長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

8月に読んだ本

■『社会と健康ー健康格差解消に向けた総合科学的アプローチ』
     (川上憲人/橋本英樹/近藤尚己編、東京大学出版会、2015年4月)
帯には「健康格差のメカニズムを探る教科書の決定版」と。
そのアピールにふさわしい内容。健康は自己責任ではない。
この内容を平易に伝えたいが…。

■『ベトナム 友好と連帯の旅』
     (志位和夫、新日本出版社、2007年)
共産党委員長のベトナム訪問記。
ドイモイ政策のじっさいをもっと知りたいなあ。
社会保障ってどうなんだろ?とか。
わけあってベトナムについて集中的に学び、
それをはきだす機会があります。

■『大使が見た世界一親日な国・ベトナムの素顔』
           (坂場三男、宝島社、2015年5月)
情報量が豊富かつ多岐にわたり、ひじょーに勉強になった。
著者は2008~2010年まで駐ベトナム大使を務めた方。
58の省と5つの政府直轄市を在任中すべて訪れたという。
ベトナム入門書に最適。

■『これならわかる ベトナムの歴史Q&A』
          (三橋広夫、大月書店、2005年)
ベトナム学習3冊目。こちらはタイトルどおり歴史中心。
国境をまじえるラオスとカンボジアのこともふくめて学べる。
フランスの植民地から独立するためのインドシナ戦争については、
もっと学びたいなと。

■『ベトナムの現在』
       (古田元夫、講談社現代新書、1996年)
ベトナム学習4冊目。1986年、ドイモイ(刷新)政策への
転換の背景や流れ、共産党内での議論が追跡されていて、
勉強になった。ホーチミン思想をめぐる考察も興味深く読んだ。
ドイモイから来年で30年…。探求はつづく。

■『宮本顕治著作集第3巻 1945年~49年』
           (宮本顕治、新日本出版社、2012年)
たくさんの論文・評論があったけれど、「網走の覚書」が圧巻だった。
なんだろう、この強靭さは。この時代がつくった強靭さかもしれないが。

■『社会のしくみのかじり方』
         (石川康宏、新日本出版社、2015年7月)
随所にワルモノ先生の「すごさ」を感じるが、
いちばんは「学問領域にとらわれない語りの広さ」だろうか。
若い人向けの入門文献なだけに、1500円+税というお値段は、
もう少し出版社にがんばってほしかったという思いも。

■『「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか?!ーNGOからの警鐘』
                  (谷山博史編著、合同出版、2015年7月)
日本国際ボランティアセンター(JVC)の活動をとおして、
紛争地の現実と日本の果たすべき役割が具体的に理解できる。
武力を使うことで日本が失うものへの警鐘。

■『想像ラジオ』
    (いとうせいこう、河出文庫、2015年3月)
東日本大震災における命の喪失。
死者と生者との対話を「想像ラジオ」という形で表現。
喪失って、ほんと、それを内包して生きていくしかないんだよね。
死者とともに生きていく。誰しも。

■『わたしの暮らしのヒント集』
      (暮らしの手帖編集部、暮らしの手帖社、2011年)
とある書き物の準備のための仕込み読書。
とても面白いし、刺激をうける「暮らし」への姿勢と具体的ようす。
でも登場する人たちに、「雇われて働く忙しい労働者」はほとんどいない。
このへんが考え所。

■『続・わたしの暮らしのヒント集』
         (暮らしの手帖編集部、暮らしの手帖社、2012年)
引き続き、書き物の準備のための仕込み読書。
紹介されていた人のなかで、やはり雇われて働くひとはいなかった。
立場が意識をつくる。生活が意識を規定する。
このへんの視点をどう考えていくかなあ。

■『新装版 ミーのいない朝』
          (稲葉真弓、河出文庫、2015年8月)
題名だけでウルってくる。
後半、ミーが亡くなるところはボロボロ泣いた。
他人様の猫でこんなに感情揺さぶられるなら、
我が家のにゃんずとの別れとなれば…。いまからグリーフケアが必要か…。