長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

人間論講座3回目―人間と社会について

29日(金)に行なわれた

科学的社会主義の人間論講座3回目は、

3人の参加とさびしかったですが、

楽しい学びの場になりました。

 

「私のなかの私たち―人間と社会について」

というテーマでした。90分の講義と感想交流。

 

 

わたしもまだ整理が不十分なところは

ありますが、

「わたし」とは誰か、から入って、

マルクスの史的唯物論を学ぶ内容です。

 

いつか活字にしてみたいと思っています。

もっと修行が必要です。

 

 

3人の参加者の感想文です。

 

「『政治には関係ない』『政治はどこかの偉いさんにまかせて』

という態度の人を見かける。自分の生活に政治は大きく関わっ

ているし、自分で変えていけることに、気づく人が増えたらいい

なと思いました」

 

「『わたし』はいろいろな人びととのつながり、社会との

つながりでつくられている!! つながりをもっともっと

大切にしていきたいです。No more 無関心!」

 

「『つながり』て大切だと思ったし、もっと『つながり』を

ふやしたいと思った。自分の生き方をもっと考えてほしい

と思う後輩がいるな~。自分の生き方と社会が密接に

関わっているって改めて思った。楽しく生きられる社会を

つくるゾ!!」

 

 

 

以下、レジュメです。

(レジュメからそれた話が多かったですが・・・)

 

 

 

一。「わたし」とは誰か

 1。いろんな「顔」をもつ「わたし」

  ◇「顔」とは、つながりのこと

 

   *さまざまな「顔」を同居させつつ、配分を使い分けながら生きている

 

     「人間にはいくつもの顔がある。私たちは、このことをまず肯定
     しよう。相手次第で、自然と様々な自分になる。それは少しも後
     ろめたいことではない」
    (『私とは何か-「個人」から「分人」へ』平野啓一郎、講談社現代新書)

 

     「人間は、たった一度しかない人生の中で、出来ればいろんな
     自分を生きたい。対人関係を通じて、様々に変化し得る自分を
     エンジョイしたい。いつも同じ自分に監禁されているというのは、
     大きなストレスである」(前掲書)

 

 

     ・ただし、「ひとりの時間」も現代人にとっては不可欠な時間

 

 

  ◇「わたし」はどんどん変化する

   *年齢、地域、仕事、環境・・・

 

 

「人間は、他者なしでは、新しい自分になれない」(前掲書)

 

   *どんな「つながり」を大事にしていくのかという選択(どんな自分をつくるのか)

 

 

 2。社会的諸関係の総体

 

      「人間的本質は、個々の個人に内在するいかなる抽象物
     でもない。人間的本質は、その現実性においては、社会的
     諸関係の総体である」

      (カール・マルクス「フォイエルバッハにかんするテーゼ(6)」)

 

   *人と人とのつながりは、個人の外にあるのと同時に、

     それが同時にそのまま個人の内面をつくる。

     わたしのなかに「社会」が入り込んでくる。

 

 ◇みなさんが、70年前に生まれていたら?

*300年まえに生まれていたら?

 

 

 

二。社会と「わたし」の関係

1。社会のことを知ろうと思ったら?

…テレビニュース、新聞、インターネットetc

 

   ◇新聞がいちばん包括的なので、そこを手がかりに考えてみましょう。

 

 

  ◇社会を形づくる3つの側面(おおまかな分類です)

   *政治的関係

   *経済的関係

   *文化的関係

 

 

    ・これらの諸関係が、どんどん「わたし」のなかに入ってくる。

 

 

 2。その関係なしに、他の関係も成立たないものは?

◇経済関係が土台(基礎)にあって、他の関係も成り立つ

   *なぜなら、社会を構成する人々の生活を維持していくために

      必要なものを継続的に生産し続けなければ、社会はなりたたないから。

   *労働によって、衣食住を基本とした必要な商品・サービスを

生み出していく

 

  ◇生産のあり方が、社会のあり方を規定する

   *どんな生産関係のもので、生産活動が行われているか

   *土台(経済)が上部構造(政治や文化・思想)を規定している

   *経済、政治、文化(思想)の関係を、バラバラでなく立体的にとらえる。

 

 

3。いま私たちが生きている社会は、資本主義社会

  ◇資本主義って?・・・これを明らかにするのは、経済学の課題。

   *端的にいえば・・・

    ・ほとんどの労働生産物・サービスが「商品」という形で

生み出される社会

    ・生産手段をたくさんもっている資本家が、まったく持って

い      ない労働者と雇って、生産活動を行う。

        労働者は資本家との関係を取り結ばざるをえない。

    ・資本家が商品生産を行う目的は、利潤の獲得にある(資本の特性)

 

