長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

生協労働者の方の感想

最近、毎日のようにFBでどなたかが
『ひめ』本の感想をアップしていただいています。
ありがたいことです。
きのうは生協労働者の方が以下の感想を書いてくださいました。
了解を得てご紹介させていただきます。

*  *  *  *  *  *  *

☆そねともこ著 長久啓太編著『ひめは今日も旅に出る』

 ALSという難病があることは新聞記事などで何度か
読み、筋力がだんだんと萎縮し、生活に困難をもたら
す病気だとは知っていました。ただ私はそこまでの知
識でした。
 この本の主人公のそねともこさんは2015年の秋頃に
最初の症状が始まり、入院、自宅での介護へと暮らし
が一変して行きました。
 そねさんは本書の冒頭で「新しい旅」が始まったと
書いています。人生は誰しも死ぬまで自分なりの旅の
途上にいます。彼女は病前も病後も変わらず彼女らし
く、自分らしさを大事にして、ALSと一緒に、旅を続
けています。
 その旅は、家族や主治医、ケアマネさん、お友達の
皆さんに支えられ、そして何よりも旅好きな本人の強
い意志のもと入念な準備の上、実現していきます。沖
縄から青森、海外はベルリンまで。病気を抱えてのそ
の行動力には舌を巻きます。
 その旅に立ちはだかるものもあります。介助を常に
必要とする生活には公的なサービスが欠かせません。
24時間介護の為、2人介助を申請した時、自治体職員
から「オムツをしないのはわがままなんじゃないです
か」という心無い言葉が発せられました。人権感覚を
育み、利用者がきちんと制度を利用できるように、
困っている人に寄り添っていける職員の育成を願って、
彼女は闘いました。
 こんなことを書くと大げさと思われるかもしれませ
んが、そねさんの生き方は憲法の実践そのものだ、と
感じました。自分が自分であることを大切にし(個人
の尊厳の尊重)、それを阻害する制度や社会の壁に毅
然と対峙する。憲法を暮らしに生かす、とはまさに彼
女の生き方そのもの、素晴らしいお手本になると感銘
を受けました。
 くしくもご夫妻が住むのは人間裁判と言われた朝日
訴訟が闘われた町。そねさんも「人間の尊厳をかけて
たたかった朝日茂さんからのエールを感じながら、私
らしく生きていくために声をあげ続けたい」と書いて
います。
 ご夫妻のこれからの旅の空が、ご夫妻が愛する沖縄
の海や空のように青くきらめくものであることを願っ
ています。