長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

いつものように乱読

最近読んだ本。

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『「知識基盤社会」論批判―学力・教育の未来像』
         (佐貫浩、花伝社、2020年3月)

いつものように、佐貫さんはラディカル。
「この本で展開した論理は…今日の経済学と教育学をつなぐ一つの挑戦」
と述べられている。グローバル資本によって歪められてきた「知の回路」。
すぐれた教育論の書。


『若い読者に贈る 美しい生物学講義ー感動する生命のはなし』
             (更科功、ダイヤモンド社、2019年)
全体的に平易に語られていて、面白い。新しい知見も。
こうした生物と世界についての基礎知識は、広く普及してほしい。
優生思想をお持ちのあのロックバンドのお方にも、読んでもらいたい。


『看取るあなたへー終末期医療の最前線で見えたこと』
              (河出書房新社、2017年)
終末期の現場で、人の死と向き合ってきた20人の筆者の「死生観集」。
細谷亮太、小澤竹俊、徳永進、高木慶子、柏木哲夫、山崎章郎、垣添忠生…。
今まで読んできた本の筆者もずらり。豪華で多彩で、深い1冊。


『ジェンダー平等の実現めざして』(浅倉むつ子・戒能民江・田村智子、
    政治革新をめざすオール早稲田の会編集、学習の友社、2020年8月)
シンポジウムの書籍化で、日本におけるジェンダー平等の課題と変革の
方途をわかりやすく学べる。こうした議論があらゆる場所で必要。


『事実はなぜ人の意見を変えられないのか~説得力と影響力の科学』
        (ターリ・シャーロット著・上原直子訳、白揚社、2019年)
「他人の考えを変えようとするときに犯しがちな誤りと、
それが成功した場合の要因を明白にすることが本書の目的」(はじめに)。
認知神経科学の興味深い知見。


『ワイルドサイドをほっつき歩け~ハマータウンのおっさんたち』
           (ブレイディみかこ、筑摩書房、2020年6月)
これも面白かった!ブレイディさんの視点と文才。
思えば、ブレイディさんがいなければ、
英国の地べたの人々のリアルを知る機会はなかっただろう。
こんな書き手が増えてほしい。


『迷子のままで』(天童荒太、新潮社、2020年5月)
小説を2編収録。児童虐待や震災・原発を背景にしつつ、
そのなかでもがき生きる人々を描く。天童さんらしい眼差し。


『美しい痕跡~手書きへの讃歌』
(フランチェスカ・ビアゼットン、萱野有美訳、みすず書房、2020年4月)
素敵な本に出会えた。
字の汚いワタクシだけれど、どんどん手書きをしたいと思えた。
「私たちはいま、速さという誘惑に身を任せ、質や唯一性、
物語といったものを犠牲にしている」