最近読み終えた本。
『つむじ風食堂と僕』(吉田篤弘、ちくまプリマー新書、2013年8月)
久々に、テキトー買いの新書での大ヒット。
内容、文体、本全体の雰囲気、どれも素晴らしい。
主人公は12歳の男の子(まるで、コペルくんのような感じ)。
通っている隣町の食堂で、
大人たちから「働くこと」について、多様な「考え」を聞く。
その展開と内容が、じつに見事で、読ませる。
労働は必然。社会としてやらなければならないこと。
でも、個々の人をみると、偶然の要素、
多様な形や思いがある。それを上手に伝えている。
結論をまとめずに…。
しかし、この物語は「商店街」という世界だからこそ
成り立つものでもあるなあと。
この「労働のあたたかみ」は、いま、どんどん失われている。
ちくまプリマー新書の200冊目。
あとがきに、ちくまプリマー新書創刊の
「初心」のことにふれられていて、心うつ。良い。
『集団的自衛権の深層』(松竹伸幸、平凡社新書、2013年9月)
歴史的に、また国際法の角度からも、
集団的自衛権の実態を掘り下げる。
国連憲章51条の理解がグッと深まった。
概念をひとつひとつ、豊富な実例を示しながら
確定していっているのも、良い。
「個別的自衛権」「集団的自衛権」
「武力攻撃」「武力の行使」「侵略」・・・等々。
そうか、そうかと読みすすめる。
安倍内閣が従来の憲法解釈を壊し、
集団的自衛権を行使できる「普通の国」にしようという
ねらいの欺瞞性、硬直性、空想性が浮き彫りに。
第5章の「対案」も、説得力があり、共感する。
『憲法九条の軍事戦略』と姉妹関係。