長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『また、桜の国で』

『また、桜の国で』(須賀しのぶ、祥伝社、2016年)を読み終える。

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今年1冊目の読書。

ひとつの大河ドラマに浸れた感じ。
第二次世界大戦下のワルシャワが舞台。
大国の狭間でつねに侵略を受けてきた街のなかでの
不思議な結びつきと、
「互いを信じる」生き方を交差させる物語の登場人物たち。

1939年9月1日のドイツのポーランド侵攻、
ゲットー蜂起、アウシュビッツ、
そして稀有なレジスタンスのたたかいワルシャワ蜂起。
主人公を日本の外交官にしたからこそできた手法だと思うけれど、
世界史的に名を残す出来事を、ここまで物語れる力。
山崎豊子の小説のような内容の厚み(分量も500ページの大著です)。
傑作だった。

2015年にポーランドのワルシャワ、
2017年にドイツのベルリンに旅行していたから、
より想像力をふくらませて読むことができた。
この小説読んだら、またワルシャワに行きたくなった。
数々の悲嘆と絶望と、
でも決して誇りを失わず再生してきた街に。