長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

ブッラク職場と労働の麻薬性を考えた

昨夜(18日)は、92期岡山労働学校の第3講義。
13名の参加でした。

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今期は、最初からグループ分けで座ります。
この日も、簡単な問題提起や材料提供をおこない、
グループトークを入れながらの講義でした。

テーマは「ブラック職場を考える」。
ブラックな職場とは? をみなで具体的に考えていきました。
さらに、労働法や労働組合のことについて、
私たちの知識があまりにもない現実を実感してもらいました(笑)。

後半は、労働の麻薬性について問題提起。
この労働の二面性をとらえること、大事だと思います。

以下、レジュメです。

一。笹山尚人『ブラック職場―過ちはなぜ繰り返されるのか?』
                   (光文社新書)より
 
≪目次を書き出してみる≫
  ◇第1章 「ブラック職場」の正体
   *私たちは労働法を知らない/近視眼的な経営/労働者の
    抵抗力の問題/就活の影響/労働組合の問題/ブラック
    職場はなぜなくならないのか/求人詐欺から退職妨害まで
  ◇第2章 「長時間労働」と「やりがい搾取」
   *長時間労働の実態/長時間労働をもたらす要因は何か
  ◇第3章 非正規と低賃金
   *非正規/低賃金
  ◇第4章 解雇と復職の困難
   *解雇と復職/復職はなぜ難しいのか
  ◇第5章 人事権を再考せよ
   *無制約の人事権/人事権に関する法律上の考え方/人事
    権濫用事例の頻発
  ◇第6章 労働法の存在理由と問題点
   *労働法の規制の在り方とその理由/法規制はそれほど強固
    なものではない/法の運用がうまくできない/裁判上のハードル
  ◇第7章 5つの解決策
   *今すぐ取り組める5つの解決策/労働法の規制強化/
    法規制を守らせる仕組み、運用の体制を整える/労働法
    とその使い方を周知させる/労働者に抵抗力をつける/
    利益至上主義の企業活動を改める取り組みを進める
  ◇第8章 ホワイトな社会に向けて
   *労働組合の取り組み(1)―首都圏青年ユニオンの場合/
    労働組合の取り組み(2)―さっぽろ青年ユニオンの場合/
    企業・事業体の取り組み/労使の取り組み―パワハラ防止
    協定の制定/個人の取り組み―Eさんのパワハラ事件/
    個人の取り組み―SNS活用による取り組みの広がり/
    国や自治体による取り組み

二。ブラックバイト問題
  
◇「生活のため」「学費のため」―背景にある日本社会全体の貧困化
  ◇アルバイトの目的が変わってきている
    ―経済的逼迫(辞められない理由にも)
  ◇ブラックバイトの定義―「学生であることを尊重しないアルバイト」
   *たとえば、「テスト期間中にシフトを代わってもらえない」
   「辞められない」「就職活動ができない」「毎日勤務に入り、
   学業に支障」「ワンオペなどの過度の責任」
  ◇特徴―今野晴貴『ブラックバイト―学生があぶない』岩波新書より
   *学生の「戦力化」/安くて従順な学生/1度入ると辞めら
    れない―「責任感」、脅し、脅迫/高校生にまで広がるブ
    ラックバイト/労働者としての権利を認めない

三。働くことがもつ「麻薬性」について
  
◇黒井千次『働くということ』(講談社現代新書、1982年)


  ◇「やりがい搾取」について

    「人の善意につけ込んで、労働力をタダで使おうとする。
    それは搾取です。たとえば、友だちだから、勉強になる
    から、これもアナタのためだから、などといって正当な
    賃金を払わない。このようなやりがい搾取を見過ごして
    はいけません」
       (『逃げるは恥だが役に立つ』みくりのセリフ)

   *2020年東京オリンピックでのボランティア大動員…

以上。


何人かの感想文を紹介します。

■ブラック職場に共通することは? との問いに、何となく
ボヤッとイメージはできるけど言葉にすると、どうなる
かなあと、いい言葉が浮かばず、“人が人として扱われない”
と言われて、納得できました。

■あまり好きでない職でも、一部好きな作業があったり、
好きな職でも、一部キライな作業があったり、フクザツ
だなと感じました。また、災害ボランティアもやりがい
搾取だなと思いました。本当は行政がもっと力を入れて
いくべきだと思いますが、ボランティア頼みのような
雰囲気を感じました。

■もう10年も労働者をしているのに労働法知らなくて
ヤバイと反省しました…。子どもたちには憲法と労働法
は伝えられるようにしたいと思います…! 働くって、
まだまだ深く考えることがあるな…。

■労働者の権利を守るには労働法を知らなくてはいけない
というのは根本的なことですが、あまり目が向いていま
せんでした。労働には少なからずやりがい・麻薬性がある
とは思いますが、それが搾取につながりやすいのだと、
労働者が認識しておかなければいけないと思いました。

■働くことの麻薬性…。しんどいけど働くことが好きって
人間はおもしろいなと思います。だからこそ、“私たちは
労働法を知らない”現状はなんとかしたいですね。高校に
最賃とブラック注意のポスターを!!