長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

対話のためのメモ(自分用)

『人と人がつながる社会へ』連帯社会ブックレット

■私が思うに、人々との1対1の話し合いの持ち方
について、皆さんはそれぞれ自分なりの方法を編み
出すべきです。これについては、「これをしなさい」
「あれをしなさい」といった形式的なヒントがあり
ますが、私にはそうしたヒントは不自然で、しっく
りきません。ですから、皆さん1人ひとりが、自分
なりの質問項目のリストと、自然な形で話し合いを
行なう方法を考え出すように努めるべきだ、という
のが私の考えです。

■大切なのは、私たちはこういう話し合いによって、
相手について知ろうとしているのだという点です。
皆さんは相手について知ろうと努力しているわけで
すから、相手についてより深く知り、理解するため
に役立つような質問をすべきです。

■でも、1対1の話し合いでは、心の奥底に抱えて
いることを最初から相手にさらけ出すことはすべき
でないと思います。・・・私たちは会ったばかりで、
これほど立ち入った情報を分かち合うのにふさわし
い程度にまで関係が深まるのはまだ先のことだった
ので、私は本当に異様な感じを覚えた。

■オーガナイザーは、いつもこうした新しい関係の
構築をめざします。ですから、いつも人々とこのよ
うな話し合いを持ちます。・・・そうした代表たちは、
よく「ランチは絶対に1人で食べてはいけない」と
言います。それは、毎日の昼食の時間は、資金の提
供者と会ったり、新たな関係を築いたりに使うべき
であり、絶対に1人で過ごしてはならない、という
意味です。

■私は、こうした1対1の話し合いが、人々との関
係を築くための唯一の道だとは思いません。それと
いうのも、実は、関係構築の次の段階というのは、
何かのキャンペーンなどに一緒に取り組む過程で実
施されるからですし、さらには、最も緊密でエキサ
イティングな関係というのは、何かの闘争を一緒に
くぐり抜けるときに育まれるからです。

■これまでに私が出会った最も優れたオーガナイザ
ーの1人は、ジャック・イーガンという名の男性で
す。彼は毎年、感謝祭や労働祭といった大事な休日
や祭日には必ず、自分のリストに載っている30人
か40人の人たちに、電話をして、「ハッピー、サ
ンクスギビング」とか「ハッピー、レイバーデイ」
と、挨拶の言葉を送るのです。とても多忙な、卓越
したオーガナイザーだというのに、特別な休日を人
々に優しい声をかける機会として活かすことを、自
分の方針の一部として組み入れていました。本当に
驚異的なことです。
 関係を結んだ人たちと接触を保ち、恒常的に関係
を維持し深めてゆくためにどんな具体的な方法をと
るかは、私たちそれぞれで違います。・・・皆さんは、
自分が関係を保ちたいと思うすべての人たちの力に
なることを、常に考え続けるためにはどうしたらよ
いのでしょうか? 皆さんは、それらの人たちと連絡
を取り続けているでしょうか? 私も、そうした短い
激励の手紙を送ることを重要視しているオーガナイ
ザーを何人も知っています。彼らは、例えば、次の
ようなメッセージを送るのです。「先日あなたの素
晴らしい論説が新聞に載りました。本当に素晴らし
かったです」「やあ、あなたの見事なスピーチを聴
きました。とても感動的でした。ありがとう!」
 人は自分を励ましてくれる人たちとの関係を続け
たい、と思うものです。ですから、人を励ますのは
よいことです。逆に言えば、多くの人たちと関係を
保ちたいと思うのであれば、人の悪口を言うのを慎
むべきです。

■関係を築きたいと考える人は、心底から人間好き
でなければなりません。人々を理解しなければなり
ません。また、新しい人たちと会うことに熱心でな
くてはなりません。特に、この分野での活動歴が長
い人ほど、知り合った人の数も多いはずですが、そ
ういうベテランでも、さらにより多くの人たちと出
会うことに熱心でなければなりません。そして特に
重要なのは、この分野に加わった新しい若手のリー
ダーたちと知り合いになることです。・・・若手のリー
ダーたちから学ぶべきことはたくさんあるはずだか
らです。

