長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

憲法学習をワーク中心にやってみた

きのう(21日)午前中は、
県労おかやま春闘行動の憲法学習会にて講師。

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「対話のある春闘運動を」というテーマ。
私の話よりも3つのワーク中心に。
参加型学習はやはり楽しい。

以下、講義の概要(これだけでは伝わりませんが)。


【ワーク1】
「9条改憲NO・3000万署名。あなたの“やる気度”は何%?」

①80%以上。あなたの強い思い。そのワケは。
②80%~40%。わかっちゃいるけど・・・。その「…」を言葉に。
③40%以下。できればやりたくない。そのワケは。

→ポストイットに、番号と理由を書いてください。

【ワーク2】
「なんで労働組合が憲法の問題に取り組むのか?」と組合員に聞かれたら。

→それぞれ答えを考えてください。グループでベストアンサーを選びましょう。


1。憲法9条をめぐる動きを整理してみよう
 
◇昨年5月3日の憲法記念日に、読売新聞と改憲派集会の
  ビデオメッセージで発表。
  *9条1項・2項を残し、自衛隊を3項に明記。
   2020年までの施行をめざす。
 ■そもそも憲法を守っていない! というツッコミが必要。
 ◇憲法を守らない政治は、人間(国民1人ひとり)を大事にしない政治。
  *「公益及び公の秩序」を基本的人権の上におきたい
   (自民党の本音。2012年改正案)
  *その先取りのひとつの例が沖縄の現実。命や生活よりも米軍の
   都合が上に。
 ◇改憲の焦点はいくつかにしぼってきているが。最大の標的は9条。
  *今年早いうちの発議をねらう。
   タイムリミットがせまっている(来年夏に参議院選挙)。
  *「戦力不保持」の規定にもかかわらず「自衛隊」を持てる。
   矛盾。あとからできる法が優先される。自衛隊は戦力不保持の
   規定から免れ、1項2項は空文化の危機。

 ≪第9条≫
  ①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
   国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国
   際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  ②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保
   持しない。国の交戦権は、これを認めない。

2。署名活動のむずかしさと面白さ
 
◇憲法対話のむずかしさ。相手との「共通認識」を持てていないことが多い。
  *誰でも自分の枠組でものを見て、考え、判断する。どんな環境、
   どんなメディアから。
  *そもそも憲法の内容自体を知らない人も多い。変える変えない以前の
   ハードル。
 ◇目的をどこに置くか
  *署名数も大事。でももっと大事なのは、対話それ自体。
 ≪職場での署名≫
  *相手と自分との「共通点」が細くてもある。生活や職場の話題から
   入ることも。
 ≪街頭での署名≫
  *相手も自分も「知らない人」との対話。署名自体のハードルの高さ。
   一瞬のフレーズや声かけが大事に。笑顔必須。ペンを持ちやすい
   距離感なども。
 ◇署名のおもしろさ
  ―自分とは違う世界や考えを知る機会に。いろいろな人がいる。

【ワーク3】
「9条改憲NO 3000万署名」の対話力をつけよう

 ≪よく出る「声」にどう答えるか。グループで考えて、実演してみよう≫
 ①北朝鮮が攻めてきたらどうするんだ。
 ②署名なんて意味があるの? ほんとに効果あるの?
 ③自衛隊を書き込むことぐらいいいんじゃない。賛成。
 ④やっぱり抑止力が必要じゃないか。

3。労働組合の視点から「対話の意味」のそもそもを深めよう
 
◇対話こそがカギ―安倍政権との対峙、その方法論
  *安倍政権は、意見の違う人間と対話をしない。無視や排除。
  *そうした「政治の手法・空気」は、確実に社会をむしばんでいる。
  *つまり民主主義がどんどん壊されている。
 ◇意見の違いはあたりまえ。だからこそ対話や議論が必要。
  意見表明が出発点。
  *「違うところ」と「一致するところ」を、対話を通じて確認できる。
   相手への理解。
  *対話を通して「自分の意見」が整理・相対化される。
 ◇労働組合の活動のなかでの「対話」の重み
  *一致点があるから行動につながる。納得は行動のエネルギーに。
  *つながりを生み出す。職場の民主主義を育てる。
 ◇労働組合役員の役割
  ―対話が生まれてくる空間、関係性づくり。対話のチャンスを逃さない。
  *安心して自分の意見を表出できる場づくり。
   小グループのディスカッションを大事に。
  *そして1対1の対話にこだわる。聴くこと中心に。
   生活や働き方など身近なところから。

    「Eメール、携帯メール、ビラ、フェイスブック、ウェブサイ
    ト・・・。どれも立派な運動の手段です。でもそのどれもが一対
    一の対話にとって代わることはできない・・・。人を運動に引き
    入れ、行動しようという気にさせるには、じかに顔を合わせて
    話をするのが、いまだに最良の方法です」
    (『職場を変える秘密のレシピ47』アレクサンドラ・ブラッド
    ベリー/マーク・ブレナー/ジェーン・スロータ著、菅俊治/山崎
    精一監訳、日本労働弁護団)