長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

犯罪と刑罰、何者

最近読み終えた本。

正月は怠けましたが、1月は15冊目標。

がんばります。

 

 

『犯罪と刑罰』

(ベッカリーア著、風早八十二・五十嵐二葉訳、岩波文庫、1959年)

 f:id:benkaku:20140107123419j:plain


刑法の原理を説いた18世紀啓蒙主義者の古典。

初版はフランス革命より25年も前だそう。

この時代に、すでに死刑や拷問の廃止を強調するなど、

随所で現代日本にも通じる警鐘がある。

 

ところどころにディドロの「評注」があるのにもびっくり。

しかし、啓蒙主義って、やっぱりすごいと思いますよ。

社会変革の時代は、たたかうスタンスは唯物論なんですよね。

 

特定秘密保護法が成立し、

刑法の原理も崩される情勢になっています。

読まれるべき古典ですね。

 

「刑罰が国民の1人に対する暴力行為にならないためには、

それは本質的に公然、じん速、かつ必要なものでなければ

ならず、与えられた一定の事情のもとで通用することができる

刑罰のうちでもっとも軽くなければならず、また犯罪に比例した、

法律によってはっきり規定されているものでなければならない」

198P「結論」部分より)

 

 

 

『何者』(朝井リョウ、新潮社、2012年)

 f:id:benkaku:20140107123435j:plain


小説としてもおもしろい。新しい感覚の作家。

直木賞受賞作。

大学生たちの就活を柱に話は展開されるのだけれど、

著者が若いということもあり、その感覚が上手に表現されている。

 

Twitterなどの表現・交流手段も交錯させつつ、

就活の内実や学生たちの苦悩も。良作。