長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

つむじ風食堂、集団的自衛権

最近読み終えた本。

『つむじ風食堂と僕』(吉田篤弘、ちくまプリマー新書、2013年8月)

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久々に、テキトー買いの新書での大ヒット。

内容、文体、本全体の雰囲気、どれも素晴らしい。

 

主人公は12歳の男の子(まるで、コペルくんのような感じ)。

通っている隣町の食堂で、

大人たちから「働くこと」について、多様な「考え」を聞く。

その展開と内容が、じつに見事で、読ませる。

 

労働は必然。社会としてやらなければならないこと。

でも、個々の人をみると、偶然の要素、

多様な形や思いがある。それを上手に伝えている。

結論をまとめずに…。

 

しかし、この物語は「商店街」という世界だからこそ

成り立つものでもあるなあと。

この「労働のあたたかみ」は、いま、どんどん失われている。

 

ちくまプリマー新書の200冊目。

あとがきに、ちくまプリマー新書創刊の

「初心」のことにふれられていて、心うつ。良い。

 

 


『集団的自衛権の深層』(松竹伸幸、平凡社新書、2013年9月)

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歴史的に、また国際法の角度からも、

集団的自衛権の実態を掘り下げる。

国連憲章51条の理解がグッと深まった。

 

概念をひとつひとつ、豊富な実例を示しながら

確定していっているのも、良い。

「個別的自衛権」「集団的自衛権」

「武力攻撃」「武力の行使」「侵略」・・・等々。

そうか、そうかと読みすすめる。

 

安倍内閣が従来の憲法解釈を壊し、

集団的自衛権を行使できる「普通の国」にしようという

ねらいの欺瞞性、硬直性、空想性が浮き彫りに。

 

5章の「対案」も、説得力があり、共感する。

『憲法九条の軍事戦略』と姉妹関係。