■皆さんが何かを動かそうと思う時、それを動かす
皆さんの力量を決める決定的な要因は何かと言えば、
それは、皆さんが呼びかけ、協力を要請できる人々
の範囲、つまり皆さんが築き上げ、保っている関係
性のネットワークの広がりにほかなりません。人々
が呼びかけに応えて協力してくれるのは、そうした
関係のおかげなのです。


『COJワークショップ参加者座談会』KOKKO

■私がオーストラリアで学んだのは、相手の話を聴
くのが7割で残りの3割でこちらからしゃべるとい
うことです。そのとき相手に7割話させるためにど
うやって対話すればいいのかが、コミュニティ・オ
ーガナイジングで明確に見えてきましたね。

■きちんとした「関係構築」「1対1の対話」をやっ
ていくことが必要。そのときに「役員ってこんなメ
リットがあるよ」という“メリット論”ではなくて、
きちんと自分がなぜやっているのかといった「スト
ーリーオブセルフ」、組織としての価値観としての
「ストーリーオブアス」、なぜ今なのか、どういう
戦略なのかといった「ストーリーオブナウ」を語っ
ていく必要があります。


『オーストラリア介護労働者組織化調査報告集』全労連

■組織化のための会話は、相手の言いたいことを聴
き出すために話しかけるということです。会話の扉
を開き、聴き役に徹する。理解するために聴くので
あって、説得したり反論したりしないことが重要で
す。活動家はしゃべりすぎるので聴き役に徹すると
いうことは一番難しいことです。
 組織化のための会話の目標はあくまで労働者が持
っている情報、つまり労働者が困っていること、解
決しなければならない問題を明らかにすることです。
そうしなければ、対話の中で職場状況を理解するこ
とができません。
 情報を集めて初めて次の段階、つまり組合につい
て教育する段階に進めます。つまり。彼らの問題は
組合活動を通じて最もうまく解決できることを説明
する段階です。そのためには、まず同僚が同じよう
な問題を抱えていることを気付かせ、組合に入った
ら解決できることを気付かせる。それが組合につい
て教育するということです。そうして最後に、組合
のために何をしてもらいたいかを伝える。組合がや
ってほしい署名や集会参加の行動と結びつけていく。


『仲間を増やす秘密のレシピ』KOKKO31号

■コミュニティ・オーガナイジングもそうですけど、
「オーガナイジング」という言葉を日本語に訳すと
どうしても「組織化」になるんですよね。UEと最初
につき合い始めた頃から思っていたのですが、「組
織化」というと日本では労働組合に入ってもらう
「組織拡大」というふうに反射的に思っている。
「オーガナイジング」という言葉の語源は「オーガ
ニック」の「オーガナイズ」で、つまり有機的なつ
ながりを意味するのです。なので、「組織化すると
いうのはただ労働組合に入ってもらうということだ
けじゃなくて、運動をつくっていくのもオーガナイ
ジングなんですよ」と説明するんだけど、日本語で
「組織化」「組織拡大」ということだけが頭に入っ
ている人にはなかなか理解が進まない。レイバー・
ノーツの言っている「オーガナイジング」というの
は、労働組合に入ってもらうだけではなくて、入っ
てもらった先がずっとある。あの標的の中心に向か
って行って、職場や地域の運動体なども含めて有機
的なつながりをつくって、どうやって課題を解決し
て職場・地域・社会を変えていくかという、有機的
なつながりの営みを、どうやって日々積み重ねてい
くかが基本になると思うのです。・・・それが体系的
なワークショップになっていることにすごく意義が
あって、大衆教育理論でいうと、それを受けるだけ
ではなくて、実践してそれを分析して、共有して、
また話し合ってというサイクルがある。そのサイク
ルに乗せて自分で考えて運動できる人をどれだけつ
くれるのかということが、いま一番私たちに求めら
れていることだと思うのです。