長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

今年は151冊でした。

最近読んだ本(写真)。
今年は151冊で終了です。コロナ禍で仕事に余裕があっため、
必要にせまられての読書は減りました。小説が増えましたね。

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『きみはいい子』(中脇初枝、ポプラ社、2012年)
児童虐待を軸にした5つの短編なのだが、
それぞれの登場人物が交差する手法もあり、読ませる。
しかし虐待の描写やこどもの気持ちは読んでいてツライ。
これ映画化もされたみたいだけど、観る勇気はないなあ。
小説としての質は高い。

『これからの男の子たちへ~「男らしさ」から自由になるためのレッスン』
(太田啓子、大月書店、2020年8月)
「有害な男らしさ」などのジェンダー入門書であり、
「こうした場合にどうする?」の実践指南書にもなっていてわかりやすい。
自身おふたりの息子さんを育てながらの模索。良書。

『幻世の祈り~家族狩り第一部』(天童荒太、新潮文庫、2004年)
全5部作の巨編。家族をめぐる愛憎と痛み。そう、痛み。
天童荒太の切迫感とするどい問題意識が、
物語と言葉でせまってきて、痛みながら読む。
『永遠の仔』と同じ匂い。
読みすすめるのが怖いけど、読まずにいられない!

『遭難者の夢~家族狩り第二部』(天童荒太、新潮文庫、2004年)
やはりぐいぐい読める。それぞれの家族の重しや葛藤が交差する。
最後のシーンが怖すぎた。

『贈られた手~家族狩り第三部』(天童荒太、新潮文庫、2004年)
この展開、どうなるのか…。
とドキドキしながら、痛みながら読んでる長編。

『巡礼者たち~家族狩り第四部』(天童荒太、新潮文庫、2004年)
物語も終盤へ。展開にいちいちドキドキする…。
家族、死者への祈り、親と子、激しく揺れ動く感情・・・。
作者のメッセージが強烈。いよいよ最終巻へGO!

『まだ遠い光~家族狩り第五部』(天童荒太、新潮文庫、2004年)
5部にわたる大作小説。全編、濃密で、ヒリヒリしながら読んだ。
最後はやや救いがあり、ほっとする。
親と子、家族、そして死を抱えながら生きる人たち。
時代の問題、人間の本質へと切り込む作家の力量にあらためて脱帽。

『エンゲルスから学ぶ科学的社会主義』
(山田敬男・牧野広義編著、学習の友社、2020年12月)
マルクスがマルクスになるためには、エンゲルスの存在が不可欠だった。
歴史の偶然だが、この2人の関係性には、いつも胸が熱くなる。
エンゲルス生誕200年にさいし、彼の思想や著作を紹介。

『「資本論」完成の道程を探る』(不破哲三、新日本出版社、2020年10月)
雑誌掲載時も読んだけど、あらためてエンゲルスの
晩年の苦闘に思いをはせる。
病気を抱え、各国の運動への助言要請にも応えながらの、
第2部・3部の編集。
来年は、同じく新日本出版社の新版『資本論』を読む。

『さよなら、俺たち』
(清田隆之〈桃山商事〉、スタンド・ブックス、2020年7月)
女性たちの恋愛相談にのりながら突きつけられた
「男性であること」の縛りと特権を、
過去の自らの言動への内省ふくめ言語化。
じっくりと内面に向き合う姿勢は、
私ふくめた多くの男性に必要だと痛切に思う。

『NHKテキスト 100分de名著 カール・マルクス 資本論~甦る、実践の書』
(斎藤幸平、NHK出版、2020年12月)
Eテレでの放送は来年1月に全4回(月曜日)で。
『資本論』のエッセンスを解説しながら、資本主義でない社会を構想し、
生きるための材料を提示。切り口がとっつきやすくて良い。

『地元を生きるー沖縄的共同性の社会学』
(岸政彦・打越正行・上原健太郎・上間陽子、ナカニシヤ出版、2020年10月)
沖縄社会を理解しようとする視座として、
階層格差とジェンダー格差を提起。各人の生活史に分け入り、
個人と共同性との関わりから沖縄社会の構造を浮き上がらせる。
労作。