長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

松木一等兵、人間として看護婦として

最近読み終えた本。

 

 

『阪神タイガース松木一等兵の沖縄捕虜記』

(松木謙治郎、現代書館、2012年)

 

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戦前から阪神タイガースの選手・監督として

活躍した著者の沖縄戦体験記録。

 

ちょっと他の沖縄戦記録にはない視点と体験が語られていて

たいへん興味深かった。

豪傑な人柄とユニークな感性は、うなること大。

 

 

 

『人間として看護婦として』

(及川和男・盛岡看護学セミナー共著、あゆみ出版、1978年)

 

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よりよい看護を集団として追求する職業意識と、

確固たる看護実践に根ざした

人員要求という労働者・労働組合員としてのたたかい。

 

ニッパチ闘争から10年。

看護婦のたたかいと人間ドラマがつまっている。

労働組合の意義が実践的に語られている。

 

ほか、

看護の技術化にむけた「記録」の意味など学び多し。

読まれるべき名著。

 

 

以下、メモ。

 

 

「看護の技術化という命題は、これまでの経験やコツに

たよっていた看護を、そのなかから法則性をひきだすことに

よって個人的技能から全体化し、集団としての看護のレベル

アップにつなげていけるもの」

 

「個々の具体的特殊的な看護実践の体験を普遍化し、

導きだした法則性をその後の実践に意識的に適用し、

そうすることによって看護技術を伝えあい、全体的に

水準を向上させていくという方法意識」

 

「看護の技術化ということは、セミナーの当初より中心的に

考えてきたことです。よい看護というものは、1人や2人が

すぐれた看護をしてもだめなんですね。チーム全体がいかに

高まるか、ということが重要なんです。ですから、セミナーの

事例検討会でも、たとえよい看護の事例が報告されても、

参加者の意見があまり出ない時はほんとうに成功したとは

言えません。よく討論をし、みんながしっかりとつかんで、

それぞれの職場に持ちかえって実践し定着させていかなけ

ればだめなわけです。そのためには、きちんと技術化すると

いう点が大事なんです」

 

「よい看護というのは、日常化された異常に気づく」

 

「現実を変革するということは、日常化された非人間性との

たたかいという相貌をもつ」

 

「ただ聞くだけでなく、すべての職場に話しあいをおこして

いった。一対一の個人的な話しあいも含め、それは徹底して

行われていった。労働組合のすべての看護婦が、互いの

決意を固めあいながら、意識的にこの“話しあい闘争”を

すすめていった」

 

「増員が先か、よい看護が先かといった二者択一によって、

自らジレンマに落ちこむのではなく、この五病棟の場合でも、

学習活動を発展させ、病棟を民主化し、増員をかちとり、

労働組合を拡大し、そうすることによってよりよい看護へと

着実に接近していくのである」