長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『私たちの声を議会へ』(三浦まり)

『私たちの声を議会へー代表制民主主義の再生』
           (三浦まり、岩波現代全書、2015年11月)を読み終える。

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第1章「代表とは何かー代表制と代表性」
第2章「政党は何をめぐって競争するのか―政党対立軸の変遷と責任政党政府」
第3章「参加を考える―議会の外の代表制/性」
第4章「『分配』と『承認』をめぐる政治」
第5章「再び参加を考える―グローバル化と経済格差」
 終章「私たちの声を議会へ」


歯ごたえあり、全体を通して非常に刺激的。
「代表とは」なんて厳密に考えたことありませんでした。
政治学の面白さを初めて実感しました。

人びとと代表を結ぶうえでの「結社」(中間団体)の
役割と意義も現在の情勢ふまえてクリアに。
ぼくのまわりにも、結社ってたくさんあるけど、
その意義のとらえ直しもできたように思います。


「私たちと代表者とのコミュニケーションは、選挙という
一時期だけで終わるものではない。選挙と選挙のあいだに、
いつでも声を届けられる回路が存在し、常に双方向の
コミュニケーションが成立し、負託の内容の見直しを図る
機会が豊富に存在する必要があるのだ。2015年夏、
日本社会では、安保関連法案に反対して数々の結社が誕生し、
人びとが路上で声をあげただけではなく、国会議員に対して
署名やメッセージを届ける活動が飛躍的に拡大した。平和
主義を守るためには代表制民主主義の再生が不可欠である
ことに気づいた無数の市民の能動的な活動によって、代表者
と人びととの関係性が作り直されようとしている」(194P)


予断ですが、あとがきで夫さんがあの中野晃一さんと
知ってビックリでした。ご夫婦で政治学をやられているのですね。