長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

ストライキについてのメモ(4)

『学習の友』1973年4月号
特集「春闘とストライキ」より

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 とりわけ、ストライキは「汝の部署を放棄する」ことによっ
て、「汝の価値に目ざめる」行動です。ストライキは生産を
止め、資本の搾取にまったをかけることから、彼らに打撃を
与えることができます。
 だから、ストライキは、国の政治をかえ、民主主義をまもる、
労働者階級の重要な武器であるといえます。
 これらのことから、スト権をはじめ団結権、団交権などの
権利は、なにひとつ資本からあたえられたものではありません。
また、あたえられるはずもありません。このことは昔も今も
変わりはないし、ヨーロッパでも日本でも同じです。
 イギリスの労働組合が現在、団結権、団交権、スト権を一体
のものとして行使できるのは、1824年団結禁止法を撤廃し、
1875年刑事免責をかちとり、1906年民事免責をかちとって
現在の基礎をきずいたからです。
 現在日本の労働者ももっている有給休暇制度は、1936年に
フランスの労働者がかちとった権利のひとつです。
 またこのときフランスの労働者は週40時間労働制をかち
とりましたが、反動政府の出現によってとりかえされ、68年
5月のゼネストのなかで再びとりもどしました
 これらの事実をとおして、労働者と労働組合の権利はすべて
たたかいとるものであり、またいくらかちとっても労働者階級
の力が弱くなると資本にうばいかえされる、ということがわか
あります。(44P)

 ストライキは生産を止めるのだから、資本からさまざまな
妨害やきりくずしをうけます。だから、ストライキを成功
させるためには、組合員1人ひとりの自覚的行動が必要です。
そして、組合員の自覚をたかめるには、活動家の意識的な
とりくみがどうしても必要です。
 (中略)労働者は生活と権利をまもるため労働組合に団結
しているのですから、ストライキに参加して処分されたり、
差別されたりすることに不安をもちます。これは労働者とし
てあるていどさけられないことです
 このような労働者を自主的にストライキに参加するには、
指令だといって強制してもできません。1人ひとりの自覚を
うながす以外にありません。(47P)

 レーニンは、ストライキを「この社会組織にたいする労
働者階級の闘争の始まり」であると強調したのち、つぎの
ように述べています。
 「金持の資本家に個々の無産の労働者が対立するとき、
それは労働者の完全な奴隷化を意味する。・・・しかし労働者
が共同して自分たちの要求を表明し、ふくれあがった財布
の持主に服従することを拒絶するとき、労働者は奴隷では
なくなって人間になる」
 「どのストライキもほんとうの(社会の)主人は資本家
ではなくて、ますます声たかく自分の権利を主張している
労働者であることを、そのつど資本家におもいださせる
(52P)

 労働者にとって最高の闘争形態であり、それだけに最大の
威力をもつゼネストも、フランスやイタリアでは、いまでは
日常の闘争形態になったといってもいいほどひんぱんに展開
されている。このことは、国家権力を前面におしたてた独占
資本の攻撃に対抗するためには、労働者の側でもまた統一し、
その総力を結集してたたかうことが、ますます強く要求され
るようになってきているということなのである。
 フランスの全労働者千五百万人の大半がなんらかの形で
参加したといわれる1968年5月、6月の「大闘争」や、同じく
イタリアの全労働者二千万人のほとんど全部が参加したと
いわれている1969年秋の「住宅ゼネスト」は、資本主義世界
における労働者のたたかいの新たな発展段階を画するもの
として、全世界の注目をひいたが、実際に、労働者のたたか
いは、その後もますます激しさを加えている。(59P)