毎月、山口県の医療生協健文会の機関紙
「健康のひろば」に連載している憲法の話、7回目です。
1月末から封切られた映画『未来を花束にして』(英国・
2015年)は、イギリスで女性参政権を求めた女性たちの
物語。舞台は1912年。7歳から工場で働いてきた主人公
の女性は、「わたしにも、他の生き方があるかもしれない」
と自律的な生に目覚め、弾圧のなかでも屈せずに行動してい
きます。イギリスで男女の普通選挙権が実現したのが192
8年でした。
女性大行進に300万人
21世紀。今年1月21日に、全米300か所以上で、女
性蔑視の考え方をもつトランプ大統領に抗して、300万人
以上の「女性大行進」が行われました。一人ひとりが思い思
いのプラカードをもって行動に参加。表情はみな晴れやか。
世界は紆余曲折、逆流をともないながらも、前進してきてい
ると感じます。異議申し立てをするにはエネルギーが必要で
す。行動はすぐに成果に結びつかないこともあります。でも
「今のあたりまえ」は、過去のあたりまえではありませんで
した。変えてきたのはこうした人びとの行動です。
男女平等、111位と1位
ただ、男女平等指数でわが国は現在111位(世界経済フ
ォーラム発表)。女性にとって息苦しい社会になっています。
安倍政権が叫ぶ「女性の活躍」とは裏腹に、先進国でつくる
G7のなかで50位以下の国は日本しかありません。
男女平等世界一は、北欧のアイスランドです。1975年、
9割の女性が参加した「女性スト」が有名です。家事も育児
も放棄し、「私たちがいなければ職場も家庭もまわらない」
ことをアピール。5年後には世界で初めての女性大統領が誕
生します。男女の賃金格差は80%台にまで接近。現在国会
議員の48%が女性です。父親の9割が育児休業を取得して
いるそうです。
日本にも両性の平等や個人の尊厳を定めた憲法があります。
しかしそれは一人ひとりの「不断の努力」(12条)がなけ
れば、絵に描いたもちです。歴史を学びましょう。人権感覚
を研ぎ澄ませましょう。憲法を使える主権者になっていきま
しょう。