長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

余暇学。いい学問である。

『余暇学を学ぶ人のために』
(瀬沼克彰・薗田碩哉編/日本余暇学会監修、世界思想社、2004年)
を読み終える。

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「労働の後に入手する余暇という考え方でなく、
余暇は独自な存在意義がある」に強く共感する。
平日余暇、週末余暇、季節余暇、年に1度程度の長期余暇。

余暇学や余暇政策の発展に期待したい。


以下、自分のためのメモ。

■活用のしかたということになると、老いも若きも、
男性も女性も、余暇ノウハウをもっていない人が多
い。欧米のように青少年期に余暇教育がなされてい
ないためである。専門家は小学校時代を最も適切な
時期と判断しているが、わが国では現在においても、
学校でも家庭でもなされていない。活用のしかたを
身につけていないので、金銭によって余暇活動を購
入するという人が少なくない。増加した余暇時間を
円滑に使えないという問題。(13P)

■自分の裁量で自由に演出できる「余暇」は、人間
性・文化・社会性を表現する時間として、生活の中
で大きな比重をもってくる。生活の質を高めるため、
余暇を「自分の時間」として自立させ、各自が心の
中から興味のあるものを探し出し、納得のいくやり
方で楽しむことが重要である。(20~21P)

■余暇の概念が時間と関連していることは確かです
が、時間があってもそれを生かす空間がないと余暇
を楽しむことはできません。その意味で、余暇を生
かす空間をどうつくるか、自由な空間をどうつくっ
ていくかということが、これからの余暇を考える上
で重要になると思います。(163P)

■哲学などという浮き世離れした営みに精を出した
のは、かつては毎日の労働から免除された余暇階級
の人々であり、哲学そのものが余暇の1つのあり方
に他ならなかった。実際、ギリシャ語で余暇を意味
するスコレーという語は、ラテン語のスコラ(schola
=学校)となり、英語のスクール(school)にまで
辿り着く由緒ある言葉である。語源から言えば余暇
とは学問そのもののことなのである。(188P)

■余暇は学問の土台であるばかりでなく、芸術やスポ
ーツなど人間が人間らしく生きていくためのもろも
ろの文化の土台でもある。言い換えれば、余暇は人
間の生そのものを支え、人間に幸福をもたらしてく
れる価値ある時である。(189P)