きのう(13日)は東京。
生協労連の中央委員会で学習会講師でした。
産業別労働組合の中央に呼ばれたの初めてかも。
春闘討論集会もかねていて、
2日間みっちり議論されたようです。
私は、あたえられた1時間でしゃべりまくり。
各地の労働組合でリーダーをされているみなさんでしたので、
語りもいつもと違う角度で。
情勢や活動をとらえる参考になればと。
その場で福岡の方から来年の講師依頼も。
ありがとうございます…!
以下、講義のレジュメです。
はじめに:若干の自己紹介
生協労組おかやまとは年間契約をむすんで学習活動の
お手伝いをしている。
一。壊されていく人間の尊厳
1。安倍政権への「怒り」
◇嘘とペテンのアベノミクス
*国民生活を語れない。数字の操作と部分誇張。
明石順平『アベノミクスによろしく』(インターナショナル新書、
2017年10月)がおすすめ。
*数字は「個」に付着する個別の苦しみ、リアルな姿を消す。
経済政策とはほんらい、国民生活を語るもの。
目的地は「人間の尊厳に値する生活」(世界人権宣言23条)。
◇働く人の尊厳をさらに奪う「働き方改革」
*毒入りまんじゅう。人づくり革命・生産性革命・・・。
国民生活への目線なし。
*以前の自民党は「国民所得倍増計画」(60年代)など生活への
目線が多少あった。
*働くルールはなんのためにあるのか。使用者と労働者では
力関係の強弱はっきり。利益最優先の強制法則。使用者は
労働者をモノや道具のように扱う。ルールは労働者の尊厳を
守るためにあるバリケード。労働基準法1条「人たるに値する生活」。
*バリケードの破壊。さらに守られる対象そのものを少なくしていく
(労働法からの除外)。
◇社会保障への総攻撃
*社会保障は総合的生活保障。医療・介護・教育・保育・年金・
失業保険・生活保護・・・。1人ひとりの「生活権」を守るもの。
憲法25条は「生活権」と呼ぼう。
*「消費税を社会保障財源に」のまちがい。消費税は生活税。
現代社会では毎日の買い物なしに生活を送ることは不可能。
生活必需品にも、所得のない人からも、の異常。
*逆進性強い消費税。貧困層には激痛。消費税で国民生活の
ゆとりを削りながら生活保障である社会保障を、という矛盾。
バーター関係(交換条件)にしてはいけない。
◇人間の尊厳にもっとも価値を置く憲法への憎悪
*尊厳とは第2次世界大戦以後、世界人権宣言や各国憲法に
入ってきた規定。なぜか。
*「公益及び公の秩序」を基本的人権の上におきたい
(自民党の本音。2012年改正案)
*自衛隊を「戦力」に。9条の変質。危機をあおることの
社会的影響。沖縄への差別。
■尊厳(人間らしさ)への侵害
―社会が根底から壊れる。安倍政権は「保守」ではない。
2。職場の仲間たちに「怒り」はあるか
◇残念ながら安倍政権に怒っている労働者は多数ではない
*10月総選挙投票率は約54%。オランダ81%(3月)、
ドイツ76%(9月)。
*安倍政権の暴政を「知らない」国民が多いことが、深刻な病理
◇「怒る」ためにはもうひとつ、「自分の価値」への自覚が必要
*憲法学習の社会的弱さ。自分自身のものとしての人権理解、
トレーニングも不足。
*尊厳・人権をおびやかす社会構造への理解が弱い。
生活と政治がつながらない。
◇川の上流だけでなく上流も―認識深化の努力を
*イチロー・カワチさんの例え。結果だけでなく原因も。木も森もみる。
*上流の問題を解決するには、バラバラのたたかいでは不可能。
産業別に結集し、さらに全国的なたたかいに。
◇「怒り」は瞬発力を生むが、「怒り」だけでは持続しない。
*楽しさや喜び。ほっとする。ワクワクすること。夢を語りあえる。
組織や仲間が必要。みんながいるからがんばれる。
声をあげる勇気、たたかう覚悟は共同性に支えられる。
■なぜ人権学習が大事か
*労働者には「違い」がいっぱい。違いは目につきやすく、
競争・分断・対立・評価・差別を生む。違うからこそ
「同じ価値」を確認する必要がある。それが人権。
「同じところ」は手をつなぐ理由に。
*憲法学習の重要性―自らの価値と、労働組合の役割、歴史の
なかで情勢をとらえる力に。
◇労働組合は人間の尊厳を取り戻す場
*自分の思いを表明できる。育ちあえる。職場で労働者が
もの言える意味。
*不当なことに対して「怒る」
―人間らしさの発露。「おかしい」と言える自分への誇り。
*徹底的に「人間らしさ」にこだわる。取り戻す。
―そのトレーニング場として
二。伝えていく立場のみなさんへ
1。組織はひし型をしている
◇認識のちがいが「先進・中間・後方」部分をつくる。
◇伝えあいの質が、協力の質を規定する。伝える活動の大切さ。
2。伝わる話し方(聴き方)・書き方
―プロではないからこそ技術習得の努力を。
◇相手はみなさんの話や文章、ニュースやチラシを
「心待ちにはしていない」
*「わたし」に届く言葉との違い。たとえば個人あての
「手紙」は、最後まで必ず読む。労組の文章は「仲間
のみなさん」「~各位」。距離と温度差。だからこそ技術が必要。
◇話し方―条件にもよるが、聴くこと中心に。キャッチボール。
生活と職場の話題から。
◇書き方―読む人への配慮=想像力。短く、わかりやすく、結論から。
読み返して推敲。
*参考文献『すぐできる! 伝わる文章の書き方』
(赤羽博之、JMAM、2013年)
◇伝わったときの喜び(めったにない)。仲間の行動変容。
3。自分の「ものの見方」をつねにメンテナンスする
◇「どうせ」の克服。「どうせ」の必然。認識はつねに部分から出発。
変化の法則性を知る。
*矛盾が原動力。量的変化が質的変化につながる。歴史的変化を確信に。
*がんばり続けるための大切な機能としての「手を抜く」。
仲間がいるから休める。
◇○か×か、白か黒か、ではなく。否定のなかに肯定を。
肯定のなかに次への課題を。
◇職場の仲間の力を引き出すことが、私たちの力を高める最大の方法。
数を力に。
◇仲間の力が「育ちあう場」をつくる
―民主主義的発達。そのための工夫と技術。
◇自ら学び続けること―「問う力」をさびつかせないために
*「しなければならないこと」「上からの方針」を応用する力。
やりたいことが「湧いてくる」源泉は豊かな学び。拙著『労働
組合たんけん隊』『ものの見方たんけん隊』、勤労者通信大学、
月刊誌『学習の友』・・・。活用を。
さいごに:学びあい、伝えあい、力を育てあう
―貴重な2日間。中央委員会の団結を強めよう。
たたかいのなかに喜びを。
「人間」に執着し、私たちの望む未来を引きよせよう。