青森民医連での講義その1。
「憲法の人間観-基本的人権とは何か」の
概要と感想文の一部を紹介します。
50分ほどお話したのですが、
この日した3つの講義のなかで
この憲法の話がいちばん「分かりやすかった」との
感想が多く書かれていました。
憲法の基本と、人権について、
そして民医連の理念との関わりについての内容でした。
「憲法はこんなに楽しいものだと気づかされ、
憲法アレルギーがなくなりそうです」
とか、
「憲法のお話は今まできいた中でも一番わかり
やすかったです。これくらい理解できれば、
考え方も変わってくると思いました」
など、
新鮮だったようです。ありがとうございます!
以下、概要です。
はじめに
なぜ憲法学習? 人間と人間の関係があるところには人権。
国家と国民、雇用する人される人、親と子、企業と市民、医療者と患者…
「あなたの人権感覚は本物か?」と憲法は私たちに問うている。
一。基本的人権って?
◇看護学校でこの質問をしてみました
◇基本的人権は、憲法に書いてあってもなくても、私たちがもっているもの。
*ただ憲法に明文化されているので、さしあたって、憲法を
手がかりに考えます。
二。憲法のそもそもと、人間観
1。憲法とはそもそも
◇3つの自己紹介から(憲法の目的と構造)
◇基本的人権の実現・保障こそ、憲法の目的
◇ひとつひとつの基本的人権が、歴史を背負っている
◇憲法の人間観を職場、地域、医療・介護に活かす
…「ひとりも見捨てない」
*無条件の「生」の肯定。無条件の「あなた」の肯定。
*この立場に立ちきれるかが、民医連の理念実践のカナメになる
2。自民党改憲草案(2012年4月発表)の「人間観」
◇13条「個人として尊重」の「個人」が「人」となる。
◇基本的人権を国家権力が制限する規定「公益及び公の秩序」
(12・13・21・29条)
◇最高法規の根拠規定(基本的人権の不可侵性・歴史性)を
定めた97条は全面削除
■安倍政権「1億総活躍社会」。国民を「数」で見る、語るということ。
個が消える。
3。憲法は私たちに何を求めているか
◇12条「不断の努力」。その中身について。
*憲法を知る、基本的人権を知る。そしてそれを使える医療人、
主権者に。
*憲法は解釈するものではなくて、使うもの。憲法は中立ではない。
私たち日本国民のものであり、私たちが活かすもの。権力担当者
への命令。条文と現実(政治・生活・労働など)とのギャップ。
それを現実にできていないのは、主権者である私たちの課題。
*「なんだか理想的すぎる」という感想について。新しい常識を
つくってきたのは誰か。
◇憲法自身のなかに、「不断の努力」のヒントがある。
以上。
感想文の一部です。
■憲法の条文をかみくだいて学ぶことができたよい機会
でした。たしかに憲法を学ぶというのは一見ハードルが
高いですが、今日のような視点で1つ1つの言葉の意味を
知っていくと、憲法全体がとても身近で大事なものだと
実感に結びついていくんだと思いました。
■基本的人権について大変わかりやすい講義でした。
今の自民党政権が国民のことを考えて草案をつくった
のではなく、むしろ国としての責任を取らない仕組みに
日本をしようとしていると感じました。また仕事上も
職場でも本物の人権感覚をもち、1人ひとりかけがえの
ない、ひとりも見捨てないということを心にもちながら
日々取り組んでいきたいです。
■今までの憲法学習の中で、一番理解しやすく、苦手
意識をおさえて自分の意識にストンと落ちてきた時間
でした。もっと(すべての項目で)説明をきいていた
かったです。憲法を土台とする民医連として、きちんと
理解する必要があるし、ぜひ、若手スタッフにも知って
もらいたいと思いました。
■今まで憲法について受講することは何度もあったが、
今回基礎の部分、基本の部分を学ぶことができた。
民医連の理念にもある基本的人権の尊重はここにある
と思った。「ひとりも見捨てない」明日から実践する。
■基本的人権について何回か勉強しましたが、説明
できないでいた。今回は、じっくり聞けて良かった。
実は、身近にたくさんあることがわかった。
■今までで一番わかりやすい憲法の話でした。現状の
政権の憲法の考え方には不安を感じます。他者に
憲法の重要な点を説明できるよう学びを深めます。
■人権とは何かと問われたときに、憲法を学んできた
はずなのに、何も出てこなかった。たぶん職場の
ほとんどの人もそのような状態だと感じる。ひとりも
見捨てない、無条件の「生」「あなた」の肯定が
できるようになりたい。また職場全体でできるように
していきたい。自民党改正草案では個がなくなって
しまう、ということも知らない人が多いと思うので、
部会等で学習会をしていきたいと思う。
■13条がここまで深いということを、この学習会を
通して初めて感じました。
■憲法は、逆に私たちに問いかけている、という言葉が
とても印象深かった。13条について、個人と人との
違いについて、ひもとくことで深く理解することが
できた。国民の基本的人権について、再復習が必要で
あると感じた。
■憲法や人権について、中学校や高校で学んでから久しく
条文を目にすることがなく、日々の生活にはあまり結び
つかないと思っていたが、そうではないことに改めて
気づかされた。憲法の精神は、民医連の綱領そのもので
あり、ひとりも見捨てない職場、医療、介護の実践に
向けて、私たちは意識して働かなければならないという
ことを実感できた。