長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

若い人への働きかけ・・・

勤労者通信大学の募集活動が全国で行われています。
今年は新設される「入門コース」が目玉です。

労働者教育協会から、
各地で若い人への働きかけで苦労があると伝えられ、

「青年が“やってみたいな”と思えるようにするには、
どんな働きかけが必要か」

に答えるような文章を書いてほしいといわれ、
さきほどパチポチ書いた原稿が以下です。

こういう問いって、個別具体的な状況を把握しないと、
一般的に答えてもな・・・とは思いますが。


A。働きかけの戦略、角度、方法、と整理して、考えて
みたいと思います。

 まず戦略です。「青年に働きかけよう」という一般的
アクションだけではなく、「あの人に受けてもらおう」
と個人名をあげて、比較的関心のありそうな、学習を苦
だと思っていない人に、まずじっくりと声をかけること
が大事ではないしょうか。まわりに、そんな青年はいま
せんか。個人名をあげて追求しましょう。
 それで、まず1人の受講を得れば、「ぜひ何人かで学
習しよう」という次に声をかける範囲が決まってくると
思います。たとえば労働組合青年部に集団で受講しても
らいたいとすれば、いきなり全体に呼びかけるのではな
く、最初に受講を決意してもらう人をつくっておいて、
会議などでその青年に「働きかける側」にたってもらう、
という手もあります。ようは、「働きかけ」にも「作戦」
が必要で、青年層の人間関係、個人傾向なども把握して
おく必要があると思います。集団学習を組織して、毎回
終了後に懇親会など楽しい企画をセットする手もあると
思います。

 次に働きかけの角度ですが、「社会科学の入門だよ」
といっても若い人にはその意味自体がおそらくピンとき
ません。したがって、働き方や生活の話題、労働組合で
かかげている要求などを入口に、その身近なことと社会
の仕組み・矛盾がつながっていることを語る必要があり
ます。昨年から漫画『君たちはどう生きるか』が大ヒッ
トしていますが、コペル君の等身大の経験を通して社会
や生き方を考える内容だからこそ、そのような広がりが
つくられると思います。そして「どう生きるか」という
直球の問いを、もっている青年は少なくないのです。
 先日も、とある労働組合の青年と、どんな学習会をし
たいかという相談会をもったのですが、将来不安から、
お金をどうやって貯めるか・増やすかということに関心
があるとの話でしたので、その切実な思いを出発点にし
ながら、「なぜお金がこんなにかかる社会なのか」「お
金の本質はそもそもなんだろう」というディスカッショ
ンをしばらく続けました。結論的にいえば、いまの社会
の動き方や本質がみえないと、へんな「がんばり方」を
してしまう、まずお金の本質を学んでみよう、というこ
とで、学習会のテーマは「お金ってなんだろう」に決ま
りました。身近な問題から入って、その疑問や思いを社
会科学の学習につなげていくことが大事です。

 最後に方法です。これはいつの時代でも働きかけの王
道ですが、「とにかく対話する」「1対1の対話にこだ
わる」ことです。他の誰でもない、「あなたに受講して
もらいたい」という熱意が伝わるのは、1対1の対話で
す。だから、本気で青年に入門コースを受講してもらい
たいならば、その対話の機会と時間を思い切って確保す
ることが必要です。そのなかで、青年1人ひとりの現状
や問題意識もつかむことができ、「次の働きかけ」のヒ
ントも得られるかもしれません。
 一般的な訴えやニュースでお知らせすることも必要で
すが、最後はどれだけ青年と対話できたかです。そこに
執着しましょう。そして、働きかける側の人自身が「学
ぶって面白いし楽しいんだ」と語れることが大事です。
夢を語りあいましょう。