  ◇私たちが「どう生きるのか」と、「どんな社会なのか」は深い関係がある

 

*大河ドラマ「龍馬伝」-身分制度への挑戦

 

*日本の戦争の時代-「どう死ぬか」「銃後を守る」「命がけの反対」

 

  ◇時代に制約を受けつつも、個人や人間集団は、

                ただ受け身の存在ではなかった。

 

   *人間は、自然環境・社会環境に順応しつつも、その環境を変えてきた存在

 

その時代の課題と向き合って生きる。  なぜか…それが人間だから。

 

◇私たちが生きていく「時代」とは、どんな社会になるのか(していくのか)

2010年-2020年-2030年-2040年-

2050年-2060年-2070年-2080年・長久死ぬ

 

21世紀とはどんな時代なのかへの洞察。

 

     どんな「わたし(たち)」として生きていくのかの問いかけにもなる。

そのためには、人間の歴史と社会発展の理論の学びが不可欠。

 

 

 

三。社会は動いている-マルクスの『史的唯物論』概要

 1。社会は変化し、発展してきたし、その法則性がある

  ◇こういう考え方は、ずっと昔からあったわけではない

   *社会は1人ひとりの人間の意志で動いているものだから、法則性などない。

   *あるいは、神が人間社会をつくったという宗教的社会観

   *いまの資本主義社会が人類社会の最高の到達点である、とか

   *英雄・豪傑・偉人たちの活躍。国王や皇帝の業績などを

原動力としてみる見方も。

 

    ・日本の戦前の歴史教育は、社会の構造やしくみぬきの、時代区分だった

     天皇の代で時代を区分したり、首都がどこにあったかで分けていた。

 

  ◇史的唯物論の確立……カール・マルクス(1818~1883)の功績

   *社会は、これまでも法則性をもって変わってきたし、

これからも変わってゆく。

   *私たちが生きている資本主義社会は、人類の歴史の、

ひとつの段階にすぎない。

   *その社会を変えていく原動力やしくみ、その担い手を明らかにした。

 

 

2。社会をみる見方の核心的なポイント(これはおさらい)

  ◇社会の土台は、人間の経済生活にある

 

  ◇生産活動がなければ、社会は成り立たない

   *どんな社会でも、衣食住など、人間生活に必要な物資や

      サービスを生産する活動を抜きにしては、社会の生活も

      個人の生活も成り立たない。

   *そのような必要な物資やサービスを、どのように生産して

      いるのか。そのなかで人間がどのような関係をもつのか、

      そこに、歴史発展の視点をおいた。

 

  ◇経済的土台のうえに、政治や思想・文化が展開される

 

 

 3。経済関係の段階的な発展が歴史の時代を区分する

  ◇生産力の発展と、生産関係に注目する

   *人間が生産活動のなかで、取り結ぶ社会関係(生産関係)は、

      歴史のなかで大きな変革をくりかえしてきた。生産をめぐって

      のこの社会的関係(生産・分配・交換・消費)の特質こそが、

      歴史の諸時代を区分してきた。

   *その生産関係を変えていく原動力は、生産力の発展。しかし、

      生産関係が自動的に変化していくわけではない。

 

  ◇生産関係をみるポイントは、生産手段の所有関係

   *生産手段とは

    ・労働手段:道具や機械、装置など

    ・労働対象:天然資源、原料、材料など

 

     労働手段+労働対象 → 生産手段といいます

 

  ◇その生産手段を、だれが、どれだけ持っているかが、ポイント

   *人類社会の主な社会発展区分

    ・原始共産制社会→生産手段はみんなで所有

    ・奴隷制社会→主な生産手段は奴隷主がもつ

    ・封建制社会→主な生産手段は封建領主がもつ

    ・資本主義社会→主な生産手段は資本家がもつ

    ・未来社会は・・・

 

 

 4。社会を動かす主役は「階級」という人間集団

  ◇階級とは

   *生産手段の所有の有無、その程度、によって区別される

社会的な集団のこと。

   *富の分配も、とうぜん区別される。

   *労働者階級と資本家階級

    ・利害は対立する(必然的に)

 

  ◇生産力の発展が、生産関係と矛盾するようになる

   *その矛盾は、おもに階級間のたたかい(階級闘争)という

形であらわれる

   *その「たたかいの方法」も社会の発展段階によって異なる

  

◇資本主義はどうか

   *資本主義は効率的な社会なのか(資料)

   *貧困と格差の拡大。一方で、巨大な富が集中。

 

  ◇たたかいを原動力として、社会は変革されていく

*経済、政治、文化(思想)、それぞれの分野で階級闘争が行われていく

   *「わたし(たち)」は、そのたたかいに、どういう形で関わるのか(生き方)