「秘密保護法・ゾォ~とする15の話」
(今週末の学習会資料として長久作成)
昨年12月6日、国民多数の反対の声を無視し、秘密保護法に賛成した自民党、公明党。反対せずに棄権した維新の党に、この選挙で審判をくだしましょう。
秘密保護法は行政の仕事を監視する国会議員の自殺行為でもあります。
以下、15のゾォ~。
<その1>立法事実がありません
立法事実とは、その法律が必要とされる事実が社会に存在していることです。しかし 「情報漏えい」に関しては国家公務員法や自衛隊法などの既存の法律で対処でき、懲役10年という重罰で人権を制限する秘密保護法など必要ありません。
<その2>恣意的な指定の危険
秘密保護法では①防衛②外交③スパイ活動防止④テロ活動の防止、の4つの分野を対象範囲にし、行政の長が判断して「特定秘密」にするのですが、条文の文言はあいまいで、幅広い解釈が可能です。恣意的な指定がなされる危険があります。
<その3>なにが秘密になったのかわからない
特定秘密に指定される情報について、いったい何が、いつ秘密指定され たのか、国会議員も国民も知ることはできません。この法律には、特定秘密の指定をチェックする体制や方策がまったくありません。やりたい放題です。
<その4>半永久的に秘密にできる
特定秘密指定の有効期間は「原則5年」とされていますが、内閣の承認などで最大 「60年」までのばせることが可能です(それさえも例外あり)。60年ともなれば、たとえ公開されても、行政の責任を追及することなどほぼ不可能です。
<その5>警備公安警察の権限拡大
秘密保護法の立法作業を行なったのは内閣情報調査室で、その中心メンバーは警備 公安警察。だから特定秘密の範囲が、防衛・外交だけでなく、スパイ・テロ活動も対象になりました。違法捜査・違法情報収集が蔓延する危険があります。
<その6>刑罰の重さと処罰範囲の広さ
秘密保護法違反の懲役刑は最高が10年です。自衛隊法の2倍、国家公務員法 の10倍。しかも処罰の範囲が広範です。情報の漏えいだけでなく、情報の探知・収集、つまり取材活動など「知ろう」という行為自体が処罰の対象です。
<その7>処罰したい人間を狙い撃ちに
秘密保護法では、情報を得ようと、教唆・共謀・煽動した人間も処罰されます。そして何が教唆・共謀・煽動にあたるのかは、きわめてあいまいで、恣意的運用が可能です。処罰する人間が、処罰したい人間を狙い撃ちできるのです。
<その8>「独立教唆」の危険
教唆とは「そそのかす」ことです。刑法では「教唆罪」は犯罪の実行があってはじめて成立します。しかし秘密保護法の場合は、秘密情報の漏えいという犯罪が行われなかった場合でも、独立教唆として処罰に。そそのかしただけで逮捕です。
<その9>共謀や煽動も独立で処罰
独立教唆と同じく、共謀や煽動についても、具体的な犯罪が行われなくても、「し ただけ」で処罰されます。とくに共謀は2人の人間の会話だけで成立します。会話の偽証によって、容易に逮捕→勾留→起訴→有罪(冤罪)となります。
<その10>適性評価の恐ろしさ
適性評価とは、秘密を取り扱う人たちにたいして「扱う資格があるか」を評価する 制度です。思想的調査含め、個人情報が警備公安警察によって、本人だけでなく職場の同僚、親族、友人などにも及びます。プライバシーの著しい侵害です。
<その11>暗黒裁判に
秘密保護法違反の裁判とはどういうものでしょうか。公訴事実に、犯罪の対象となった特定秘 密情報をそのまま記載できません。弁護士も被告人も、「自分が無罪である」ということを立証することが不可能になります。まさに暗黒裁判です。
<その12>国会議員もチェックできない
国会のなかに審査会をつくり、特定秘密の指定や運用が適切かどうかそこで チェックすることになっていますが、そもそもその審査会にどんな特定秘密を提出するかどうかはすべて政府の判断次第です。三権分立の崩壊です。
<その13>自治体もカヤの外
政府の秘密にしたい情報をなんでも秘密にできる秘密保護法ですが、自治体もその情報 にアクセスできす、原発や基地問題、TPPなど、住民の生活や命に関わる情報を自治体が把握できなくなるおそれがあります。
<その14>情報の隠蔽は戦争への道
集団的自衛権行使容認につきすすむ安倍政権。安全保障に関する情報はすべて国家安全保障会議(日本版NSC)が独占します。そしてそこでの議論は秘密保護法で闇の中です。国民が知らないあいだに戦争にまきこまれます。
<その15>民主主義が死んでいく
国、行政の情報は主権者である国民のものです。しかし、政府の判断で「隠しておこう」と判断されれば特定秘密にされ、適切な判断ができなくなります。重い刑罰によって「知る行為」自体が萎縮します。民主主義が窒息させられるのです。
以上、
秘密保護法・ゾォ~とする
15の話、おわりです。
独裁国家にまっしぐら、です。
12月10日施行目前。
とめるのは国民の責任です。