長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

生協労連の中央委員会。1時間しゃべりまくりの巻。

きのう(13日)は東京。
生協労連の中央委員会で学習会講師でした。
産業別労働組合の中央に呼ばれたの初めてかも。

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春闘討論集会もかねていて、
2日間みっちり議論されたようです。

私は、あたえられた1時間でしゃべりまくり。
各地の労働組合でリーダーをされているみなさんでしたので、
語りもいつもと違う角度で。
情勢や活動をとらえる参考になればと。

その場で福岡の方から来年の講師依頼も。
ありがとうございます…!

以下、講義のレジュメです。


はじめに:若干の自己紹介
     生協労組おかやまとは年間契約をむすんで学習活動の
     お手伝いをしている。

一。壊されていく人間の尊厳
 
1。安倍政権への「怒り」
  ◇嘘とペテンのアベノミクス
   *国民生活を語れない。数字の操作と部分誇張。
    明石順平『アベノミクスによろしく』(インターナショナル新書、
    2017年10月)がおすすめ。
   *数字は「個」に付着する個別の苦しみ、リアルな姿を消す。
    経済政策とはほんらい、国民生活を語るもの。
    目的地は「人間の尊厳に値する生活」(世界人権宣言23条)。
  ◇働く人の尊厳をさらに奪う「働き方改革」
   *毒入りまんじゅう。人づくり革命・生産性革命・・・。
    国民生活への目線なし。
   *以前の自民党は「国民所得倍増計画」(60年代)など生活への
    目線が多少あった。
   *働くルールはなんのためにあるのか。使用者と労働者では
    力関係の強弱はっきり。利益最優先の強制法則。使用者は
    労働者をモノや道具のように扱う。ルールは労働者の尊厳を
    守るためにあるバリケード。労働基準法1条「人たるに値する生活」。
   *バリケードの破壊。さらに守られる対象そのものを少なくしていく
    (労働法からの除外)。
  ◇社会保障への総攻撃
   *社会保障は総合的生活保障。医療・介護・教育・保育・年金・
    失業保険・生活保護・・・。1人ひとりの「生活権」を守るもの。
    憲法25条は「生活権」と呼ぼう。
   *「消費税を社会保障財源に」のまちがい。消費税は生活税。
    現代社会では毎日の買い物なしに生活を送ることは不可能。
    生活必需品にも、所得のない人からも、の異常。
   *逆進性強い消費税。貧困層には激痛。消費税で国民生活の
    ゆとりを削りながら生活保障である社会保障を、という矛盾。
    バーター関係(交換条件)にしてはいけない。
  ◇人間の尊厳にもっとも価値を置く憲法への憎悪
   *尊厳とは第2次世界大戦以後、世界人権宣言や各国憲法に
       入ってきた規定。なぜか。
   *「公益及び公の秩序」を基本的人権の上におきたい
    (自民党の本音。2012年改正案)
   *自衛隊を「戦力」に。9条の変質。危機をあおることの
    社会的影響。沖縄への差別。

  ■尊厳(人間らしさ)への侵害
   ―社会が根底から壊れる。安倍政権は「保守」ではない。

 2。職場の仲間たちに「怒り」はあるか
  ◇残念ながら安倍政権に怒っている労働者は多数ではない
   *10月総選挙投票率は約54%。オランダ81%(3月)、
    ドイツ76%(9月)。
   *安倍政権の暴政を「知らない」国民が多いことが、深刻な病理
  ◇「怒る」ためにはもうひとつ、「自分の価値」への自覚が必要
   *憲法学習の社会的弱さ。自分自身のものとしての人権理解、
    トレーニングも不足。
   *尊厳・人権をおびやかす社会構造への理解が弱い。
    生活と政治がつながらない。
  ◇川の上流だけでなく上流も―認識深化の努力を
   *イチロー・カワチさんの例え。結果だけでなく原因も。木も森もみる。
   *上流の問題を解決するには、バラバラのたたかいでは不可能。
    産業別に結集し、さらに全国的なたたかいに。
  ◇「怒り」は瞬発力を生むが、「怒り」だけでは持続しない。
   *楽しさや喜び。ほっとする。ワクワクすること。夢を語りあえる。
    組織や仲間が必要。みんながいるからがんばれる。
    声をあげる勇気、たたかう覚悟は共同性に支えられる。
  ■なぜ人権学習が大事か
   *労働者には「違い」がいっぱい。違いは目につきやすく、
    競争・分断・対立・評価・差別を生む。違うからこそ
   「同じ価値」を確認する必要がある。それが人権。
   「同じところ」は手をつなぐ理由に。
   *憲法学習の重要性―自らの価値と、労働組合の役割、歴史の
    なかで情勢をとらえる力に。
  ◇労働組合は人間の尊厳を取り戻す場
   *自分の思いを表明できる。育ちあえる。職場で労働者が
    もの言える意味。
   *不当なことに対して「怒る」
    ―人間らしさの発露。「おかしい」と言える自分への誇り。
   *徹底的に「人間らしさ」にこだわる。取り戻す。
    ―そのトレーニング場として

二。伝えていく立場のみなさんへ
 
1。組織はひし型をしている
  ◇認識のちがいが「先進・中間・後方」部分をつくる。
  ◇伝えあいの質が、協力の質を規定する。伝える活動の大切さ。

 2。伝わる話し方(聴き方)・書き方
           ―プロではないからこそ技術習得の努力を。
  ◇相手はみなさんの話や文章、ニュースやチラシを
   「心待ちにはしていない」
   *「わたし」に届く言葉との違い。たとえば個人あての
    「手紙」は、最後まで必ず読む。労組の文章は「仲間
    のみなさん」「~各位」。距離と温度差。だからこそ技術が必要。
  ◇話し方―条件にもよるが、聴くこと中心に。キャッチボール。
   生活と職場の話題から。
  ◇書き方―読む人への配慮=想像力。短く、わかりやすく、結論から。
   読み返して推敲。
   *参考文献『すぐできる! 伝わる文章の書き方』
               (赤羽博之、JMAM、2013年)
  ◇伝わったときの喜び(めったにない)。仲間の行動変容。

 3。自分の「ものの見方」をつねにメンテナンスする
  ◇「どうせ」の克服。「どうせ」の必然。認識はつねに部分から出発。
   変化の法則性を知る。
   *矛盾が原動力。量的変化が質的変化につながる。歴史的変化を確信に。
   *がんばり続けるための大切な機能としての「手を抜く」。
    仲間がいるから休める。
  ◇○か×か、白か黒か、ではなく。否定のなかに肯定を。
   肯定のなかに次への課題を。
  ◇職場の仲間の力を引き出すことが、私たちの力を高める最大の方法。
   数を力に。
  ◇仲間の力が「育ちあう場」をつくる
           ―民主主義的発達。そのための工夫と技術。
  ◇自ら学び続けること―「問う力」をさびつかせないために
   *「しなければならないこと」「上からの方針」を応用する力。
    やりたいことが「湧いてくる」源泉は豊かな学び。拙著『労働
    組合たんけん隊』『ものの見方たんけん隊』、勤労者通信大学、
    月刊誌『学習の友』・・・。活用を。

さいごに:学びあい、伝えあい、力を育てあう
       ―貴重な2日間。中央委員会の団結を強めよう。
     たたかいのなかに喜びを。
     「人間」に執着し、私たちの望む未来を引きよせよう。