長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

憲法の心に耳をすます~連載3回目

毎月、山口県の医療生協健文会の機関紙「健康のひろば」に
連載している憲法の話、3回目です。

f:id:benkaku:20161018141400j:plain


 憲法の3つの自己紹介として、97条・98条をみて
きました。今回は3つ目、99条です。

憲法を守って仕事をしなさい!
 
99条は、こういう条文です。
 「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その
他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」
 憲法の尊重擁護義務を負っている人たちが名指しされ
ていますね。天皇と摂政はちょっと脇に置いておいて、
そのほかの名指しされている人たちに共通する特徴とは
なんでしょう。若い人の学習会でこういう質問をしたら、
「給料がいい!」との答えが返ってきました(笑)。間
違いではないかもしれませんが、本質的共通項は「国家
権力を担う人たち」ということです。近代国家は、立法・
行政・司法の三権分立が基本システムです。そこを担う
人たち、国務大臣・国会議員・裁判官・公務員が「憲法
を守って仕事をしなさい!」と命令されているのです。
98条でみたように、この憲法は最高法規なので、権力
を担う人は憲法に反することはできないことになってい
ます。
 権力担当者に憲法を守らせる目的とはなんでしょう。
それは私たちの人権を侵害せず、国民一人ひとりの尊厳
をまもる仕事をすることを国家権力に約束させるためで
す。そう、憲法は、国民と国家権力との「約束事」です。
それを書いている命令書が憲法なのです。これを立憲主
義といいます。

権力が憲法を守らないときは・・・
 
歴史の事実が証明していますが、権力が暴走すれば、
国民の人権はふみにじられます。だから最高法規の憲法
で、権力ができることに「枠」をはめているのです。も
しこの「憲法の枠」をはみ出し、国民の人権をまもるこ
とを権力者が放棄した場合は、国民はその権力担当者を
交替させる権利と義務がある、と述べたのはイギリスの
政治思想家ジョン・ロックでした。
 いま安倍政権は憲法無視の政治を日々拡大させていま
す。主権者である私たちは、「約束違反であり、おかし
い」と、この権力を交替させる責任があるのです。