長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

伝える、とは何か。(前半部分)

昨夜(13日)は、
「変革のための リーダー講座・夜間研修編」でした。
テーマは「伝える技法―聴く・話す・書く」。

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18名が参加。
なんか、とっても明るい雰囲気で、楽しい時間でしたね。

最初に、簡単な目的説明と、自己紹介をしてもらったのですが、
それぞれの参加動機がさっそく面白かったです。多様な悩み(笑)。

今日はとりあえず、前半部分のレジュメを紹介します。
来週、参加者の感想ふくめ、後半の内容を書きたいと思います。
では、以下。

一。伝える、とは何か。そのメカニズム。
 1。伝えたいことがある。
  ◇例えば…
   *3月〇日の団体交渉に、たくさんの人に参加してほしい。
    職場の切実な声を示し、実現したい要求がある。
   *ヒバクシャ国際署名を職場で集めて、国連や世界の
    リーダーたちに声を届けたい。
   *安倍政権がいかに酷い政治や国会答弁をしているか。たくさんの
    人に知ってもらいたい。怒ってほしい。政治を変えたい。
   *うちの組織はこんな魅力がある。力がある。ぜひうちの組織に
    入ってほしい。

  ◇みなさんには、活動の源となる、原点的体験や動機づけがあるはず。
   *伝えたい中身をもっている。まずそれが大事で、貴重なこと。
  ◇「伝える」(説明する)というのは、アウトプットの技術ともいえる
   *伝えたい内容の明確化。言語化がカギ。

  ◇運動や活動の場合は、目的やビジョンが伝わらないと、
   自分たちの力が高まらない。
   *一部のわかったひとだけで活動しても限界がある。
    伝われば、力を大きくできる。
   *伝えあいの質が、組織や活動の質を規定している。

  ■宣伝物、ニュース(機関紙)、掲示板…。メール、手紙。SNS。
  ■対話(集団に対してと、個人にたいして)。

   *非言語的な方法もあるが(絵や音楽など)、今日は言葉に
    しぼりたいと思います。

 2。こちらの伝えたいことと、相手の問題関心(意識)は違う、ということ。
  ◇1人ひとりの生活、人間関係、メディア選択、認識の枠組み…。
   みんな違う。
   *認識がみな違う。よって選択・行動基準も変わってくる。
   *支配する側・強者側の「呪いの言葉」に縛られている人も大勢いる。
   *私と相手は「違う」が前提。わかりあえない。
    だからこそコミュニケーションが必要。

  ◇ゆとりもない中で

    「広告を発信する側としては、伝えたいことはたくさんあって、
    一般の人たちも当然注目してくれるものと思いがちです。とこ
    ろが、受け手側というのは、発信者のそんな思いなど、ほとん
    ど意に介していません。なぜなら、日常生活のなかでは、自分
    の身の回りの出来事や問題で精一杯になっているからです。人
    は自分の心にバリアを張っていて、無意識のうちに外部情報を
    遮断しています」
    (佐藤可士和『佐藤可士和の超整理術』日経ビジネス文庫、2011年)

    「メッセージを相手に伝えるというのは、本当に難しいこと
    です。伝わっているはず、と自分では思っていても、実際に
    は伝わっていないことのほうがはるかに多いもの。全体の半分
    くらい伝わればいいほうで、100%わかってもらうのは至難
    の業といっていいでしょう」(同上)

  ◇1人の人間にとって、情報を受取る、話を聴くというのには、
   キャパ(限界分量)がある。
   *自然に、大量に入ってくる情報や言葉を受け流すようになっている。

 3。この人やこの組織の話なら(書くことなら)、という信頼関係が
   まず大事
  ◇まず、相手が「聴こう」「受け取ろう」となるか。その姿勢を
   育ててもらう。
   *みなさんも同じだと思うが、相手によって、聴く態度や真剣さが
    変わってくる。
   *おおきなカギをにぎるのは、誠実さ。嘘をつかない。あたりまえ
    だけど。
    ・街頭宣伝や政治家の演説に出くわしても、多くの人が素通り
     するのは、そこに信頼関係がないから。とくに政治家の言葉
     に主権者が向きあわなくなっている。民主主義が壊れている状況。

  ◇方法も大事(誠実さがでる)。ラインか、手紙か、直接会ってか。
   言葉の選び方も。

  ◇相手を知る、相手の話を聴くことが、「伝わる条件」をひらく。
   *自分の話を聴いてくれる人には、その人の話も聴こうとなる。
   *信頼関係が「伝えあい」の質に影響する。
   *しかし「聴く」という姿勢は、とても能動的な行為で、時間と
    エネルギーをつかう。対象のことを理解しようとすることは、
    おもしろくもあり、面倒くさくもある。

    「職場討議やさまざまな会議でも、つねに『聴く』ことを柱に
    すえて、運営していくことを追求してみてください。どうして
    も時間は多くかかりますが、『聴く』『聴かれる』ことで、
    それぞれの認識の発展が生まれ、『自分たちのことを深いとこ
    ろで理解してくれようとしている』という信頼も深まっていき
    ます」(長久啓太『ものの見方たんけん隊』学習の友社、2014年)


 グループディスカッション①
  *ここまでの問題提起を受けての気づき、感想、意見を出しあって
   みましょう。
  *自分が今こだわって「伝えたい」と思っている事柄はなんでしょう。
   誰に、どんな方法でそれを伝え、どのような変化を起こしたいですか。