金曜日(15日)の夜から、岩国へ。
2013日本平和大会in岩国。開会集会に参加。
16日は写真のようなテーマの分科会8(入門編)で
40分間の講師お役目。
思ったより参加者多くて、若者中心に50名近い参加。
全国から集い、学びあう貴重な場。
集中力たかめて、言葉に魂こめました(笑)。
10時から16時までの長丁場の分科会。
午前中は、「基地をめぐる街頭アンケートの世論」を
もとに、グループ討論。午後に私の講演と
中国戦線の加害者証言DVD鑑賞、グループ討論、
さいごに発表、という流れ。
私の講演、内容ちょっと盛り込みすぎで、
飛ばしながらのお話でしたが、
みなさんしっかり受けとめていただき、
とてもよい時間になったと思います。
感想交流や発表を聞いていて、
私の話のなかでとくに印象に残ったらしいことは
このようなものでした。
「戦争を知らない(体験していない)ということと、
戦争の歴史や悲惨を知らないということは、
区別して考えてほしい。
戦争を知らないということそれ自体は素晴らしいこと。
でも、戦争の歴史や悲惨を学ぶことは不可欠。
なぜなら、戦争への足音や危機を敏感に
キャッチし、行動をしていくためには、戦争の歴史に
ついてしっかり学んでいることが必要だから」
「体験しなければわからない、というのは違う。
人間には言葉があり、言葉によって、
その体験の苦しみや痛みを伝えることができる。
そして、私たちには想像力がある」
以下、講義の概要です。(しゃべれなかった部分もたくさん…)
はじめに:午前中の議論を受けて
一。戦争や基地について考えることの難しさ
1。平和である、ということ―時間的距離、社会的距離
2。本土では意図的に米軍基地との「距離」がつくられてきた
◇85%-15%(1955年) 陸軍は韓国へ。海兵隊は沖縄へ。
◇55%-45%(1960年)
◇26%-74%(現在)
*「基地問題は安保に刺さったとげである。都市に基地
があるかぎり、安保自衛隊問題について国民的合意を
形成するのは不可能だ」(久保卓也防衛局長・1972年)
*米国も、できるだけ日本国民との摩擦を避けたいという
政治的思惑があった
*安保条約10条問題。一方的に廃棄できる。
そういう政府ができないように。
*参考文献
『基地はなぜ沖縄に集中しているのか』
(NHK取材班、NHK出版、2011年)
『戦後平和主義を問い直す』(林博史、かもがわ出版、2008年)
『米軍基地の歴史―世界的ネットワークの形成と展開』
(林博史、吉川弘文館、2012年)
3。政府やマスコミなどによる因果関係の「ずらし」「脅威論」
◇アメリカが守ってくれている
◇北朝鮮や中国
二。ひとりひとりの人間の視点・声から―戦争や基地を考える立ち位置
1。日本国憲法の立場-憲法は中立ではない
◇憲法の立場とは?
*国の安全保障のためなら、少々の我慢・犠牲は「しょうがない」…?
→こうした立場をとらないのが日本国憲法。犠牲の論理の否定。
*憲法13条「すべて国民は」「個人として尊重」「生命・自由・幸福追求」
・取り替え不可能。かけがえがない。
命は1つ。人生は1回。だれも見捨てない。
*日本の侵略戦争・・・アジアで2000万人以上、日本人は310万人。
おそるべき人命軽視・人権抑圧の戦争だった。
【補論:数字を取り扱う場合に必要な視点】
*基本的人権は、人間らしく生きるために欠かせない目録であり、
「侵すことのできない永久の権利」(11条・97条)
*「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに
生存する権利」(前文)
◇同じ「現実」をみても、見え方とらえ方が違う-「中立に見たい」の限界
*人権の立場にたたないと、見えてこないことがある-学びと行動の動機に
2。固有名詞をもつ、当事者の視点・声
◇『私たちの教室からは米軍基地が見えます』(渡辺豪、ボーダーインク、2011年)
◇『それぞれの「戦争論」-そこにいた人たち』(川田忠明、唯学書房、2004年)
◇『冬の兵士』(反戦イラク帰還兵の会・アーロングランツ、岩波書店、2009年)
三。安保条約をどう「つかむ」のか
1。歴史を学ぶ
◇敗戦後・米国による全面占領の時代(1945年~1952年4月28日)
*当初の民主化政策(その象徴は日本国憲法の制定)
*政策の転換-レッドパージ、労働組合敵視、戦犯解除、自衛隊の創設etc
*1948年12月のA級戦犯の釈放。50年10月から戦争犯罪者の「追放解除」。
大量の戦犯政治家、大資本家がアメリカに忠誠を誓いながら戦後日本の
政界・財界(=支配層)に復帰。その後の対米従属を深く規定づけることとなる
◇占領の継続のための仕組み-サンフランシスコ講和条約と旧安保条約(秘密裏に)
*旧安保は、基地を自由においていいよ条約。同時に、沖縄は切りすてられる。
◇1960年に改定された安保条約-公然たる軍事同盟に
*「基地貸与条約」という性格を引き継いだ(6条)
*「有事のさいに米軍と共同して戦う日米共同作戦条項」の新設(5条)
*「日米経済協力」の条項(2条)や、防衛力増強条項も(3条)
*安保の規定にない「思いやり予算」。日米地位協定(裁判権放棄など)、密約問題。
*基地の使用料もタダ。沖縄の地主などには日本政府が地代を支払っている。
*安保改定反対の大闘争-その意義
*安保体制の拡大・強化-安保の枠を超える異常~現在まで
2。世界的視野で
◇軍事同盟による「安全保障」=冷戦時代の思考・遺物
*従来あった世界の軍事同盟の多くは、解体・機能不全におちいっている
◇いま、世界の大きな流れはどうなっているのか
*東南アジア諸国連合(ASEAN)などの取り組みも注視
*軍事力で領土問題は解決しない
3。さまざまな問題の「根っこ」に安保条約
◇異常なアメリカ従属の政治がもたらしているさまざまな問題
*国の借金の膨張、「規制緩和」、郵政民営化、原発、医療制度改悪、農業破壊、
総決算がTPP! いま大問題の特定秘密保護法案もアメリカからの要求。
*日米同盟の枠でしか安全保障・外交政策を考えられない「こびりついた体質」
◇国会内の政党で日米安保解消の政策をもつのはごく少数
*国民に、安保条約をどうつかんでもらうか、大事な課題
さいごに:平和運動をつづけていく力
*知ること、聴くこと、学びあう、政治に強くなる
*仲間の存在
*集まる、組織を大事に、話しあう、書きあう、表現する!(憲法21条の実践)