21日(土)付の毎日新聞「経済観測」。
加藤出「フランスのストに思うこと」より。
年金改悪に反対して長期化するストライキ。パリに数日滞在しての雑感。
「日本で市民がこんな迷惑を被ったら『労働組合は身勝手だ』
と怒りが沸き起こるだろう。しかし、パリでは『ストは労働者
の権利だからしかたがない』と受け止める人がけっこう多い」
「フランスではデモやストはあたかも民主的な政策決定の
プロセスのひとつのようであり、政府はそれを恒例行事の
ように乗り越えなければならない」
「人々のリタイアに対する考え方が違う。『仕事をやめて早く
年金生活に入りたい』と切望するフランス人は多い。この
年金改革案には、従来より数年長く働かないと受給額がやや
不利になる仕組みが入っているのだが、それにすさまじい
反発が生じた」
「労働組合の強さもあって、フランスの方が賃金が顕著に
伸びており、内需主導で安定成長…。1人あたりの国内総
生産(GDP)でもフランスが若干日本を上回る。ストもせず、
フランスよりも長時間労働に励んできた日本人としては
悲しい面がある」