最近読んだ本。
きのう(18日)の林友の会の講演のために、
戦中の障害者の体験手記を2冊読みました。
『ブラックバイトー学生が危ない』(今野晴貴、岩波新書、2016年4月)
ブラックバイトの定義は、
「学生であることを尊重しないアルバイト」。
たとえば、
「テスト期間中にシフトを代わってもらえない」
「辞められない」「就職活動ができない」
「毎日勤務に入り、学業に支障」「ワンオペなどの過度の責任」
など。
特徴は、学生の「戦力化」、安くて従順な学生、
一度入ると辞められない、
労働者としての権利を認めないケースが目立つ、など。
さまざまな実際のケースが紹介されており、
ブラックバイトの実態、特徴にあらためて「ここまで」と驚く。
雇う側の論理や学生バイトが多い業種の
変容ぶりもわかりやすく学べる。
労働者の貧困、学費や奨学金問題とも地続き。
これらをふまえ、学生側とその周囲の対応方法も。
日本の未来がかかった問題です。
『障害者と戦争ー手記・証言集』(清水寛編著、新日本新書、1987年)
「障害者を閉めだすような社会は、かつて国連が
指摘したように『弱くてもろい社会』であり、
その『もろさ』こそが戦争を作りだしてしまう」
ヤッカイ者、ごく潰し、非国民・・・。
障害があるというだけで、人間扱いされなかった現実。
国家に役立つものだけが評価される。
役立つかいなかで人間を評価しようとする、
一億総活躍社会の危険と通底。
『官邸支配』(朝倉秀雄、イースト・プレス、2016年5月)
政治主導VS官僚支配の力学の内実について
一定の理解にはなる。
が、著者自身のエリート意識や大衆蔑視、
決めつけ的悪口や偏見に辟易した。
なにより、政治を語る書であるのに、
国民生活の問題がいっさい出てこない。
彼らの視点がどこにあるのかがある意味わかる。
『もうひとつの太平洋戦争』
(仁木悦子・障害者の太平洋戦争を記録する会編、立風書房、1981年)
「軍国主義社会とは、障害者がつまはじきされる
社会である。最も効率的かつ合理的にものごとを
運ぶには、障害者は邪魔者である。太平洋戦争で
一番被害を受けたのは、障害者だった」(15P)
「ヤッカイ者とさげすまれ、人の顔色をうかがい、
日かげ者のように人の目をおそれてくらしてきた
あの年月」(49P)
「焼夷弾は選り好みをしない。強いものも弱い
ものも、むろん障害者も、命を全うしたければ
逃げねばならぬ。ただし逃げられればの話だが―」(102P)
「健全者でさえ数多くの餓死者、栄養失調者が
あふれる飢餓状態の中で、『おまえに食べさせる
のは勿体ない』という、有言、無言の抑圧」(109P)
「戦争というものはつねに、弱い者、小さい者、
無名の者を踏みにじって驀進してゆく。その
非人間的な性格が、たまたまそれに遭遇した障
害者たちの上に、特に象徴的にくっきりと現れた」(287P)