長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『フォト・ドキュメント いのち抱きしめて~在宅介護13年』

『フォト・ドキュメント いのち抱きしめて~在宅介護13年』
(田辺祥子〈文〉田邊順一〈写真〉、日本評論社、2002年)を読み終える。

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ソワニエ読書の1冊。

難病の進行性核上性麻痺を患った田辺肇の
介護生活を中心に。妻の田辺祥子は岩波書店の編集者。
在宅介護の社会的サポートが貧弱な時代の苦闘も。
学ぶところが多かった。

田辺さんを看ていた医師の言葉。
「こういった病気の患者さんたちと接していていつも
思うのは、患者さんとその周りの人々が病気と向き合
って闘っていかれるときに示されるエネルギーの大き
さと、その患者さんにおける病気の進行度とは明らか
に反比例するということである。闘病のエネルギーが
大きいほど、病気の進行は明らかに遅い」

写真を寄せた田邊順一さんの言葉。
「これまで、私は介護を必要とするお年寄りを数多く
取材してきた。在宅で、病院のベッドで、施設の中で、
その人たちは人生の最終行程であるその日その日をそ
れぞれに懸命に生きておられた。生へのエネルギーに
圧倒され勇気づけられることも少なからずあったが、
最後まで自分らしく生きることがいかにむずかしいこ
とかを痛感させられてもきた。通常、自立が困難にな
るとそれまで営んできた社会的な生活は一変する。社
会と隔絶し、それをしかたがないことと本人もあきら
め、というよりもあきらめさせられ、周囲も当然のこ
ととしてそのように扱う。だが、祥子さんはそうは考
えなかった。人が生きるということは、『食べて、飲
んで、出して、眠る』だけではない。精神的、文化的、
社会的な生活があってはじめてふつうの生活になる、
というのが祥子さんの常識だった」