊厳と国民国家の統合・保全を
もたらす友愛を促進することを厳粛に決意し」

■スウェーデン憲法2条
「公権力は、すべての人間の平等ならびに個人の自由
および尊厳を尊重して行使しなければならない」

■スペイン憲法10条
人間の尊厳、人間の侵すべからざる生来の権利、人格
の自由な発展、ならびに法および他人の権利の尊重は、
政治的秩序および社会平和の基礎である」

■大韓民国憲法10条
「すべて国民は、人間としての尊厳および価値を有し、
幸福を追求する権利を有する。国家は、個人の有する
不可侵の基本的人権を確認し、これを保障する義務を
負う」

■大韓民国憲法33条
「3.勤労条件の基準は、人間の尊厳性を保障するよう、
法律で定める」

■ドイツ連邦共和国基本法1条
人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および
保護することは、すべての国家権力の義務である」

■フィリピン憲法2条11節
「国はすべての人間の尊厳を価値として認め、人間と
しての権利に最大の敬意が払われることを保障する」

■ベルギー国憲法23条
「何人も、人間の尊厳に値する生活を送る権利を有する」

■ポーランド共和国憲法前文
「第三共和国の福利のためにこの憲法を適用するすべ
ての者に、人の生まれながらの尊厳、自由に対するその
権利および他の者と連帯する義務を保持することに配慮
しつつこれを適用し、これらの原則の尊重をポーランド
共和国の揺るぎない基礎とするように呼びかける」

■ポーランド共和国憲法30条
「人の生まれながらの、奪うことのできない尊厳は、人
および市民の自由と権利の源泉をなす。それは不可侵で
あり、その尊重と保護は公的権力の義務である」

■ロシア連邦憲法7条
「ロシア連邦は、社会国家であり、その政策の目指すと
ころは、人の尊厳ある生存と自由な発達を保障する条件
をつくることである」

■ロシア連邦憲法21条
「1.個人の尊厳は、国家によって保護される。いかなるこ
とも、それを落としめる理由となることができない。2.
何人も、拷問、暴力およびその他の過酷なまたは人間の尊厳
を傷つける待遇または刑罰を受けてはならない(以下略)」