「人間的本質は、個々の個人に内在するいかなる抽象物
でもない。人間的本質は、その現実性においては、社会的
諸関係の総体である」
(カール・マルクス「フォイエルバッハにかんするテーゼ(6)」)
*人と人とのつながりは、個人の外にあるのと同時に、
それが同時にそのまま個人の内面をつくる。
わたしのなかに「社会」が入り込んでくる。
◇みなさんが、70年前に生まれていたら?
*300年まえに生まれていたら?
二。社会と「わたし」の関係
1。社会のことを知ろうと思ったら?
…テレビニュース、新聞、インターネットetc
◇新聞がいちばん包括的なので、そこを手がかりに考えてみましょう。
◇社会を形づくる3つの側面(おおまかな分類です)
*政治的関係
*経済的関係
*文化的関係
・これらの諸関係が、どんどん「わたし」のなかに入ってくる。
2。その関係なしに、他の関係も成立たないものは?
◇経済関係が土台(基礎)にあって、他の関係も成り立つ
*なぜなら、社会を構成する人々の生活を維持していくために
必要なものを継続的に生産し続けなければ、社会はなりたたないから。
*労働によって、衣食住を基本とした必要な商品・サービスを
生み出していく
◇生産のあり方が、社会のあり方を規定する
*どんな生産関係のもので、生産活動が行われているか
*土台(経済)が上部構造(政治や文化・思想)を規定している
3。いま私たちが生きている社会は、資本主義社会
◇私たちが「どう生きるのか」と、「どんな社会なのか」は深い関係がある
*大河ドラマ「龍馬伝」-身分制度への挑戦
*日本の戦争の時代-「どう死ぬか」「銃後を守る」「命がけの反対」
◇時代に制約を受けつつも、個人や人間集団は、
ただ受け身の存在ではなかった。
*人間は、自然環境・社会環境に順応しつつも、その環境を変えてきた存在
その時代の課題と向き合って生きる。 なぜか…それが人間だから。
◇私たちが生きていく「時代」とは、どんな社会になるのか(していくのか)
*2010年-2020年-2030年-2040年-
2050年-2060年-2070年-2080年・長久死ぬ
21世紀とはどんな時代なのかへの洞察。
どんな「わたし(たち)」として生きていくのかの問いかけにもなる。
そのためには、人間の歴史と社会発展の理論の学びが不可欠。
1。社会は変化し、発展してきたし、その法則性がある
◇こういう考え方は、ずっと昔からあったわけではない
*社会は1人ひとりの人間の意志で動いているものだから、法則性などない。
*あるいは、神が人間社会をつくったという宗教的社会観
*いまの資本主義社会が人類社会の最高の到達点である、とか
*英雄・豪傑・偉人たちの活躍。国王や皇帝の業績などを
原動力としてみる見方も。
・日本の戦前の歴史教育は、社会の構造やしくみぬきの、時代区分だった
天皇の代で時代を区分したり、首都がどこにあったかで分けていた。
◇史的唯物論の確立……カール・マルクス(1818~1883)の功績
*社会は、これまでも法則性をもって変わってきたし、
これからも変わってゆく。
*私たちが生きている資本主義社会は、人類の歴史の、
ひとつの段階にすぎない。
*その社会を変えていく原動力やしくみ、その担い手を明らかにした。
2。社会をみる見方の核心的なポイント(これはおさらい)
◇社会の土台は、人間の経済生活にある
◇生産活動がなければ、社会は成り立たない
*どんな社会でも、衣食住など、人間生活に必要な物資や
サービスを生産する活動を抜きにしては、社会の生活も
個人の生活も成り立たない。
*そのような必要な物資やサービスを、どのように生産して
いるのか。そのなかで人間がどのような関係をもつのか、
そこに、歴史発展の視点をおいた。
◇経済的土台のうえに、政治や思想・文化が展開される
◇生産力の発展と、生産関係に注目する
*人間が生産活動のなかで、取り結ぶ社会関係(生産関係)は、
歴史のなかで大きな変革をくりかえしてきた。生産をめぐって
のこの社会的関係(生産・分配・交換・消費)の特質こそが、
歴史の諸時代を区分してきた。
*その生産関係を変えていく原動力は、生産力の発展。しかし、
生産関係が自動的に変化していくわけではない。
◇生産関係をみるポイントは、生産手段の所有関係
*生産手段とは
・労働手段:道具や機械、装置など
・労働対象:天然資源、原料、材料など
労働手段+労働対象 → 生産手段といいます
◇その生産手段を、だれが、どれだけ持っているかが、ポイント
*人類社会の主な社会発展区分
・原始共産制社会→生産手段はみんなで所有
・封建制社会→主な生産手段は封建領主がもつ
・資本主義社会→主な生産手段は資本家がもつ
・未来社会は・・・
◇階級とは
*生産手段の所有の有無、その程度、によって区別される
社会的な集団のこと。
*富の分配も、とうぜん区別される。
*労働者階級と資本家階級
・利害は対立する(必然的に)
*その矛盾は、おもに階級間のたたかい(階級闘争)という
形であらわれる
*その「たたかいの方法」も社会の発展段階によって異なる
◇資本主義はどうか
*資本主義は効率的な社会なのか(資料)
*貧困と格差の拡大。一方で、巨大な富が集中。
◇たたかいを原動力として、社会は変革されていく