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長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

ものの見方・考え方 その2(変化の法則性)レジュメ

講師活動

今日(21日)午前中は、
生協労組おかやまの新人専従者教室の5回目。
テーマは「ものの見方・考え方 その2(変化の法則性)」

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量的変化と質的変化、矛盾が発展の原動力、
肯定をふくんだ否定をくりかえしながら、という3点を、
日常活動や自分たちの成長にひきつけながら問題提起。

その後の議論も楽しかったー!
専従者対象で、しかも少人数だから、
活動の内容ふくめたいろいろと面白い話ができますね。

以下、レジュメです。


一。変化の法則性その1―量的変化と質的変化
 
1。量的変化と質的変化
  ◇質とは何か
   *あるものを他のものから区別してそのものたらしめている
    本質的な諸性質の総体。「これはどんなものか?」と問わ
    れたときに、「これこれこんなものだ」と答える、その
    「これこれ」の全体がその事物の質、といえる。
   *「労組専従とはこれこれこういう役割をもっている」。これが質。
  ◇量とは何か
   *ある事物、あるいはそれを構成している諸要素のあり方を、
    程度の面からしめすもののこと。「多い・少ない」「大き
    い・小さい」「長い・短い」「重い・軽い」「広い・狭い」
    「遠い・近い」「早い・遅い」「深い・浅い」などなど。
    「どれだけあるか?」と問われて、「これだけある」と答え
    る、その「これ」が、事物の量。

  ◇質と量のつながり
   *質と量はバラバラにきりはなされて存在できない。つねに
    結びついている。ある質にはかならず一定の範囲の量が対
    応している。
    ・大きさ1メートルのスマホはありません。
    ・一流のスポーツ選手の「質」は、必ず、並外れた練習
     「量」と結びついている。
   *たとえ事物の量が変わっても、それが一定の範囲をこえな
    いうちは事物の質は変わらない。しかし量の変化が一定の
    限度をこえると、それは事物の質を変える。
   *「水」「薬」「労働時間」「活動家の質」「団体交渉への
    参加数」など

  ◇量をみることで「質」の大枠をつかめる。
   *データ(数値的)をきちんと蓄積することは大事
   *○○集会への都道府県の参加数をみると

  ◇量的変化が積み重なると、質の変化に転化する(発展)
   *ものごとの発展は一般的に、コツコツとした、1歩1歩の、
    量的変化からはじまる。それはすぐにものごとの質を変え
    はせず、したがってなかなか目立たない。ゆっくりと、寄
    せては引く波打ち際のように、一定期間、こうした状態で
    の変化が進行していく。
   *そして、それがある段階に達したとき、飛躍的なかたちで
    質の変化がひきおこされる。

    「職場を変えていく問題にしても、同様です。たとえば、
    職場に『学習の友』の読者を1人、2人とふやしていくこ
    とは、さしあたっては量の変化でしかなく、それだけで職
    場の質を変えることにはなりません。しかしそれは、階級
    的自覚(*)を初歩的に形成していく仲間の数が1人、2
    人とふえていくことです。そしてそれが確実に、職場の質
    の変化を準備していくのです」
    (労働者教育協会編『新・働くものの学習基礎講座1 哲学』
                          学習の友社)

    →もちろん、この逆もある。1人、2人とへっていけば・・・
    →(*)自分は労働力を使われる(売る)ことと引き換えに
     賃金をえて生活する労働者であり、労働者は団結しなけれ
     ば労働条件や生活は改善しないという自覚。

 2。自分(たち)を成長させるために意識的に「量」を準備・追求する。
  ◇地道に。地味に。練習。鍛える。磨く。
   *継続。繰り返し。コツコツと。人間のさまざまな能力も、
    こうして育つ。
   *地味な活動(努力)の意味を認識していること。小さな変化
    を大事にする。喜べる。
  ◇質的変化を起こそうと思ったら、目的意識的に量を準備する。
   *学習会などでの経験
   *「時間」という量をきちんと手のひらに乗せる力。質に関わる。

  ◇「量」の目標と、そのための計画をもつことの大事さ
   *今年は何冊本を読もう。この分野のことをもっと知りたいから、
    何冊本を読もう、など。
   *何月までに何キロ体重を落とそう
          →質の目的が明確であることが大事
   *自覚的な労働組合員をどれだけ増やすのか、新聞読者をどれ
    だけ増やすのか、など

二。変化の法則性その2―矛盾が発展の原動力
 
1。哲学のいうところの「矛盾」とは
  ◇一般的に使う「つじつまがあわない」という意味ではない。
  ◇現実のなかにある矛盾
   *ひとつのものごとの中に、たがいの存在がたがいの存在の前
    提でありながら、対立し、否定しあい、排除しあう要素、部
    分、側面。その関係をさして「矛盾」という。
   *「同じ土俵にいながら、つねに相撲をとっている状態」

    ・たとえば月と地球。地球あっての月。月あっての地球。た
     がいにひっぱりあい。
    ・「やせたい」と「食べたい」が自分のなかで同居しつつ戦い
    ・労働者と資本家。本質はもちつもたれつ。でも富の配分を
     めぐって利害が対立する。

  ◇矛盾のぶつかりあいの結果、新しい質、より上昇的・前進的な
   変化が生み出された場合、それを「発展」という。

  ◇安保法制をめぐる「たたかい」のなかで―古い現実と、新しい現実
   *安倍政権の登場-あきらかな歴史の逆流
   *想像以上の反対運動のうねり-新しい力の急速な育ち

     「現実とは1枚の板きれのようなものではなくて、ほろび
     ゆく古い現実と、のびゆく新しい現実とが、つねに重ねあ
     わせになっている。・・・そこに、現実の生きた姿がある」

     「現象面ではいまどんなに古い現実が圧倒的な力をふるっ
     ているように見えようとも、その下で成長しつつある新し
     い現実は、やがて古い現実の支配をくつがえして、現実の
     姿を一変させずにはおかないのです」
     (労働者教育協会編『新・働くものの学習基礎講座1 哲学』
                           学習の友社)

 2。自分のなかの矛盾
  ◇「正常な心とは、矛盾した考えや感情が同居できること」
                     (精神科医・中沢正夫)
   *正直⇔嘘つき、やさしさ⇔残虐さ、理性的⇔感情的、・・・わ
    れわれの心には、対立した感情や、矛盾した衝動がいっぱ
    いつまっている。状況により、どちらかを採用。「矛盾し
    ているな、こまったな」と思いつつ、なかばあいまいに自
    分を許してしまう人は正常。心は乱れている、揺れ動いて
    いるほうが常態。

  ◇成長に関して
    ―「こうありたい自分」と「いまの自分」とのぶつかりあい
   *「めあて」「目標と計画」をつくる→矛盾をつくること

     「子ども自身を成長させるものは、子ども自身の内部に
     起こる矛盾です。子どもの成長過程というのは自分のな
     かに、何かある目当てをつかんでその目当てのためにが
     んばろうとする自分と、『めんどくせえや』と元にもど
     ろうとする自分、そういう自分の内部の矛盾・葛藤の長
     い過程なのです。新しい自分になろうと努力したり、古
     い自分が顔を出して新しくなろうとする自分をとりくず
     したり、そういうことをくり返す長い過程です。
      子ども自身のなかに、自分自身が二重にうつること、
     目当てが生まれ自分の人格が二重うつしになること、こ
     れが子どもたちの成長・発達の原動力です。私たちの仕
     事は、とりもなおさず、この二重写しになることを促し
     てやることなのです。目当てが生まれ自分が二重写しに
     なることは子どもたちにとって苦しく、不安なことでも
     あるわけです。
      そういうふうになれるだろうか、ならなくてはいけな
     いのだ、なれるだろうか、やっぱりだめだ、そういうこ
     とのくり返しが子どもたちのなかに起こってくるのは当
     然のことなのです。子どもの内部にいまどんな矛盾・葛
     藤が生まれ、どのような方向に向かって進もうとしてい
     るのか、子どもたちの“もがき”のように見える姿のなか
     からも、その核心をつかむ努力が私たちに必要なのです」
         (三上満『眠れぬ夜の教師のために』大月文庫)

     「ストレスこそ、子供を青年にし、青年を大人に成長さ
     せる糧であるはずである。ストレスを1つ1つ乗り越える
     ことが、『人間』の発達なのである。ストレスは元来、
     避けるべき対象ではなく、乗り越えるべき対象なのであ
     る。一切のストレスを回避すれば、それは楽であろうが、
     その人は成長もまたあきらめることになるのである。ス
     トレスは別の方向からみれば『他人からの期待』であり、
     『他からの評価を落としたくない矜持(きょうじ)』で
     あり『自分の生き方をつらぬきたい意志』であるから、
     当然、痛み、苦しみを伴うのである」
        (中沢正夫『ストレス「善玉」論』岩波現代文庫)

  ◇どんどん失敗するー「実践」「行動」「挑戦」するから「失敗」する
   *絶対に失敗しない方法ー何もしないこと(矛盾をつくらないこと)
   *できるだけ失敗しないようにしたいが、それでも失敗はつきもの
   *失敗から学ぶことこそ、失敗をカバーしあうことこそ大事

三。変化の法則性その3―肯定をふくんだ否定をくりかえしながら
 
1。質的変化をする、ということは、それ以前の質の否定
  ◇しかし、それは、すべてをご破算にする、全面否定ではない
  ◇肯定をふくんだ前進的な否定-「○か×か」「100か0か」ではなく
   *発展とは、古い質が、新しい、よりいっそう高度な質に変化
    すること。
   *そのさい、古い質は「否定」される。しかしそれは、古い質
    のなかにあった、積極的な内容、未来につながる要素を肯定
    し、新しいものに引き継ぐという「否定」となる。ものごと
    を全面的に否定してしまうと、発展はない。 
   *肯定的な側面をしっかりつかみ評価すること。小さなことで
    も。そういう着眼点をつねにもつことの難しさ。活動の総括
    で注意する点。

  ■全面否定は簡単で、ラク。
   「あいつはダメだ」「なにをやってもむだだ」と切り捨てる。

 2。○と×を抱え込みながら、うねうねとすすむ
  ◇“中途半端さ”を「受容する力」
   *いつも、前進的な要素が勝利するわけではない 
   *ものごとを断面的にきりとって、その瞬間において黒白をつ
    けることはできるが、変化というのは、うねうねと黒も白も
    ふくみつつ続くものであり、その中途半端さを「受容する力」、
    「結果を急ぎすぎない力」を身につけることも大事。
   *「ダメ出し」の仕方。人との関係も、全面否定ではなく。
   *社会の発展も、肯定をふくんだ否定という形ですすんできた。
    →封建制社会→資本主義社会→その次の未来社会
   *○と×が同居しながらすすむのが、成長の法則性。「変えたい
    自分」と「いまのままでいい自分」が同居しつつ、次の新し
    い自分がつくられていく。